春になると食卓を彩る豆ごはん。美味しいですね。
そういえば「スナップえんどう」や「きぬさや」は、さやごと食べますが、豆ごはんにする時はさやから豆を取り出して使います。これは別のえんどうなのでしょうか?
えんどう豆について
えんどう豆はマメ科エンドウ属の1年草の植物です。古代オリエント地方や地中海地方で栽培化された豆で、日本に伝わったのは7~8世紀頃、栽培が始まったのは江戸時代になってからです。
えんどう豆の種類
えんどう豆は成熟するまでのそれぞれの過程を食べることができる植物です。
若いさやを収穫してさやごと食べるものを「さやえんどう」といい、成熟して実だけを食べるものを「実えんどう」といいます。
さやえんどう
未熟なえんどうをさやごと食べます。さやえんどうの代表はきぬさやです。
実えんどう
さやは食べません。さやから取り出した豆は豆ごはんなどに使います。実えんどうの代表はグリーンピースです。
スナップえんどう
スナップエンドウは豆が大きく成長してもさやが柔らかく、豆もさやも食べることができる品種です。
えんどうはさやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ)と軟莢種(なんきょうしゅ)に分けられています。軟莢種はさやが柔らかいのが特徴で、さやえんどう、スナップえんどうなどは軟莢種です。
対して硬莢種はさやが固く完熟して乾燥した豆を収穫し、加工します。硬莢種には赤えんどう、青えんどうという種類があります。
赤えんどう
みつ豆や豆大福に使われています。
青えんどう
煎り豆の他、甘く煮込んでうぐいす豆やうぐいす餡に加工されます。
その他、軟莢種ですが紫えんどうというものがあります。紫えんどうはツタンカーメンえんどうとも呼ばれ、濃い紫のさやの中にグリーンの豆が入っています。このグリーンの豆をお米と一緒に炊くと不思議ですが赤飯のような色になります。炊きあがってすぐより、しばらく保温状態にしておくと色が綺麗に出るようです。
えんどうの花
えんどうの花はスイートピーに似ています。
それもそのはずで、スイートピーはマメ科の植物です。和名ではジャコウエンドウ(麝香豌豆)やカオリエンドウ(香豌豆)、ジャコウレンリソウ(麝香連理草)と呼ばれ、簡単にいえば香りの良いえんどう豆の花ということになります。
スイートピーは園芸品種なので、ピンク色や白色や紫色、オレンジ色、赤色がありますが、えんどうの花の色は白色か赤色(ピンク)です。
豆苗とえんどう
豆が付くものとして豆苗がありますが、これはえんどうの若菜です。
豆苗は使い勝手も良く、そして私だけでなくおそらく皆さんも同じようにされていると思いますが、1度カットしても豆と根を水につけておくともう一度収穫できる経済的な食材です。
私はこの豆苗を水栽培ではなく土に植えてみたことがありますが、土に根を下ろし普通に花が咲き、さやえんどうが収穫できました。
植え付ける時は絡んでいる根をばらして、いくつかに分けてから少し離して植えてあげるようにしてください。植え付けの時期は10月から11月頃に植えて越冬させるか、2月下旬から3月頃に植えるのが良いようです。
豆苗を土で育てると、豆苗とえんどうは同じものだとわかりますし、成長していく過程も見ることができ、もちろん収穫して食べることもできます。興味を持たれたらお試しくださいね。
ところで春になると、公園や空地などの私たちの身近なところで見かける小さなえんどうの花があります。カラスノエンドウです。
カラスノエンドウはえんどう豆?
小さな花を咲かせるカラスノエンドウは、種子が熟すと真っ黒になります。この色が鳥のカラスを想像させるということからカラスノエンドウと名前が付けられました。でもちゃんとした名前はカラスノエンドウではなく、ヤハズエンドウといいます。でもカラスノエンドウの方がわかりやすいですね。
カラスノエンドウは【カラス(鳥の名前)】【ノ(~~の)】【エンドウ(豌豆)】ではなく、【カラス(鳥の名前)】【ノエンドウ(野の豌豆)】という意味で、ノエンドウのひとつの種類です。
ノエンドウにはカラスノエンドウの他にカスマグサ、スズメノエンドウという種類があり、花はカラスノエンドウが一番大きく…といっても10~15mm程度、スズメノエンドウは3~4mm程度しかありません。カスマグサはちょうど中間くらいの大きさです。
さやの中に入っている豆の数もカラスノエンドウは8~10粒程度ですが、カスマグサは4粒、スズメノエンドウは2粒程度です。
カラスノエンドウですが、これは花も葉もさやも実も食べることができます。今や雑草扱いされていますが、元々はえんどうと同様に食用として栽培されていたのです。カスマグサもスズメノエンドウも食べることができますが、カスマグサは少し筋が気になるようです。
えんどうの栄養
えんどう豆にはビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、食物繊維、タンパク質などを含んでいます。
- ビタミンB1:エネルギーの代謝を助ける
- ビタミンB2:皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生を助ける
- カリウム:細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ
- 食物繊維は整腸効果や血糖値上昇の抑制する
- タンパク質:筋肉や内臓、髪、爪などを構成し、ホルモンや酵素、免疫細胞を作る
またさやえんどうにはビタミンC、豆苗にはβ-カロテンが豊富に含まれています。
- ビタミンC:抗酸化作用や免疫力の向上などの効能
- β-カロテン:健康な皮膚や粘膜を作ったり老化を防止する効果
手軽に使えるのは缶詰や冷凍のものですが、春から初夏にかけては旬を迎える新鮮なえんどう豆を食べてくださいね。