1年のうちで花に関係する行事やイベントを紹介・1月から3月までと1年のうちで花に関係する行事やイベントを紹介・4月から6月までに続いて、7月から9月にある行事で花に関係するものを書いてみたいと思います。
前のページにも載せてある年間の行事とその日にちの一覧です。
花に関係する行事・イベント
イベント | 日にち |
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正月 | 1月1日から3日 |
七草 | 1月7日 |
成人の日 | 1月第2月曜日 |
バレンタインデー | 2月14日 |
雛祭り | 3月3日 |
ホワイトデー | 3月14日 |
春の彼岸(春分の日) | 3月20日から21日頃のいずれか1日 |
イースター | 春分後の最初の満月の後の第1日曜日 |
花まつり | 4月8日 |
サンジョルディの日 | 4月23日 |
すずらんの日 | 5月1日 |
こどもの日 | 5月5日 |
母の日 | 5月第2日曜日 |
花の日 | 6月第2日曜日 |
父の日 | 6月第3日曜日 |
七夕 | 7月7日 |
お盆 | 8月13日から16日 |
重陽の節句 | 9月9日 |
敬老の日 | 9月第3月曜日 |
お月見 | 旧暦の8月15日 |
秋の彼岸 | 9月22日から23日頃のいずれか1日 |
ハロウィン | 10月31日 |
七五三 | 11月15日 |
感謝祭 | 11月第4木曜日 |
クリスマス | 12月24日・25日 |
それではひとつずつ簡単に説明していきましょう。
7月の行事
七夕(7月7日)
7月7日は五節句のひとつで、七夕(しちせき)の節句ともいいます。ほかにも節句は1月7日人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、5月5日の端午(たんご)、9月9日の重陽(ちょうよう)があります。
七夕の飾りといえば笹に短冊ですが、この笹を花屋やスーパーで購入し、持って帰って飾り始めると葉が丸まってきて枯れたようになったことありませんか?お客様の中にはどうすれば綺麗な葉を保てますかとお尋ねになる方もいらっしゃいますが、これはこういうものだと諦めていただくしかありません。
笹はキクやバラなどを始めとする一般的な花と違い、水を吸い上げるのが困難な植物です。生えているときは根があってそこから水を吸いますが、根を切ると吸い上げることが出来なくなってしまいます。これが枯れてしまう原因です。
少しでも枯れるのを遅らせたいというのであれば、お使いになる当日まで濡れた新聞紙で包んでおいてあげると良いかもしれません。また竹の水揚げのように太めの笹であれば、それぞれの節の上の方にキリなどで穴を開け、中に水を入れ爪楊枝や割り箸などで蓋をします。そうすれば葉に水が届いてくれます。水は毎日追加しましょう。
とはいえ、お正月飾りと違って七夕飾りは7月6日夕方に飾り付けて、翌日の7月7日には片付ける一夜飾りが基本ですから、葉が丸まってしまうことを気にしないほうが良いと思います。
8月の行事
お盆(8月13日から16日)
お盆はご先祖様の御霊をこの世にお迎えする行事です。御霊をお迎えする迎え火から始まり、お見送りする送り火で終わります。この時期、日本では帰省ラッシュや旅行などで移動する人が多く、名神高速道路や東名高速道路が何10キロ渋滞というニュースを見ることもあります。
正式には盂蘭盆会といい、地域によって異なりますが8月13日から16日までの4日間が一般的です。しかし関東地方などの一部では7月にお盆を行う地域もあるそうです。
お盆になると花屋ではハスの花が登場します。しかし販売している花は全て蕾で、蓮池に浮かんで咲いている花のようには開花しません。ハスを切り花にすると水が揚がりにくく通常の水切りでは水は吸ってくれません。ハスは水生植物専用のポンプ器具を使って水を揚げるのですが、一般家庭では水揚げは厄介なものだとお考えください。
それでも咲かせてみようと思われたのでしたら、水道にホースを繋いで切り口を差し込み水道の水圧で水揚げをしてみると咲くことがあるかもしれません。
ハスの花はスイレンの花とよく間違われます。漢字で書くとハスは蓮、スイレンは睡蓮になります。水に浮かんでいるから水蓮と思われている人もおられますが、水蓮ではなく睡蓮です。
花は似ていますが、ハスがヤマモガシ目ハス科なのに対し、スイレンはスイレン目スイレン科です。
ハスとスイレンの違いですが、ハスは葉に切れ込みがなく撥水性があり、花は水面から高い位置で咲きます。スイレンは葉に切れ込みがあり撥水性がなく、花は水面で咲きます。なによりハスの根にはレンコンができます。
お仏壇やお墓参りにお供えする花にハスの花が入っていると確かに値段が高いです。でもこの時期だけの花をご先祖様にお供えしていただきたいと思います。
9月の行事
重陽の節句(9月9日)
