家庭菜園を楽しんでおられる人も多いようです。近所でもいろいろと育てているお家もあって、通るたびに四季それぞれに成長していく野菜を楽しみに見ています。
私は20年ほど前にミニトマトは育てたことがあったのですが、それ以降、野菜といえばこのブログにも書いた春に育てた豆苗からえんどう豆、そしてセットになったガーデンレタス程度で、花はいろいろと育てているのですが野菜に関しては殆ど経験がありません。そんな私がきゅうりを育ててみました。
きゅうりについて
きゅうりはウリ科キュウリ属のつる性一年草です。ハウス栽培があるおかげで一年中出回っていますが、本来は夏野菜の代表ともいえます。
ギネスワールドレコーズに「Least calorific fruit」と登録されており、直訳すれば「カロリー(発熱量)の最も低い果実」になりますが、日本語訳をしたときに「最も熱量が低い(ローカロリーな)果実」ということから「世界で一番栄養が少ない野菜」と誤解され、それが広まってしまったようです。
確かにきゅうりは全体の約96%が水分で、カロリーも100gあたり約14kcalと低いですが、カリウム成分を多く含んでおり、ナトリウムの排出を促す効果や血液凝固を抑制する働きがあるといわれています。夏バテになる原因にカリウム不足があることから、水分もカリウムも摂取することができるきゅうりは夏の食材として良い効果があります。
それでは育ててみましょう!
きゅうりを育てる
今回のきゅうりは地植えではなくベランダ菜園をする時、このような方法をされる人が多いかもしれないと思う環境条件で育てることにしました。種からも育てられますが、初心者の私は苗から育てることにしました。
育てる条件について
- 南向きベランダで育てる
- 苗から育てる
- 10号鉢にひとつの苗だけ植える
以上です。
苗を購入
苗は入手しやすいホームセンターで購入しました。品種は「夏ふうみ」です。
夏ふうみはサントリーの苗でホームページによりますと、主枝と子づる及び孫づるにバランスよく着果するタイプのようです。整枝は基本的に不要で放任栽培で問題なしなので初心者向きのきゅうりかもしれません。 べと病、うどんこ病、褐斑病に強く、秋まで収穫できるらしいのですが、私のような超初心者が育てるとどうなるでしょうか。
「サントリー本気野菜」と書いてありますので、その本気を見せてもらいましょう!。いえいえ、本気を出すのは私ですね。
5月20日苗を植える
たまたま家に10号のスリット鉢がありましたので、それを使うことにして苗を植えました。
実はこのスリット鉢、植え付ける時からサイズが少し小さいような気がしていたのですが、家にあるのは10号だと思い込んでいたので気になりつつも植えてしまいました。ところが5日後にじっくりと鉢を見ると10号ではなく9号ではありませんか。思い込みって駄目ですね。
これでは育てる条件のひとつである「10号鉢にひとつの苗だけ植える」がクリアしないので、気が付いたその日にホームセンターまで行き、野菜を育てるのに適した10号鉢を買ってきて、根鉢を崩さないようにそっと植え替えをしました。
6月5日高さ45cm
苗を植えて約15日後には高さが45cmになりました。途中で植え替えをしたので少しだけ心配でしたが、なんの問題もなくスクスクと育っているようです。
苗を植えて数日すると巻きひげが出始めたので慌てて支柱を立てましたが、あっという間に巻きひげを支柱に絡ませてどんどん上に伸びて行きました。
巻きひげは支柱に巻き付いた後、ひげの途中がスプリングのようになります。スプリングがあるおかげで風が吹いてもひげが切れずに株を支えることができます。
今回の支柱は180cmのものを5本立てて、その間に麻紐を張り、合計10本でツリー仕立てにしました。
2週間程度毎の肥料と水やりを忘れずに育てて行きたいと思います。
6月15日高さ135cm
毎日グングンと伸びる様子に驚いていたのですが、測ってみると10日前から約90cmも伸びていました。この間にしたことは7節目あたりまで芽かきをしたことです。
そしてちょうど雌花も雄花も咲き始めました。
きゅうりは雄花と雌花が咲きますが、受粉しなくても実ができる単為結果(たんいけっか)という性質を持っているため受粉させる手間がいりません。また花が咲いてから収穫までの成長が早いため、毎日のチェックは忘れないようにしなければいけないようです。
きゅうりの花は単性花といい、雌花にはめしべだけ、雄花にはおしべだけがあります。花はつるの節のところに咲かせます。
雌花と雄花の違い
雌花には花の後ろに子房と呼ばれる実になる膨らみがあります。
雄花には実になる部分(子房)がありません。
6月18日摘芯
摘芯とは植物の生長を促すための作業のひとつで、「ピンチ」や「芯止め」ともいいます。
6月15日には135cmだったのが、たった3日で180cmの支柱の天辺を超えましたので摘芯をすることにしました。
摘芯はハサミでもいいのですが私は手で行いました。それにしても背景は空ですが、いかにも梅雨空って色をしています。
摘芯した部分の写真です。これでわき芽も生長しやすくなると思います。
6月15日の雌花に付いていた子房は小さなきゅうりになってきました。サイズは8cmです。この8cmのきゅうりは翌日10cmほどになっていたので摘果しました。
一番最初になった実のことを一番果といい、株を弱らせないために大きくならないうちに取り除くことであとの生長が良くなります。だいたい本来の収穫時の半分ほどのサイズになったら摘果するのがいいようです。摘果きゅうりも食べられます。
摘果とは良質のものを得るために、幼いうちに間引くことです。
6月20日と6月21日小さなきゅうりを収穫
2番目と3番目にできたきゅうりも小さいうちに収穫しました。
6月20日のきゅうりは約12cm、6月21日のきゅうりは約16cmです。20日の時点ではこの2本はほぼ同じ大きさだったのですが、1日で4cmも大きく育ってしまうことに驚きました。これからは早めの収穫を心がけないといけないようです。
6月28日いよいよ収穫!
