ナスといえば実が紫色をしていて、揚げても焼いても炒めてもお漬物にしても美味しい野菜です。でもナス科の中には観賞用のものもあり、今回は赤い実をしたソラナムパンプキンと黄色い実をしたフォックスフェイスについて書いてみたいと思います。
ソラナムパンプキンについて
先日ホームセンターの鉢植えや花苗の売り場で、まるで小さなカボチャのような実のついた鉢を販売していました。ハロウィンも近いことだし、飾るにはちょうどいいのだろうなと思って見ていたその実のついた植物の名前をソラナムパンプキンといいます。
ソラナムパンプキンは、別名でパンプキンツリーや赤ナスや平ナスといい、パンプキンと付いていますがカボチャではなく、ブラジル原産のナス科ナス属の1年草で観賞用の花ナスです。本来は非耐寒性常緑低木という分類ですが、日本の気候では冬越しは難しいので1年草扱いになっています。ナス科ですが実は固く観賞用なので食べることはできません。
草丈は60cm~1mくらいになり、7~8月くらいにナスの花に似た形の花を咲かせます。ただ、ナスの花色は紫色ですが、ソラナムパンプキンの花の色は白です。花が咲いた後、実ができてきて9月~11月頃に実の鑑賞期になります。
実は直径が3~5cmくらいで、まるでカボチャを思わせるくびれがあり、最初は緑色をしていますが、黄色になりオレンジ色になり熟してくると赤くなります。
鉢植えの場合
- 日当たりが悪いと結実不良や実の色付きが悪くなりますので、十分に日の当たる場所で育ててください。
- 水やりは土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。
- 苗を植え付けるときは緩効性肥料を混ぜ込んでから植えます。
切り花の場合
切り花にして飾る時は、水に浸かっている部分の茎が腐ってしまって枯れやすくなりますので、浅水で生けるようにして、適宜切り戻しをしましょう。
実はドライフラワーにもできます。一般的なドライフラワーの作り方は、花を逆さまにして吊ることが多いですが、ソラナムパンプキンはそのままの状態でドライにしてください。水の入っていない花瓶に挿したままでもできます。
種を採る
種を採って翌年種から育てる場合は、実を完熟させてから摘み取るようにし、半分に切って種を取り出し水洗いをしたあと乾燥させて、種蒔きをする春まで冷暗所で保管してください。種撒きから育てる場合は2~4月、苗を植え付ける場合は4~5月頃を目安にしてください。
フォックスフェイスについて
赤い実を付けるソラナムパンプキンの次は黄色いナス、フォックスフェイスです。
フォックスフェイスは、実にいくつかの突起があり、その突起の形状からツノナスといいます。また小鳥のカナリアの羽を連想させることからカナリアナスとも呼ばれています。一般的にはフォックスフェイスと呼ばれることが多く、これは実の形がキツネの顔に見えることから付けられたものです。
ブラジル原産のナス科ナス属の植物で、ソラナムパンプキンと同様に観賞用のナスです。原産地では冬越しができますが、日本では1年草という扱いになっています。
草丈は2mくらいで、7~9月くらいにナスの花に似た形の薄紫から紫色の花を咲かせます。その後10月~翌年1月頃に実の鑑賞期になります。実は最初は緑色をしていますが、徐々に黄色になってきます。実には毒性の強いアルカロイド系のソラニンという成分が含まれていますので、食用にはできません。
鉢植えの場合
- 地植えの場合は雨水だけで十分ですので水やりは不要ですが、鉢植えの場合は土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えてください。
- 生育期が長いため、緩効性肥料を定期的に与えましょう。ただし窒素分がリン酸やカリよりも多い肥料は避けてください。
- 草丈が高くなりますので、早めに支柱を立ててください。
- 夏頃に実が増えてきたら芯止めをします。
切り花の場合
フォックスフェイスは切り花にしてもかなり長持ちします。極端にいえば水につけていなくてもひと月程度なら大丈夫です。
そのまま花瓶に生けるだけでなく、水なしでもいいことから、上から吊るしたり何かにくくり付けたりと自由度もありますので、実だけ使っても面白いインテリアになるかもしれません。
種を採る
熟した実を切ると黒い種があります。取り出したら水洗いして乾燥させ冷暗所で保管してください。種撒きから育てる場合は3~4月、苗を植え付ける場合は4~5月頃を目安にしてください。
ソラナムパンプキンやフォックスフェイスのほかにも観賞用のトウモロコシ(アンデスコーン)やトウガラシなど、鉢植えだけでなく切り花やアレンジメントに使うことができる実ものが多くありますので、この時期だけの花材をお楽しみくださいね。