デンマークカクタスは花が少なくなる冬に嬉しい鉢植えです。2021年11月中旬頃に私も1鉢購入しました。名前を「チヨカ」といい、淡いピンク色がとても可愛くて一目惚れで衝動買いです。
デンマークカクタスについて
ブラジル原産なのにデンマークと付くのはなんだか面白いですが、ブラジル原産だったものをデンマークで品種改良されたことが名前の由来です。
クリスマスの時期に開花することからクリスマスカクタスとも呼ばれていますが、日本では「シャコバサボテン」という名前の方が知られているかもしれません。
カクタス(cactus)というのはサボテン科植物やサボテン科植物に似た多肉植物の総称なので、シャコバサボテンは「(お寿司でご存じの)シャコ(のような形をした)葉のサボテン」という意味になります。
耐寒性はやや弱く開花時期は11月から3月くらいです。
写真は私が育て始めた「チヨカ」です。買った時はまだ全部が蕾だったのですが、ずいぶん花が咲いてきました。5号鉢なのでそんなに大きくはありません。最初はもう少し大きな鉢植えも見ていたのですが、小さい株を大きく育てるのが楽しみのひとつなのでこのサイズに決めました。
花の中を覗いてみると雄しべと雌しべが見えます。雌しべは鮮やかなピンク色をしていて綺麗です。
普通は花が終わったら花がら摘みで取ってしまいますが、そのまま受粉させて暫くすると実ができます。別の品種と交配させたいのでしたら人工受粉で挑戦してみてください。
育て方
置き場所
デンマークカクタスは寒さにも暑さにもあまり強くありません。
水やり
水やりは季節や生育によって少し異なります。
4月~7月中旬 | 生育が旺盛になる時期ですので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。 |
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7月中旬~9月中旬 | 暑さで生育が衰えるので水やりは控えめにしましょう。土の表面が乾いて2~3日してから水を与えてください。 |
秋の芽(葉)摘みまで | 4月から7月中旬の水やりと同じように土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。 |
秋の芽(葉)摘み後 | 新芽の発生を抑え、花芽の形成を促すために水やりはやめてください。 |
花芽が確認出来たら | 目で見て花芽がわかるくらいの大きさになってきたら水やり開始です。土の表面が乾いてからたっぷりと与えましょう。 |
冬 | 冬の水やりは控えめにしましょう。表面の土が乾いてから、あと1~2日待って与える程度で大丈夫です。おそらく1ヶ月に2度程度でも大丈夫と思います。 |
鉢皿を使っている時は水を鉢皿に溜めないようにしてください。
肥料
花が咲いている時期の肥料は不要です。
肥料を与えるのは生育期の4月~7月です。固形肥料を月に一度くらい、液体肥料を2週間に一度くらいの割合で与えます。固形肥料を与える時は肥料が植物に触れないように鉢の縁の方へ置いてください。
7月以降は肥料を与えないようにしましょう。
花がら摘み
デンマークカクタスは次々と花が咲いていきますので、咲き終わった花はこまめに花がらを摘みます。
見ていただくとよくわかりますが、葉や花の根元が節になっていますので葉と花の根元を手で押さえて花を捻じると簡単に花がらを摘むことができます。
翌年のために
購入した年は綺麗に咲いたのに翌年になると花が咲かなかったということをよく聞くのですが、デンマークカクタスは開花前の管理をしないと冬になっても花が咲かない植物です。
花が咲いている時より花のない時のお手入れをきちんとして翌年も綺麗な花を咲かせましょう。
剪定(葉摘み・芽摘み)
ハサミなどは必要なく、節になっているところを指で捻るだけで簡単に摘むことができます。葉摘みは春に、芽摘みは秋に行います。
春の葉摘み
