松竹梅をはじめお正月をお祝いするのにふさわしい縁起花10種類

クリスマスが終わると一気にお正月に切り替わります。スーパーやホームセンター、そして花屋でもクリスマス用の切花や鉢植えからお正月用のものに変わります。

お正月用の花として販売されているものは松竹梅や菊などがセットになっていたり、そのまま飾ることができるアレンジメントが多いですが、花屋では自宅に合わせた切り花を自分で選ぶ人もたくさんいらっしゃいます。

今回はお正月をお祝いするための縁起の良い代表的な花を10種類紹介したいと思います。

尖ったものが好きな神様の宿る松

お正月の花・松

松は真冬でも落葉することなく葉を茂らせることから長寿と健康のシンボルといわれてきました。また神様は尖ったものが好きらしく、尖った葉を持つ松には神様が宿るとされています。

松にはいろいろな種類があります。

若松(ワカマツ)

セットになって販売されているものに入っている松はその殆どが若松で一番ポピュラーな松になります。花瓶に生けてもアレンジメントにも使いやすく、生け花として水盤にも流儀花にも使われます。

若松は若松という品種ではなく、黒松の実生苗を密生させて枝を横に伸ばせない状態で3~4年ほど育てた松です。

五葉松(ゴヨウマツ)

五葉松は本州の東北地方東南部、四国、九州に分布する日本固有種です。

普通の松の葉は2枚の葉が一組になっていますが、五葉松の葉は5枚が一組になっているためこのように呼びます。成長が緩やかなため盆栽にする松としても人気があり、赤松や黒松より樹齢が長いのが特徴です。

大王松(ダイオウマツ/ダイオウショウ)

大王松は樹高30mから35m、時に50m近くに達することもある大型の松です。

松葉は3枚一組で葉の長さは若木で40~60センチ、老木になっても20~30センチもあって存在感抜群なので、アレンジメントにしても水盤でも華やかに生けることができます。松かさも20センチ前後と大変大きいので人気があります。

根引き松(ネビキマツ)

関西では根を付けたまま門松として飾るだけでなく根を切って生け花にも使います。

根がついたままの姿から「地に足がつくように」「成長し続けるように」という願いを込めてお正月飾りにします。

蛇の目松(ジャノメマツ)

蛇の目松はあまり店頭では見かけることがないかもしれませんが、緑の葉に黄色の斑が混じって明るく華やかな印象の松なので洋風のアレンジメントにも映えます。

三光松(サンコウマツ)

根引き松に似ていますが、根引き松より葉の長さが短く三つに分かれた枝先が特徴の美しい松です。



生命力や繁栄を意味する竹

お正月の花・竹

風にも倒れないことが柔軟性を示し、まっすぐに育っている姿が生命力を表すといって縁起が良いとされているのが竹です。成長も2年から3年と早いことから繁栄を意味しています。

竹は水揚げひとつで葉もシャンとしたまま長持ちするため、大きく花を飾ろうと思ったらチョイスするのが良い花材といえます。

竹の水揚げは、全ての節と節の間の上部に穴を開けて熱湯を注ぎ入れ2~3分そのままにしたあと、熱湯を捨て次に水をたっぷり注ぎ入れます。水を注いだあとの穴は割り箸やセロテープで留めておきます。毎日穴から水を確認して少なくなっているようでしたら水を足してください。

節の間に水が入っていますので枝や葉まで水が届くようになり、1ヶ月以上枯れずに綺麗な状態の竹を楽しむことができます。

はなこ
はなこ

花屋で水揚げした竹を購入した場合も同じように水を足すことが長持ちの秘訣です。

ほかの花より早く咲いて春を告げる梅

お正月の花・梅

梅は新しい年が明けて寒い中でもほかの花より早く咲くことから春を告げる花といわれ、実が出来ることから出世や開運を表す縁起の良い花です。万葉集にも多く詠まれ、日本人にとって梅の花は特別なものだったようです。

また花の色は大きく分けて紅と白があることから、おめでたい花だということでお正月には欠かせない花のひとつです。

特にお正月に欠かせない花は松竹梅です。これは宋代より始まった中国の文人画で好まれる画題のひとつ「歳寒三友」というものから始まったもので、冬の寒い季節に友とすべき3つのもののことをいい、松・竹・梅をさします。

切花だけでなく松竹梅の入った盆栽も12月になるとあちこちで販売し始めますので、自宅に合ったものを選びましょう。

財を表す縁起の良い千両

お正月の花・千両

千両と名前が付いた理由には諸説あります。このあとに出てくる万両は実が葉より下に付くけれど、こちらは実が上に付いていることから万両より軽い千両になったという説。

冬の寒い中、実が赤くて美しく葉が小判に似ていることが値千金だということから付いたという説などですが、財産に関して縁起の良いものだということがわかります。

花言葉も利益、富、裕福などお金に関する言葉が多いのが千両です。

千両の実は赤いものが殆どですが、たまにお店で黄色い千両を売っていることがあります。こちらは黄実千両(キミノセンリョウ)という品種です。



千両より万両のほうがお金持ちっぽい?

