夏の定番切り花8種類・長持ちさせるコツと購入する時のポイント

春の8種類の花に続き、今回は暑い中でも咲いてくれている夏の切り花を8種類紹介したいと思います。

ひまわり

和名:向日葵(ヒマワリ)
キク科ヒマワリ属の一年草です。

和名では向日葵のほかにも日輪草、日車草、日回り草など、日(太陽)に由来する名前が付いています。原産地は北アメリカ中西部、日本へは江戸時代に中国から入ってきました。

太陽を向いて咲く花と思われていますが、太陽を追うのは成長期だけで成長しきると基本的に東を向いたまま固定されます。これはひまわりの茎に太陽が当たる側と当たらない側があった場合、オーキシンという植物ホルモンが日の当たらない側に作用して成長を促すためです。

庭植えやプランターで楽しめるひまわりですが、夏になると切り花も沢山花屋に並びます。

夏の切り花ひまわり

ひまわりを選ぶポイント

ひとことでひまわりといっても沢山の品種があります。切り花として一番多く販売しているのはサンリッチオレンジではないかと思います。このサンリッチオレンジはサンリッチシリーズのひとつです。

サンリッチシリーズはサンリッチオレンジ以外にもサンリッチレモン、サンリッチパイン、サンリッチバレンシア、サンリッチマンゴー、サンリッチバナナ、サンリッチマロン、サンリッチライチなんていう美味しそうな名前が付いたひまわりシリーズです。

また画家シリーズではゴッホのひまわり、モネのひまわりというのもありますし、半八重咲きのレモンエクレア、八重咲きの東北八重などたくさんの品種がありますので、好みのひまわりを探してみるのも楽しいかもしれません。

購入する時は茎が固く、一番上の葉が小さくて花弁に欠けがないものを選ぶようにしてください。

ひまわりを生ける時

ひまわりの茎には細かい毛のようなものが生えています。この毛のようなものが生えている茎はバラのようにつるっとしている茎より水を汚しやすいです。特に夏ということもあり余計に水が濁りやすくバクテリアも発生しやすくなっています。

水は毎日交換して切り戻しをして花瓶を丁寧に洗い、浅水で生けてください。水に浸かった茎の色が変色していたら変色していないところまでカットしてから生けなおすようにしてください。

また一般的に切り花の茎は斜めにカットする方が断面が大きくなり水を良く吸うようになりますが、ひまわりのような茎の場合は、逆に断面を大きくしないようにまっすぐにカットした方が花持ちはよくなります。

はなこ
はなこ

ひまわりの花は大きいため上手く収まらないようでしたら、口の細い花瓶に生けるか、剣山やフローラルフォームに挿すと安定しやすいのでお試しください。



ユリ

和名:百合(ユリ)
ユリ科ユリ属の多年草です。

原産地は北半球の温帯地域といわれています。ユリは最も古くから栽培された花のひとつとされており、紀元前1500年頃の壁画にも描かれているそうです。

ユリの園芸種は1964年に英国王立園芸協会によって次のように分類されました。

  • 1群 アジアティック・ハイブリッド
  • 2群 マルタゴン・ハイブリッド
  • 3群 キャンディダム・ハイブリッド(マドンナリリー・ハイブリッド)
  • 4群 アメリカン・ハイブリッド
  • 5群 ロンギフローラム・ハイブリッド
  • 6群 トランペット・ハイブリッド(オーレリアン・トランペット・ハイブリッド)
  • 7群 オリエンタル・ハイブリッド
  • 8群 そのほかの交配品種(下位分類)
  • 9群 上記以外の野生種・変種など

切り花としてよく見かける新テッポウユリはロンギフローラム・ハイブリッド、カサブランカはオリエンタル・ハイブリッド、スカシユリはアジアティック・ハイブリッドに分類されます。

夏の切り花ユリ

ユリを選ぶポイント

ユリの蕾は殆どが開花しますが、全ての蕾が固すぎるものより一番大きな蕾が翌日にでも開花するようなものがお勧めです。

またオリエンタル系のカサブランカなどでは蕾の数によって価格が異なることがあります。蕾が沢山付いているとお値段も高くなりがちですが。その分長持ちするのでお得かもしれません。

花束にしてプレゼントされる時は蕾ばかりだと寂しいので、花は数輪咲いているものがいいですね。

ユリを生ける時

ユリの花で一番気になるのは花粉です。花粉は花弁だけでなく衣服や床を汚してしまって困ったという経験がある人も多いようです。

ユリは開ききると葯が破れて花粉をふきます。花が開き始めたら葯が破れるまでに指かピンセットで取り去るようにしましょう。

詳しくはこちらに書いています。

ユリのおしべには注意。花粉の処理と付いてしまった時の落とし方
華やかなユリの花ですが、花粉には注意が必要です。ユリの花粉は花弁や手指、衣類などを汚さないために葯が破れて花粉がふいてしまう前、花が開き始めて少しでも葯が見えたらすぐに取り除くのがベストです。花粉を取り除くことは花の長持ちにも繋がります。
咲き終わった花は順番に切っていくと最後の蕾まで楽しめます。