6月21日に小さなきゅうりを収穫した頃は次のきゅうりになる予定の雌花があまり咲いておらず、約1週間後にようやく普通サイズのきゅうりの収穫をしました。サイズは約22cmです。この頃になると親づるだけでなく、子づるも出てきました。
7月25日これはなに?どうしてこうなった?
親づるに続き、子づるを2節目あたりで摘芯して株を育てつつ、20cmから22cm程度になると収穫していたのですが、もうすぐ8月になろうかという頃から花は咲くけれど、実が大きくならないようになってしまいました。
雨が多かったからかもしれません。暫く様子をみることにしました。
その後のきゅうり
流れ果しかできない状態が暫く続いたあと、また普通に成長を始めたきゅうりでしたが、8月のお盆時期に強く吹いた風のために親づるが途中から折れてしまいました。鉢がグラグラと揺れるほどの強風だったのでベランダの内側に入れたのですが、それでもダメだったようです。
6月5日のところに「巻きひげは支柱に巻き付いた後、ひげの途中がスプリングのようになるため風が吹いても株を支えることができます」と書きましたが、その巻きひげまでも切ってしまうような風だったため、けっこうボロボロです。
それでもなんとか持ち直し、その後にも数本収穫できましたが、9月になってふと葉の裏を見るとアブラムシが発生していました。せっかくの自家栽培の野菜になんらかの薬を使いたくなかったので、マスキングテープを使って葉を傷めないようにペタペタとアブラムシを取っていく方法で駆除しました。
マスキングテープは粘着力が弱いので、ガムテープやセロハンテープのように葉を傷めることなくアブラムシだけ取ることができます。
9月8日現在、流れ果を省いて20本の収穫です。畑に植えるともっと収穫できるようですし、農家さんは100本以上収穫されるようですが、超初心者+鉢植えならどうもこの程度でおしまいかもしれません。それでもまだ葉は残っていますので、もうしばらく育ててみることにしますがあまり期待はできそうにありません。
収穫したきゅうりはサラダや酢の物や糠漬けにして美味しくいただきました。
きゅうりの水分について
きゅうりの水分は約96%といわれています。
少し前にフローラルフォーム(オアシス)に水を含ませると、約98%が水分になるということを調べてみた記事を書きましたが、フローラルフォームとほぼ同じくらいの水分がきゅうりにあるというのが本当なのか気になったので、きゅうりをドライきゅうりにしてみるとわかるのではと思い、まずはきゅうり1本を乾燥しやすいように薄くスライスしてスケールで重さを量ることにしました。
生のきゅうりの重さは107.8gです。これを天日干しにしてドライきゅうりにしてみましょう。
3日間天日干しにしてドライになったきゅうりがこちらです。本当にあのきゅうりなのかと疑いたくなるほど小さくなっています。
ドライになったきゅうりの重さは4.6gです。では計算してみましょう。計算方法はフローラルフォームの水分を量った時と同じ方法を使います。
生のきゅうりの重さから、ドライきゅうりの重さを引くと水分だけの重さが分かります。そのあと水分の重さを生のきゅうりの重さで割ってから100を掛けると、全体に対しての水の割合が分かるはずです。
式にすると
です。
では数字を当てはめてみましょう。
一般に言われているとおり、ほぼ96%という結果になりました。
今回きゅうりを育ててみて、野菜を育て収穫することの楽しさが少しわかりました。家庭菜園をされている人のホームページや動画を見ながら次は何を育てようか考えているところです。