だいたい5節程度を残すような感じで各葉の茎節2~3節を摘み取ります。全体的に纏まった形になるように葉を摘んでください。摘み取ったあとの茎節はさし芽として利用できます。
秋の芽摘み・葉摘み
デンマークカクタスの花は成熟した葉の先にしか付きません。もし花芽ができても開花時期が遅れたり小さい花になりますので色が赤っぽく柔らかな新芽は摘み取ります。こうすることで節茎の先に花芽が付きやすく、花芽の分化も促してくれるようになります。
増やし方
デンマークカクタスはさし芽で増やします。
用土は「シャコバサボテン専用培養土」「多肉植物・サボテン用土」「さし芽・タネまき用土」が便利でいいのですが、ない場合は「花や野菜用の培養土に赤玉土や鹿沼土と軽石を混ぜて水はけのよい土」を作ってください。
最初に鉢に用土を入れて少し水で湿らせておきます。さし芽をする場所に割り箸などを使って穴を開け、茎節1節の半分くらいを埋めるようにします。2節で切ってあるので土の上に出ているのは1節半です。
植え替え
ずっとそのまま育てると鉢の中に根がいっぱいになり、根詰まりを起こしますので1~2年に1度、植え替えが必要です。春の葉摘みと同じ時期の4月中旬から下旬あたりに植え替えをしてください。
用土はシャコバサボテン専用培養土が便利です。
- 植え替える数日前から水やりを控える
- 鉢から抜いたら1/3程度の土を落とす
- 黒くなった根や伸びすぎている根は切る
花芽が付かないのは?
「限界暗期」というものがあります。これは花芽の形成に必要な連続した暗期の長さのことで、この限界暗期より暗い時間が長くなると花芽ができる植物を「短日植物」、限界暗期より暗い時間が短くなると花芽ができる植物を「長日植物」といいます。
ポインセチアが赤くなる話について以前書きましたが、このポインセチアも短日植物で暗くなる時間(夜の時間)が長くならないと緑色のままですので、9月頃から段ボールを被せて強制的に暗くなる時間を長くして赤く色付かせました。
デンマークカクタスも短日植物なので10月頃からは夜は暗くなる場所に置いてあげないと花芽を付けません。おそらく花が咲かない一番の理由がこれではないかと思います。
シャコバサボテンとカニバサボテン
デンマークカクタスは日本ではシャコバサボテンともいい、サボテン科カニバサボテン属ということを最初のほうに書きましたが、実はカニバサボテン属にはカニバサボテンと呼ばれているものもあります。
日本に出回っているカニバサボテン属はシャコバサボテンとカニバサボテン、そしてその両種を中心にした交雑種です。
見分け方
シャコバサボテン
茎節は突起が尖っていて開花時期は11月から1月くらいです。
カニバサボテン
茎節は突起はシャコバサボテンに比べると丸くなっていて開花時期は1月から3月くらいです。
ただその中間的な交雑種も多くありますので、見分けが難しいかもしれません。
葉が赤くなったり葉の付け根から根が出ている時は根腐れしている可能性があります。また株元が木質化した時も生育が悪くなりますので、どちらの場合も春に葉摘みをして新しい株を作る方がいいと思います。
追記:2022年12月2日
昨年購入した「チヨカ」の2022年12月2日の写真です。
春の葉摘みはきちんと行ったのですが、秋の芽摘みや葉摘みが適当だったせいで下の写真のようになんとなくダラッとした姿になってしまいました。
春には植え替えもしようと思いつつ「明日こそ」「明日こそ」と毎日のように翌日送りにしているうちに、夏が来て植え替え時期を逃し、そのまま夏が過ぎ秋も過ぎ、昨年購入した時の鉢のままで今冬を迎えることになりました。
ポインセチアほど長い期間ではありませんが、10月中旬頃から花芽が付くまで20日間ほど夕方になると段ボールに入れて短日処理をしていたら花芽も増えていき、数日前から花が咲き始めました。まだ蕾もたくさんあります。
来春は必ず植え替えをしようと思います。ぎゅうぎゅうで根がいっぱいになっているのがわかりますので絶対にやります。