クルクマ

和名:クルクマ
ショウガ科クルクマ属(ウコン属)の球根植物です。

クルクマ属(ウコン属)なのでウコンの仲間なのですが、ウコンの仲間には食用や薬用になるものと花を観賞するためのものがあり、切り花として楽しむものはクルクマ・シャロームという品種です。

夏の切り花クルクマ

クルクマを選ぶポイント

クルクマには白やピンクの花がありますが、この白やピンクの部分は花ではなく苞といいます。本当の花は苞の奥の方に小さく咲いています。

苞は枯れ始めるとシワが出てきて変色してきますので、購入する時はシワがなく色の綺麗なものを選んでください。

はなこ
はなこ

苞というのは葉が変化したものです。

クルクマを生ける時

ハサミかナイフで茎を斜めにカットして毎日水を換えて切り戻しをしてください。真夏でもお手入れが簡単で比較的長持ちする切り花です。



アンスリウム

和名:大紅団扇(オオベニウチワ)
熱帯アメリカ原産のサトイモ科アンスリウム属の多年草です。

赤や白や緑など色づいた部分は花ではなく仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる大きな苞で、その仏炎苞の中心から突起した部分に小さな花が沢山付いています。*下の写真の黄色い突起が花です。

このような花の付き方を肉穂花序(にくすいかじょ)といいます。肉穂花序はサトイモ科の植物にみられる多肉質な太い花軸に柄のない多数の小花を直接つける花のつき方のことです。

夏の切り花アンスリウム

アンスリウムを選ぶポイント

色もサイズもいろいろとあり、品種も豊富なのでお馴染みの赤だけでなく薄ピンクや白、白とグリーンの混じったような色もあるのでトロピカルなイメージにも涼しげなイメージにも生けることができます。

仏炎苞にツヤがあって傷がなく、肉穂花序の部分に変色がないものを選びましょう。

アンスリウムを生ける時

茎は斜めにカットし、毎日水を換えて切り戻しをして生けなおしてください。

アンスリウムは茎が細く仏炎苞が大きいので、生けたい位置や思った箇所に留めにくいかもしれません。口の細い花瓶に生けるか、フローラルフォームや剣山に挿して固定すると簡単です。

トルコギキョウ

和名:トルコギキョウ
リンドウ科ユーストマ属の一年草です。

キキョウと名前が付いていますがキキョウ科ではありません。またトルコともついていますが原産はトルコではなくアメリカです。キキョウでもないトルコ原産でもないのになぜこのような名前になったか不思議ですが、一説では蕾の形がトルコ人のターバンのようで、咲き方がキキョウに似ているからといわれています。

トルコギキョウを選ぶポイント

トルコギキョウは年間通して販売されていますが、旬は夏です。ピンク、白、紫など優しい色が多く、また一重や八重やフリンジ咲きといった咲き方もあります。

価格は500円~1,000円なので若干お高い感じもしますが、花も沢山付いているので夏でも長く楽しむことができると思います。

注意することは花からすぐ下の茎が折れやすいので、購入する時は折れてしまった花がないか確認してください。

トルコギキョウを生ける時

トルコギキョウはハサミやナイフで切るより手で折るほうがよく水を吸います。

また葉が付いている部分は節のようになっています。切り分ける時は節の部分でカットすると水が上がりにくいので節を避けてカットするようにしてください。

水折りの方法

  1. 水中に茎を入れて両手の親指の爪を茎に当てて一気にポキッと折ります。
  2. もし折れなかったら茎をねじり切ってください。
  3. 10秒くらいそのまま水につけておき、新しい切り口から水を吸わせます。
  4. 花瓶などに生けます。

ハサミやナイフで切らず、手で折ったりねじ切ったりすることで茎の切り口がギザギザになるので水を吸う面積が多くなります。

私はずっとトルコキョウだと思っていました。しかしトルコキョウという人もいて、はたしてどちらが正しいのかGoogle検索をしてみたところ

  • トルコギキョウ 614,000
  • トルコキキョウ 5,360,000

圧倒的にトルコキョウの方が多いという結果になりました。それならきっとトルコキョウが正式名称だと思ってしまいますが、趣味の園芸ではトルコキョウ、サカタのタネでもトルコキョウ、花市場である大田花きでもトルコキョウ、農林水産省でもトルコキョウでしたので、やはりトルコギキョウと呼ぶようです。



グラジオラス

和名:唐菖蒲(とうしょうぶ)
アヤメ科グラジオラス属の球根植物です。

一般的に呼ばれているグラジオラス(Gladiolus)はラテン語で剣の意味をもちます。これは尖った葉が剣に似ていることから付けられました。花の長さや形ではなく葉なんですね。