お正月の花・万両

万両は千両と並んでお正月の縁起物として知られています。先にも書きましたが万両は千両と違って葉の下に実ができます。

花言葉は、寿ぎ、財産、金満家、慶祝、徳のある人という縁起の良い言葉ばかりです。

千両や万両以外にも百両や十両、そして一両という植物があります。

  • 百両は唐橘(カラタチバナ)
  • 十両は藪柑子(ヤブコウジ)
  • 一両は蟻通し(アリドオシ)

千両万両、有り通しという言葉がありますが、これは千両と万両、それに一両を揃えて金運に恵まれるようにという縁起担ぎの語呂合わせです。

難を転じて福となす南天

お正月の花・南天

南天は難を転じて福となすという語呂合わせから縁起の良い木といわれています。自宅の近くでも南天を植えているお家も多く、11月の末あたりから実がたくさん付いているのが目に留まります。

南天の実は葡萄の房のようになって垂れ下がるようにつきます。葉も千両や万両とは違っているのですぐにわかります。

自宅にも南天があります。数年前に梅と南天を自分で寄せ植えにしてお正月が過ぎたあと、それぞれを別々に植えなおしたものですが、この南天は「お多福南天(オタフクナンテン)」といって実ができない、葉の色を楽しむ南天です。

不老長寿のパワーがある菊

お正月の花・菊

中国では菊の花には不老長寿の力があるといわれ、長生きの縁起物とされてきました。また「菊を活けるといい子に育つ」「菊を飾ると福が来る」といわれてきたことから、菊はお正月には良い花だということがわかります。

昔からある輪菊や小菊も和風で美しいですが、最近ではピンポンマムやスプレーマムといった可愛いフォルムの菊も多くなってきましたので、従来の菊では少し合わないと感じたらそちらを選んでみてはいかがでしょうか。

またアレンジメントなどによく使われるガーベラもキク科です。同じキク科ということで洋風に仕上げたい時はガーベラも使いやすい花のひとつです。



花言葉が縁起が良い葉牡丹

お正月の花・葉牡丹

祝福」「利益」「慈愛」といった花言葉のある葉牡丹は、お正月前になると鉢植えや苗、そして切り花が出回ります。

葉牡丹は大きく分けて、葉の先が平たい丸葉系(東京丸葉系)、葉が縮れたようになっているちりめん系(名古屋縮緬系)、東京丸葉系とちりめん系の交雑種の大阪丸葉系があります。

葉牡丹は「花」ではなく葉なので日持ちがいいですが、下葉の方から黄色くなっていくので黄色くなってきたら葉を取り除いていくようにしましょう。

鉢植えや地植えにした場合はどんどん成長していき、春が近づくと中心が盛り上がってその先に薹(とう)が出て菜の花を咲かせます。

はなこ
はなこ

葉牡丹はアブラナ科アブラナ属の植物です。アブラナ科が咲かせる花の総称を「菜の花」といいます。

菜の花(ナノハナ)という植物はない。菜の花っていったい何の花?
春の訪れを感じさせてくれる菜の花。でも菜の花という名前の植物はなく、アブラナ科アブラナ属の植物の総称です。食用として、観賞用として、ナタネ油の採取用として育てられてきました。河川敷などで見かけるのは、セイヨウカラシナとセイヨウアブラナです。

幸福と長寿のふたつを合わせた名前の福寿草

お正月の花・福寿草

見るからに縁起が良いと思われる名前の福寿草、花言葉も幸せを招くです。

福寿草の福は幸福ということがすぐにわかりますが、寿は寿ぐというお祝いを意味の字です。しかし元々は寿=壽は長生きを意味する言葉なので福寿草は幸福と長寿のふたつの意味がある花です。

福寿草は心臓の漢方薬としても知られていますが、その反面毒草でもあります。毒は全草にあり、致死量は0.7mg/kgだとか。でも鑑賞する分にはなにも問題はありませんのでご安心ください。

一年の五穀豊穣を祈願する餅花

お正月の花・餅花

餅花は正月や小正月に木の枝や柳などに、白いお餅と食紅で色をつけたピンク色のお餅やお団子をさして飾るものです。餅花は新しい年の五穀豊穣を祈願して飾ります。

以上10種がお正月に縁起の良い花といわれています。もちろんそれ以外にも洋風に生けたい場合にはチューリップやバラなど、また日持ちの良いシンビジウムも良いのではないかなと思います。

お正月飾りは一般的に9が付く(苦が付く)から29日は避けて、一夜飾りといって神様をお迎えするのに最後の日に飾るのは失礼ということから31日も避けられています。できましたら28日までに飾ることをお勧めします。

年神様をお迎えするお正月飾りやしめ飾りはいつ飾るのがベスト?
お正月には、その年の歳神様をお迎えするための準備として、大掃除のあとお正月飾りをします。お正月飾りには門松やしめ飾りがあります。このページでは、いつ飾るか、あるいはいつ片付けるかということや、雄松と雌松をどのように飾るかを書いています。
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お正月によく飾る花の水揚げ方法について。普通は花屋できちんと水揚げ処理をして販売していますので、殆どの場合は生ける時に水切りをするだけで問題ありませんが、どうしても水が上がらない場合はその花に合った水揚げをしてから生けるようにしてください。
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