春の訪れを感じさせてくれる菜の花。菜の花畑や河川敷では桜の開花と同時期に咲くことも多く、ピンクの桜と黄色い菜の花のコントラストがとても綺麗です。食用の菜の花はもう少し早くて11月か12月頃から出回ります。
ところでこの菜の花って何の花だと思いますか?
菜の花という植物
例えばバラやカーネーションは、これがバラ、これがカーネーションというように、この植物はこの名前ということが決まっています。しかし菜の花はバラやカーネーションのように「これが菜の花だ」という植物はありません。菜の花はアブラナ科アブラナ属の植物の総称です。
アブラナ科の植物は春が近づくと茎を伸ばして花を咲かせます。この茎を董(とう)といい、伸びてくることを董立ち(とうだち)といいます。
下の写真は昨年の春に私の家で咲いた葉牡丹の花です。
どことなく菜の花みたいですね。では上に書いた野菜たちの花も見てみましょう。
名前と写真がずれていて間違っていてもわからないくらいみんなよく似ています。。
写真のようにアブラナ科アブラナ属の花はとても似ていますので、アブラナ属の花は全て「菜の花」と呼ばれていることが多いようです。
一般的に食用とする若い葉の時はアオナ、花が咲いている時をナノハナ、花が咲いたあとに種子ができるとナタネと呼ばれます。
野菜(食用)として流通しているの菜の花は、「伏見寒咲花菜」や「伏見ちりめん花菜」などの和種なばなと「菜々みどり」や「三陸つぼみ菜」という品種で、切り花として流通している菜の花は、花付きが良く沢山開花する「黒川寒咲きちりめん」や「春雷」などです。あとナタネ油を採る場合は良質の油が効率よく採取できる「ななしきぶ」や「キザキノナタネ」が使われています。
河川敷などに咲いている菜の花
セイヨウアブラナは油を採るために栽培されていました。セイヨウカラシナは種からカラシを作ります。セイヨウアブラナもセイヨウカラシナも食用として栽培されていたのが野生化した結果、群生するようになりました。
どちらも黄色い花が咲くので区別が付きにくいように思いますが、葉が丸めでギザギザはなく葉が茎を抱くような形になっているのがセイヨウアブラナ、葉がギザギザしていて茎から柄を出して葉を付けているのがセイヨウカラシナです。葉で見分けてくださいね。
菜種梅雨(なたねづゆ)
梅の実が熟す頃に降る雨のことを梅雨といいますが、植物の名前が付いた「~~梅雨」というものがあります。
3月下旬から4月上旬にかけての菜の花が咲いている時期に降り続く雨のことを「菜種梅雨」といいます。しかし6月頃にやってくる本格的な梅雨とは違って長くても1週間程度のようです。雨も梅雨のように激しく降るというより、しとしとと降っている感じです。
このように植物の名前のついた梅雨はほかにもあります。
- 5月初旬の長雨:筍梅雨(たけのこづゆ)
- 8月下旬から10月頃の長雨:薄梅雨(すすきづゆ)
- 11月下旬から12月上旬頃の長雨:山茶花梅雨(さざんかづゆ)
鑑賞用の菜の花は食べることができるか?
ブロッコリーやカリフラワーは蕾を食べていると書きましたが、スーパーの野菜売り場で販売されている菜の花も蕾の状態の時です。お家で育てていたカブやコマツナなどが菜の花になってしまったら、もしそれが蕾であれば食べることはできますが開花していたらもう遅いです。
菜の花畑や河川敷で綺麗に咲いているなと思って見る頃になると、もうすっかり花は開花していますが、もし開花する前であれば食べることはできると思います。でも食べられるとしても食用に改良されたものではありませんので、スーパーなどで販売されている食用の菜の花ほどは美味しくないかもしれません。
切り花の菜の花は食べられる?
食用にする花(エディブルフラワー)は食用にするために育てていますので、無農薬あるいは食用にする野菜に使ってもよい薬剤で育てています。
しかし切り花にする場合は、花を美しく咲かせるために農薬を使いますので残留農薬が問題になります。どの程度の残留があるか不明ですので、切り花として販売されている花は菜の花に限らずどれも食べないようにしてください。