寒くなってくるとお鍋の回数が増えてきます。野菜もたっぷりと食べることができますし、ぽかぽかと温まりますので冬の定番メニューですね。
入れる具材はお鍋の種類によっても家庭によっても違うと思いますが、一般的に鶏肉や豚肉、豆腐などのほか、野菜もあれこれと使います。これらの野菜たちは開花時期になるとちゃんと花を咲かせます。今回はお鍋に使う野菜の花を見ていきましょう。
白菜
白菜はアブラナ科アブラナ属の二年生植物です。二年生植物というのは種蒔きをして発芽、開花、結実、枯死するまでの生活環が完了するのに、1年以上2年以下で終わる植物のことで二年草とも呼びます。
「菜の花(ナノハナ)という植物はない。菜の花っていったい何の花?」の記事にも書きましたが、バラやカーネーションのようにこれが菜の花という特定の花はありません。
白菜を含むアブラナ属の植物は全てよく似た花を咲かせ、それを「菜の花」と呼ぶことが多いので白菜の花は菜の花の一種だといえます。因みに白菜の花も食べることができます。
白菜だけでなくどの野菜にも旬がありますが、旬の時期以外でも収穫できているのは促成栽培や抑制栽培のほか、気候に応じて各地で栽培されているからです。
白菜のタイプ
白菜は大きく分けて結球、半結球、不結球の3つのタイプがあります。
結球タイプ | 流通が多く、普段よく見かける白菜で葉先まで重なり合っています。 |
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半結球タイプ | 葉が薄くて柔らかい白菜で、胴部はしまり頭部は開いています。 |
不結球タイプ | 結球せずに根元から葉先に向けて広がっています。広島菜などです。 |
ネギ
ネギはヒガンバナ科ネギ属の多年草です。1980年代はユリ科に分類されていたのですが、現在はヒガンバナ科になっています。
花が咲くとネギ自体の味は落ちるようですが、ネギ坊主は花が咲く前の蕾の状態なら食べることができます。お勧めは天ぷらです。
ネギは収穫時期によって夏ネギと冬ネギに分けられ、また白い部分が多いネギを白ネギあるいは根深ネギや長ネギといい、緑の部分が多いネギを葉ネギや青ネギといいます。
関東と関西のネギ事情
関西ではネギの葉を食べることが多く、関東ではネギの白い部分を食べます。
「関西人に白ネギを見せると青い部分が少ないので食べる部分がないと言い、関東人に葉ネギを見せると白い部分が少ないので食べる部分がないと言う」というような笑ってしまうような話を聞いたことがありますが、一応関西にも白ネギは売っていますし、どこを食べるのかも知っていますしお鍋にも使います。ただ私個人的にはうどんに入れるのは葉ネギが好みです。でも焼き鳥のねぎまは白ネギです。
大根
大根はアブラナ科ダイコン属の越年草で、一年中販売されていますが10月~3月が旬です。
大根の部位についての記事にも書きましたが、私たちが食べている大根の大部分は主根といいます。主根からひげのようなものが生えておりそれを側根といいます。側根が生えている主根と異なり葉に近い部分には側根が生えていません。その部分は茎になります。もちろん茎も食べているので正確には大根は主に【短い茎と長い根】の部分を食べていることになります。
ただ花が咲くと大根そのものには鬆(ス)が入ってしまい美味しくありません。花自体は菜の花と同じですので食べることはできます。
大根の部位と料理
大根は上(葉に近い方)は甘みがあり、下になると辛みを感じるようになります。1本の大根を3つの部位に分けてどんな料理に合うか書いてみました。
上部 | 水分が多く甘みがありますので大根サラダなど生のままで使います。 |
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中部 | 柔らかで味のバランスがいいので、おでんやふろふき大根に使います。 |
下部 | 水分量が少なく辛みがありますのでお漬物や汁物の具に使います。 |
春菊
春菊はキク科シュンギク属の植物です。欧米では観賞用として栽培されていますが、東アジアでは花が咲く前の茎や葉を食用にしています。
咲いた花はアブラナ科の菜の花のように美味しくはありません。癖があるので欧米のように切り花にして楽しむほうがいいですね。
春菊と菊菜
先日家族がスーパーまで行ってくれるというので「菊菜」を買ってきてと頼みました。暫くして帰ってきたのですが「菊菜という名前の野菜はないけど、もしかしてこれ?」と言って渡されたのは「春菊」です。私自身は「菊菜=春菊」と思いながらも、子どもの頃から呼びなれている「菊菜」という呼び方で常に春菊を見ていたのですが、買い物に慣れていない男性には分かりにくかったのかもしれません。しかしふと思ったのです。菊菜と春菊は本当に同じなのだろうかと。