七夕の所にも書きましたが、重陽(ちょうよう)は五節句のひとつです。ほかにも節句は1月7日の人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、5月5日の端午(たんご)、7月7日の七夕(しちせき)があります。
中国の陰陽思想では奇数は陽を表す数字で、縁起が良いといわれてきました。ですから節句の日は全て奇数になっています。その中で9という数は陽の数としては最大の数であり、陽の数が重なっていることから、陽が重なっている重陽と呼び、5つある節句の中でも一番おめでたい日だといわれています。
重陽の節句は別名で菊の節句ともいい、菊の花を生けるだけでなく菊の香りを移した「菊酒」を飲んで邪気を払い長寿を祈る習慣がありました。現在は新暦で行事を行なうため9月9日はまだ残暑の厳しい時期ですが、以前は旧暦でのお祝いだったため、菊の花が美しく咲く季節だったのでしょう。
重陽の節句には菊酒のほかにも菊のお浸し、栗ご飯、秋茄子、菊の形をしたお菓子などをいただいてお祝いします。
敬老の日(9月第3月曜日)
敬老の日のプレゼントとしてよく使われるのがリンドウの花です。
リンドウは秋を代表し敬老の日あたりに多く出回る花ですが、敬老の日ギフトにするには若干地味な感じもしますし、ほかにも沢山綺麗な花があるのにも関わらず、なぜ敬老の日花ギフトといえばリンドウが一番最初に浮かんでくるのか不思議ですね。
敬老の日にリンドウを贈る理由は、リンドウの根が良い薬として昔から重宝されてきたことにあります。リンドウは漢字で竜胆と書き、リュウタンとも呼びます。この竜胆は苦味健胃薬や抗炎消薬として消化器の充血や炎症、尿道炎、リュウマチなどの治療に使われてきました。このように治療薬として重宝だったことから、おじいちゃんとおばあちゃんの健康と長寿を願って贈るというのがひとつめの理由です。
そしてもうひとつの理由は、聖徳太子が定めた冠位十二階では上から順番に濃紫→薄紫→濃青→薄青→濃赤→薄赤→濃黄→薄黄→濃白→薄白→濃黒→薄黒としたように、紫が位が高く尊敬に値する人に合う色ということから紫色をしたリンドウを敬老の日に贈るようになったようです。
リンドウには切り花と鉢植えがありますが、敬老の日用のギフトには鉢植えが多く出回ります。色は写真のようなブルー系のほかにピンク系があります。また99歳の白寿の方にはブルーに白の混じったリンドウもお勧めです。
ところでリンドウって花が開くものと閉じたままのものがあるのをご存じですか?これは品種の違いで、開くリンドウは笹リンドウ系で開かないリンドウは蝦夷リンドウ系なのです。笹リンドウ系でも日照不足では開かなくなることもあります。また昼間は開花しますが夕方になると閉じてしまうのも特徴です。
お月見(旧暦の8月15日)
お月見は十五夜、または中秋の名月といいます。
季節の中で秋は旧暦で7月から9月のことで、7月は初秋、8月は仲秋、9月は晩秋と呼びます。8月は仲秋と呼ぶのだし旧暦の8月にある行事なのだから仲秋の名月と呼ぶような気もしますが、仲秋と中秋では意味が異なります。
8月を表す仲秋と違い、秋全体の中日のことを中秋と呼び旧暦の8月15日にあたります。そしてこの日に愛でる月を中秋の名月といいます。
お月見といえばお団子とススキを思い浮かべる人が多いと思います。このススキは秋の七草のひとつで、萩(ハギ)桔梗(キキョウ)葛(クズ)藤袴(フジバカマ)女郎花(オミナエシ)尾花(オバナ)撫子(ナデシコ)の中のオバナに当たります。
ススキを飾る理由は、満月をお団子に、ススキは稲穂に見立てたものなのです。しかし季節的にはまだ稲穂が垂れる時期ではないことから、ススキを稲穂に例えて飾ったのが始まりといわれています。
ススキは生けて暫くすると穂がふわふわと広がってきます。自然現象なのでこれはこれで綺麗だと思いますが、ふわふわにしたくないようでしたら広がる前にヘアスプレーやスプレーになった洗濯のりで固めてしまうと広がりませんのでお試しください。
秋の彼岸(9月22日から23日頃のいずれか1日)
春のお彼岸の所にも書きましたがお彼岸は春と秋の2回あり、それぞれ春分の日、秋分の日を中日とした前後3日ずつを合わせた7日間のことをいいます。また7日間の中でも中日は太陽が真東から出て極楽浄土があるといわれている真西に沈みます。この日に沈む太陽を拝むことは、西にある極楽浄土に手を合わせることになるのだそうです。
お彼岸のお供え物として使うのが、ぼたもちやおはぎですね。この2つは同じものですが春のお彼岸は春に咲く牡丹の花にかけてぼたもちと呼び、秋のお彼岸は秋に咲く萩の花にかけておはぎと呼びます。
萩の花はお月見に飾るススキと同じく秋の七草のひとつです。万葉集でも多く詠まれ日本人に馴染みのある花で種類も多いですが、その中でも有名なのがミヤギノハギといい、名前からでもお分かりのように宮城県の県花にもなっています。
庭木などでは生育も良いのですが、切り花にすると水揚げが悪くなってしまいます。
春や秋のお彼岸にはお墓参りをする人も多いと思います。お墓参りの花には菊が多く使われます。特に秋は菊の旬ですので高貴な菊の花をお供えくださいね。