混同しやすい「ハス」と「スイレン」特徴を知れば見分けるのは簡単

夏の水辺で咲いているハスやスイレンを見ると涼やかな気持ちになります。でもこのハスとスイレン、どう違うのか分かりにくいと思われている人もいらっしゃるかもしれません。

どちらも似たような花ですが、それぞれの特徴を知れば簡単に見分けることができるようになります。

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ハスについて

ハスはハス科ハス属の挺水植物です。ハスには日本だけでなく中国やインドなどにも分布する東洋種(ネルンボ・ヌキフェラ)と、北アメリカに分布するアメリカ種(ネルンボ・ペンタペタラ)の2種類があり、東洋種の花の色は赤か白であるのに対してアメリカ種は黄色です。

挺水(ていすい)植物とは水深約0.5~2メートルの浅水に生えていて、根は水底の土壌の中にあって葉や茎が水上に出ている植物のことです。抽水(ちゅうすい)植物ともいいます。

ハスの花

ハスの花は茎が水面から立ち上がり、その先に花を咲かせます。丸みのある花弁で、花の中心に花托があり、花が終わった後は花托だけ残ります。

ハスの花

ハスの花は4日間のサイクルで咲いています。1日目の早朝につぼみの先が少し開き、昼過ぎか夕方になるとそのまま閉じます。2日目は1日目より大きく開き、昼過ぎか夕方になると閉じます。3日目になるとさらに大きく開き、夕方になると閉じますが1日目や2日目ほど閉じきらないまま4日目を迎えます。4日目は朝から開き始めますが、開ききったあと花弁は散り始め、夕方には全ての花弁は散り花托が残った状態になります。

綺麗に咲いたハスの花を見ようと思ったら午前中に!

ハスの花托

花托は初め緑色ですが、少しずつ茶褐色になり、蜂の巣の穴のようになっている中にある実(種子)が熟し、水の中に落ちて根茎になりまた花を咲かせてくれます。
7月から8月くらいがハスの開花時期で、実(種子)が落ちて翌年の成長期までに根茎を大きくします。この大きくなった根茎が私たちが食べている蓮根です。蓮根はハスの根と書きますので根を食べているように思いますが、実際は根ではなく根のように見える茎を食べています。

名前の由来ですが、ハスには「はちす」という古名があり、これは花托が蜂の巣のように見えるということから付けられたもので、はちすが縮まりハスになったそうです。

ハスの葉

ハスの葉は円形または楕円形をしていて光沢がありません。そして水面から立ち上がった「立ち葉」になっています。ただ春先は立ち葉の前に浮葉が出ます。その時に見ると後に書くスイレンと混同しそうになりますが、スイレンの葉とは形が違いますので見分けられると思います。

ハスの葉の表面には撥水性があり、水に塗れても水滴は水玉になって転がっていきます。このような特性をロータス効果といいます。

ハスの葉

ロータス効果とは

ハスのことを英語でロータス (Lotus)といいます。

ハスの葉には撥水性があると書きましたが、これは葉の表面に細かな凹凸があることと、ワックスのような成分が分泌されていることで水を弾くようになっています。そのためハスの葉に水が付いても水滴となって落ちていきます。その際に表面の汚れも取り込んで落としてくれるので葉の表面は綺麗な状態を保つことができています。

このような効果のことをロータス効果といい、材料工学において自浄性を指す用語になっています。

ロータス効果

ロータス効果を利用している商品は、防水スプレーや傘、フライパンやしゃもじ、塗料など、私たちの身近なところに沢山あります。聞いてなるほどと思ったのがヨーグルトの蓋です。以前はヨーグルトを開けると蓋にヨーグルトが付いていました。ところが最近は付かなくなってきています。これもロータス効果を利用しているのです。


スイレンについて

スイレンはスイレン科スイレン属の浮葉植物で、英語でWater lily(ウォーターリリー)といいます。浮葉(ふよう)植物とは水底に根を張り、水面に葉を浮かべている植物のことです。

スイレンといえば多くの人はクロード・モネを思い浮かべますが、それもそのはずで睡蓮を描いた作品は250点以上あります。

スイレンの花

スイレンはハスに比べて花弁はやや細めで花托がありません。そして花が終わる時、花びらが散り花托が残ったハスと異なり、花が終わると水に沈んでしまいます。

スイレンの花

開花から花が終わって水に沈むまでの期間は2~3日ですが、スイレンもハスのように朝になると花が開き夕方になると閉じます。このような習性から「睡眠する花=睡蓮」という名前が付けられたということです。「水に浮かんでいるから水蓮」ではありませんので間違わないでくださいね。

スイレンの花も午前中が見頃です。

スイレンは温帯スイレンと熱帯スイレンに分けられますが、それぞれは耐寒性だけでなく形も少し異なっています。

特徴としては次のようになります。

温帯スイレン
・ワサビのような塊根で少しずつ伸びて新しい芽が出る
・水面、あるいは水面近くで花が咲く
・白やピンク、赤などの花が咲く。淡い色も多い。

熱帯スイレン
・球状の球根で小球ができて増える
・水面から茎を伸ばして花が咲く
・温帯スイレンにはない青や紫などの色の花もある

スイレンの葉

スイレンの葉は水面に浮かんでいます。形は蹄形をしていて葉に切れ込みがあり光沢もありますが、ハスのように水は弾きません。

また葉の色は一般的に緑が多いですが、中には斑点が入っていたり、濃赤紫色をしていたりするものもあります。

スイレンの葉

ところでオニバスというのをご存じでしょうか?よく知られているのはパラグアイオニバスというもので、小さな子どもさんが乗っても水に沈まないというあの大きな葉です。オニバスというからにはハス科かと思われるかもしれませんが、浮葉植物でスイレン科です。


ハスとスイレンの比較

ハスとスイレンについて書いてみましたが、特徴が分かれば簡単に区別できると思います。まとめとしてハスとスイレンの特徴を表にしました。

ハス スイレン
・茎が水面から立ち上がり花を咲かせる
・花弁は丸みがある
・花後に花托が残る
・水面近くで咲くものと茎を伸ばして咲くものがある
・花弁はやや細いめ
・花托はない
・立ち葉になっている
・形は円形か楕円形
・光沢はない
・ロータス効果で水を弾く
・水面に浮かんでいる
・切れ込みがある
・光沢がある
・水を弾かない

これらの特徴がわかれば間違えることはないと思います。

2021年もマスクを付けた夏になります。ハスやスイレンといった水生植物を見て少しでも涼しくお過ごしください。

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