穂状花序(すいじょうかじょ)で下の方の蕾から咲いてきます。穂状花序とは長く伸びた花軸に花柄のない花をたくさんつける花の咲き方です。

夏の切り花グラジオラス

グラジオラスを選ぶポイント

殆どが蕾のままで販売されていることが多く寂しい感じがしますが、下から順番に咲いていって華やかになりますので蕾の多い花を選んでください。

また先端を折って先がない状態になっていることもあると思います。先端の花は咲かないのため花屋で3つ分くらい折り取っているかもしれませんが、この処理をすることで蕾が咲ききってくれますので問題ありません。

グラジオラスを生ける時

茎を斜めにカットして、水を毎日換えて切り戻しをしましょう。

水切りで大丈夫だと思いますが、水があがりにくいようでしたら湯あげもお試しください。

湯あげの方法

  1. 茎の下部を20cm程度残して花の上まで新聞紙でくるみます。
  2. 茎を花ばさみで切ります。
  3. 切り口を熱湯につけて20秒~30秒ほど待ちます。
  4. その後すぐに冷水が入っているバケツなどに入れます。
  5. なるべく花がまっすぐ立つようにし、2~3時間そのままにします。
  6. 水が上がったのを確認したら新聞紙を外して花瓶などに生けます。
はなこ
はなこ

葉は下の方に付いていますので、そのまま茎をカットしてしまうと葉が短くなり、花瓶に生けた時に葉が見えないようになるかもしれません。最初に葉が付いている所からカットして、花の付いている茎と一緒に組み合わせて生けるようにすれば花も葉もよく見えるようになります。また長さを生かすために背の高い花瓶に生けても綺麗です。

ジニア

和名:百日草(ヒャクニチソウ)
キク科ヒャクニチソウ属の一年草です。

ジニアは切り花だけでなくガーデニングとしても夏によく育てられています。

花色、大きさ、花形などがたくさんあるので、ジニアと聞いても皆が思い浮かべる花は違うかもしれません。ジニアと似ている花にダリアがありますが、ジニアは種子から育つ一年草なのに対して、ダリアは根が肥大した球根で育つ多年草です。またダリアの葉の縁はギザギザとしていますが、ジニアにはギザギザはありません。

夏の切り花ジニア

ジニアを選ぶポイント

品種も豊富で可愛い花を咲かせてくれますので、いろいろな色のジニアがあれば混ぜて生けるとポップで夏らしくなると思います。

和名で百日草と書くため100日も持つの?と思ってしまうそうになりますが、ガーデニングで植えた場合の花期が100日と思ってください。切り花では普通の夏の切り花くらいの花持ちです。

ジニアを生ける時

一般的な水切りで大丈夫だと思いますが、水が上がりにくいようでしたら湯上げや焼き揚げもお試しください。湯上げの方法はグラジオラスのところに書いていますので、ここでは焼く水揚げの方法を書きます。

焼き揚げの方法

  1. 花を新聞紙で包みますが、火を使いますので茎の部分を包んでいる新聞紙は濡らしておいてください。
  2. バケツに水を用意します。
  3. 茎をカットして切り口から3~5cm程度を炭化するまで焼きます。
  4. 新聞紙に包んだまま水の入ったバケツに入れて数時間そのままにします。
  5. 水が上がったことを確認してから新聞紙を外して花瓶などに生けます。
焼き揚げは切り口を熱で殺菌して、茎の中の空気を排出させる効果があります。

センニチコウ

和名:千日紅(センニチコウ)
ヒユ科センニチソウ属の一年草です。

とても可愛い丸い形をしていますが、これは花ではなく苞で花は苞の隙間から見える小さな黄色い部分です。

センニチコウには1本の茎に1輪の花をつけるハーゲアナ種と、スプレータイプのグロボーサ種があります。ハーゲアナ種はよく知られているストロベリーフィールドがあり、また従来の花とは少し違うプルケラ種のファイアーワークスも人気です。

千日紅い花といわれるように、ドライフラワーにするとかなり長い間綺麗な状態を保つことができます。

夏の切り花センニチコウ

センニチコウを選ぶポイント

アレンジメントなどでポイントとして入れる時は赤いストロベリーフィールドが使いやすいように思います。

センニチコウだけを飾りたいときは、ボリューム感を出せるグロボーサ種がいいかもしれません。色もピンクやホワイトなどがありますので色々混ぜてみるのも可愛いです。

センニチコウを生ける時

水切りで問題ないと思いますが、水が上がりにくいようでしたら湯あげもお試しください。

ドライフラワーにしようと思われたなら、花が綺麗な状態の時に逆さまにして吊るしてしまいましょう。枯れてからドライフラワーにしても綺麗に仕上がりません。

夏の切り花はほかの季節に比べるとどうしても日持ちがしません。どの花も購入したら水切りをして、毎日水を換えて花瓶を丁寧に洗い、切り戻しをして生けなおすようにしてください。暑いから水に氷を入れるということも聞きますが、氷で冷たいのは氷があるときだけです。水温の変化で花が弱ることもありますのでおやめください。
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