お盆はいつ?7月盆(新盆)8月盆(旧盆)の違いとお供えする花

私は関西に住んでいますのでお盆といえば8月です。

お盆になるとお供えをして8月13日から16日の間のいずれかの日にお墓参りに行っていましたので、大人になってから7月にもお盆をするところがあると聞いて驚いたものです。ではなぜ7月と8月というような違いができたのでしょうか。

なぜ7月と8月にお盆が分かれたのか

お盆が1ヶ月異なった理由は、旧暦から新暦に切り替わったことがきっかけです。明治5年(1872年)11月9日、それまでの太陽太陰暦を廃して太陽暦を採用することの詔書が発せられ、太政官布告第337号により公布されました。

「太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書」によると、それまでの月の満ち欠けに合わせて1ヶ月間の日付を決め、数年に1回閏月をおき、1年を13ヶ月として太陽の運行による周期太陽年を考慮し、季節を調節していく太陰太陽暦だったのを地球が太陽のまわりを一回転する時間を1年とする太陽暦(グレゴリオ暦)を採用し、1年を365日とし、それを12月に分けて4年毎に閏年をおくこと、1日を24時間とすることというように変わりました。

そして旧暦の明治5年12月3日を新暦の明治6年1月1日とすることになったのだそうです。この1ヶ月の差が7月と8月にお盆が分かれた理由のひとつにあるようです。

明治5年以前のお盆は全国的に旧暦の7月15日でした。しかし旧暦が新暦になったことで日にちに違いが出てきます。

新暦の7月をお盆にした地域

東京都、神奈川県、北海道、石川県、静岡県の一部は新暦の7月がお盆という地域があります。これはやはり場所的にも明治政府に近いところは対応しないといけなかったのでしょう。

新暦の8月をお盆とした地域

上記の地域以外で全国的にも多いのが8月のお盆です。「月遅れ盆」ともいいます。

新暦になってからも明治政府の目が行き届かなかった地域では、なかなか以前からの慣習を切り替えることにならず、旧暦でお盆が行われていました。その後は旧暦の7月15日に近い新暦の8月15日をお盆とすることで落ち着いたようです。



お盆にお供えする花

仏様にお供えする花といえば菊を一番に思い浮かべますが、お盆用の仏花や墓花はいつもの花とは違った花を使います。

蓮(はす)

蓮はハス科ハス属の挺水植物です。茎が水面から立ち上がり花を咲かせ、中心には花托があり花が終わったあとは花托だけが残ります。

蓮は綺麗な水では大きく咲かず、汚れた泥水が必要です。このことから泥の中に生まれても清らかに咲く清浄無比の花といわれ、お盆の仏花や墓花や切り花に使います。

蓮の花(はすのはな)

蓮の花

日本、中国、インドに分布する東洋種(ネルンボ・ヌキフェラ)と、北アメリカに分布するアメリカ種(ネルンボ・ペンタペタラ)の2種類があり、東洋種の花色は赤か白、アメリカ種は黄色です。

蓮台(れんだい:蓮の実)

蓮台・蓮の実

蓮台というのは蓮華を模した仏様の台座のことですが、蓮の花が終わったあとに残った花托のことも蓮台といいます。蜂の巣のように見えるのは実で、熟すと水中に落ちて根茎になり花を咲かせます。

蓮の水揚げ

蓮は切り花にしてしまうと自力では水を吸いあげることができません。蓮の水揚げは切り花の中でも難易度が高く、花屋で購入した蓮の花は水揚げしても綺麗に開花させることは無理だと思ってください。

もし蓮池から取ってきてすぐだったら花用の水揚げポンプを使って茎の中に水を入れてやるようにすると咲くことがあります。水揚げポンプがない場合はホースを使い水圧で水を入れたり、水鉄砲で茎に注入してみてください。

鬼灯(ほおずき)

ほおずき

ほおずきはナス科ホオズキ属の多年草です。日本では一般的に観賞用として知られていますが、ここ数年で食用のほおずきもでてきました。

ご先祖様が迷わないように提灯に見立てて飾ります。

ほおずき笛

ほおずき笛の作り方は、ほおずきの実を優しく押したり揉んだりして柔らかくしたのち、殻と実の繋ぎ目の部分を少しずつ剥がします。すると中身が出始めますので、穴が裂けないように注意しつつ中身を出しながら殻と離してしまいます。中身が全部出たら水で洗い、口に含んで音を鳴らします。

透かしほおずき

ほおずきの実が全部水に浸かるようにして1週間から10日そのままにしておきます。その後、取り出して水洗いすると殻の部分の葉脈だけが白く残ります。

水に入れたまま腐らせるため臭いがしますので蓋のある容器がいいと思います。出来上がるととても綺麗です。

女郎花(おみなえし)

オミナエシ

オミナエシ科オミナエシ属の多年草で秋の七草のひとつです。

小さく可愛い花ですが、切り花に入っているとすぐに分かるくらいのにおいがします。お盆の切り花や仏花や墓花に使います。

高野槙(こうやまき)

高野槙

槙には犬槙(イヌマキ)、羅漢槙(ラカンマキ)、高野槙(コウヤマキ)などがありますが、お盆に使う槙は高野槙です。

通常の仏花や墓花は花の後ろに付ける葉としてヒサカキを使うことが多いですがお盆は高野槙に変えます。ヒサカキを外して全部高野槙にするお店もありますし、ヒサカキはそのままで高野槙を少し入れるお店もあります。

高野槙はマツ目コウヤマキ科の日本の固有種で、和歌山県の高野山や和歌山県と奈良県の県境にある大台ケ原に多くあることから名前がつけられました。高野山では霊木とされています。



お供えする花束やアレンジメント

お盆のお花は仏花や墓花はもちろんですが、お供えものとしてのお花を飾ったり知人に贈ったりします。

新盆の場合は白い花メインの花束やアレンジメントを贈り(飾り)ましょう。2年目以降は淡いピンクや紫色などを使っても大丈夫です。ただ色にこだわりなくお好きだった花を贈られる(飾られる)場合もあります。

迷ったときは新盆は白メイン、それ以降は淡い色を入れていくようにすればいいと思います。お届けする場合(飾る場合)は、盆入り前の11日か12日までに先様に届く(飾る)ようにしましょう。

おがら

おがらというのはお盆の時に「迎え火」や「送り火」に使うもので麻の皮をはいだ茎です。「麻幹」や「苧殻」とも書きます。

おがら

迎え火は7月がお盆の地域は7月13日、8月の地域は8月13日に焚き、送り火は7月がお盆の地域は7月16日、8月の地域は8月16日におこなうことが多いです。

このおがらはお盆の時の迎え火や送り火としてだけでなく、ほかにも使われています。

  • 白川郷の合掌造りの茅葺屋根
    茅葺屋根の下地として使用されています。
  • お祭りの松明
    全国各地で使われています。
  • へンプクリート
    チップ状にしたおがらと石灰の混合物で、建築材料や建築用断熱材に用いられています。

「記事の内容について」ですが、私は大阪府に住んでいますので今回は私の住んでいる地域の一般的なことを書いています。日本各地でお盆に行われるご先祖様の迎え入れ・送り出しの風習は地域によって違いますので、お住まいのところとは異なる内容かもしれません。ご了承ください。

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