調べてみた所、菊菜は関西地方で食べられている春菊なんですが、関東地方の春菊とは品種が異なるようです。関東地方では茎を摘み取って出荷されていますが、関西地方の菊菜は根付きのままで出荷されていることが多いようです。
葉の形も関東地方で多く食べられている春菊は株が上方向に伸びているのが特徴ですが、関西地方で食べられている菊菜は株が横方向に広がっているのが特徴だということです。
確かに私が購入する菊菜(春菊)には根が付いていることが多いです。しかしそういえば根のない春菊を購入することもあって私の中では少し葉が違うように感じつつも菊菜の根が切ってあるのねと思っていたのですが、あれが関東地方の春菊だったのですね。
水菜
水菜はアブラナ科アブラナ属の越年草です。栽培には土と水だけで肥料(堆肥)などを使わなくても育つことから水菜と名前が付いたといわれています。
大根と同じように董が立ち開花し始めると葉は硬くなり美味しくなくなります。花はほかのアブラナ科の野菜と同じように食べることができます。
水菜の水耕栽培
水菜は畑がなくても水耕栽培で育てることができます。
準備するもの
- 水菜の種子
- 浅めの容器
- 台所用のスポンジ
- ティッシュペーパー
- 液体肥料
方法
- スポンジに切れ込みを入れて水を含ませます。
- 切れ込みの中に種子を入れます。1か所につき種子は2粒くらいがいいと思います。
- 浅めの容器に水を張りスポンジを浸します。
- スポンジの上部が乾かないように濡らしたティッシュペーパーでスポンジを覆ってください。
- 発芽したら直射日光の当たらない、それでいて日当たりの良い場所に置きます。
- 増えてきたら間引きが必要です。育ちの良いものを残して抜いてしまいましょう。
- 間引きが終わったら容器に入れていた水を液体肥料入りの水に替えます。液体肥料は薄めにして入れすぎないようにしてください。
季節にもよりますが1ヶ月を過ぎた頃から収穫することができます。種を入手することができたら挑戦してみてくださいね。新鮮な水菜が収穫できます。
人参
人参はセリ科ニンジン属の二年草です。
この花に似た花を花屋で見たことはありませんか?そう、まるでホワイトレースフラワーみたいですね。それもそのはずでホワイトレースフラワーもセリ科の植物です。
花が咲いて董が立った人参は硬くなり食べることができません。
西洋人参と金時人参
ちょうどこの記事は年末に書いていることもあって私も30日に金時人参を購入しました。しかし年間通して買うのは西洋人参です。金時人参は11月頃から3月くらいまでの収穫期間限定の人参で、多くはお正月用として出荷されています。西洋人参と比べカロテンの含有量は少ないですがリコピンが多く含まれているようです。
甘さがあり柔らかいのに煮崩れしないためおせち料理などの煮物に向いていますが、私はお正月料理で余った金時人参入りのカレーが好きです。
西洋人参は1年通してスーパーなどで見かけますが、旬は2回あって4月~7月の春夏人参、10月~12月の冬人参です。その2回のうちでも冬人参は味が濃く栄養価も高いようです。
キャベツ
キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草ですが、野菜としての栽培上は一年生植物として扱われています。
このページで紹介している野菜は「白菜」「葱」「大根」「春菊」「水菜」「人参」そして「キャベツ」なのですが、皆が和名なのにキャベツだけ和名ではありません。キャベツの和名はふたつあって、ひとつは「甘藍(かんらん)」もうひとつは「玉菜(たまな)」です。
ほかのアブラナ科の野菜の花と同じようにキャベツの花も食べることができます。そしてこれも同じ様に花が咲くとキャベツ自体は硬くなります。
冬キャベツと春キャベツ
キャベツには冬キャベツと春キャベツがあります。冬キャベツは夏頃に種を蒔き11月~3月頃に収穫するキャベツで、春キャベツは秋頃に種を蒔き4月~6月頃に収穫するキャベツです。
冬キャベツ | 形は扁平で中が白く葉が硬く巻いていて玉がしまっています。葉がしっかりしているので加熱しても煮崩れしにくいです。 |
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春キャベツ | 形は丸く中は黄緑色で葉の巻は緩いのが特徴です。葉が柔らかいのでサラダなど生食に使いやすいです。 |
一般的に冬キャベツと春キャベツに分かれるのですが、春キャベツが終わったあとから冬キャベツまでの間に夏キャベツが出回ります。
夏キャベツは長野県や群馬県などの高地で栽培される「高原キャベツ」が知られており、葉の巻がしっかりしているけれど柔らかいという春キャベツと冬キャベツの中間的な特徴を持っています。
お鍋に入れる野菜はこの7種類のほかにもありますが、今回は定番だけをピックアップしてみました。寒い季節、お鍋で温まりましょう!