洋ランの中でも丈夫で長持ち、寒さに強く育てやすいシンビジウム

胡蝶蘭やカトレアなど洋蘭にはいくつも種類がありますが、12月になると店頭に並ぶ数が多くなるのがシンビジウムです。シンビジウムは洋蘭の中でも大変育てやすく長持ち、そして翌年も花を咲かせやすいため人気があります。

シンビジウムについて

シンビジウムはラン科シュンラン属の地生蘭です。原種が約60種あり、日本、中国、ベトナム、インド、ネパール、ミャンマー、ニューギニア、オーストラリアなどに分布しています。そのうち日本には7種あります。

日本の原種現在のシンビジウムは原種を交雑育種してできてきた蘭で、今なお品種改良が盛んに行われていて毎年のように新品種ができています。

シンビジウム

蘭の種類

蘭にはいろいろな品種がありますが、次のような分け方ができます。

蘭を自生地で分ける

  • 洋蘭:原産が日本や中国以外の蘭。シンビジウム、コチョウラン、デンファレ、カトレア、オンシジウム、デンドロビウム、パフィオペディラム、バンダなど。
  • 東洋蘭:原産が日本や中国の蘭。シュンラン、カンラン、フウラン、セッコクなど。

蘭を根の張り方で分ける

  • 地生蘭:土や地面に根を張る蘭。シンビジウムやパフィオペディ、エビネ、シラン、シュンラン、ネジバナ、サギソウ、トキソウなど。
  • 着生蘭:木や岩に寄生して根を張る蘭。コチョウラン、カトレア、オンシジウム、バンダ、デンドロビウム、フウラン、ナゴラン、カヤラン、セッコクなど。

シンビジウムは「洋蘭で地生蘭」ということになります。

進化を続けるシンビジウム

最近販売されているのを見るとコンパクトになってきていたり、花がまばらに付いていたりして以前の大型のシンビジウムから変わってきたように思いませんか?

昭和の頃は大きくて華やかだったのが、平成になってコンパクトになり、最近では原種に近いようなシンビジウムも出てきました。なんと新品種のシンビジウムのなかには香りがするものもあります。



シンビジウムの選び方のコツ

お店に行くと何種類ものシンビジウムが並んでいます。色も大きさも好みのものがあると思いますが、その中でもどれにしようかと悩んだ時の参考にしてください。

花や葉を見て選ぶ

シンビジウムは全部が咲いているものより7~8割程度が咲いていて、蕾も付いている株を選ぶと長期間楽しむことができます。

それと3本立てだった場合、2本が満開で1本が蕾というものではなく3本全ての先に蕾が付いているものを選びましょう。また株がぐらぐらしていないことも確かめてください。

はなこ
はなこ

花や葉やリップを観察して変色がなく傷のないものを選んでください。

シンビジウムの管理方法

購入したシンビジウムは室内で管理します。ガラス越しの日光が当たり、できれば10℃から20℃程度の室温でエアコンの風が直接当たらない場所に置いてください。

シンビジウムの管理

下部の花が枯れ初めてきたら根元から切ってあげるほうが株が弱りません。切る時に使うハサミは病気の感染を防ぐために加熱消毒をした清潔なものを使うようにしてください。切った花は切り花で楽しめます。

葉に斑点などが出てきたときは、その葉は切り落とすようにしましょう。

水やりの頻度

シンビジウムは水分をたくさん必要とする植物です。

開花している間は表面が乾いたら与えるようにしてください。目安として春と秋は2~3日に一度くらい、冬は1週間に1度くらい、夏の暑い時は毎日与えて下さい。

特に蕾が伸び始めた時期に水が切れると花が付きにくくなるので水切れにならないように注意しましょう。

花が咲き終わったあと

最低気温が10℃以上になったら屋外に出し、初夏までの間は日光に当てて育てます。夏の日差しが強くなると葉やけを起こしますので日陰に移動させ、秋になって蕾が付き始めてくるとまた日光に当てるようにしてください。冬は室内での管理になります。



シンビジウムの鉢増しや植え替えや株分け

株が大きくなったら2~3年を目安に植え替えます。植え替えの時期は花が終わった後の新芽が伸び始めた頃にするのが失敗が少ないです。

用土は水はけを良くするために軽石、日向土、パーライトなどを混ぜて作りますが、配合などが難しいと思ったら洋蘭用の用土を使うとシンビジウムにとって良い配分で土を作ってありますので使いやすくお勧めです。

用土のほかに用意するのは次のようなものです。

  • 鉢底石
  • 今植えてある鉢よりひとまわり大きい鉢
  • 移植ゴテ
  • 木槌かゴムハンマー
  • 根かき*1本爪がやり易いです。(なければ根をほぐすためのへらのようなもの)
  • ハサミ
  • 土を押し込む時のへらのようなもの
  • 株分けをするのであれば鋸鎌(なければナイフなど)
はなこ
はなこ

植え替えるときは水を与えた直後ではなく土が乾いた時のほうが作業がしやすいです。

植え替えや株分け

まず最初に鉢から株を抜くのですが、根でぎちぎちになっていると思いますので木槌かゴムハンマーで鉢の縁を叩いて抜いてください。それでだめなら鉢と根鉢の間にナイフなどを差し込んでぐるっと一周します。根は切れますが気にしなくて大丈夫です。それでもダメなら最終手段!鉢を壊すしかありません。

抜くと鉢いっぱいに根が広がった状態だと思いますので根を整理します。根の整理というのは綺麗な根を残し、痛んだ根を取り除くことをいいます。

鉢から抜いたら根かき(あるいはへらのようなもの)を使ってある程度まで根をほぐします。ほぐした根を見て白くて綺麗ならそのまま植えても大丈夫ですが、傷んだ根があればカットしてください。

株分けをするなら植え替え時に行います。株分けをする時は鋸鎌あるいはナイフかハサミでバルブを傷つけないように切り分けて、分けたそれぞれをひとつずつ鉢に植え付けます。

新しい鉢に鉢底石を入れたら株の高さと鉢の高さを比べてから鉢底石の上に用土を足します。その上に株を置いてから回りに用土を入れていきます。植え付ける深さはバルブ部分が埋まらないように根だけを植え付けるのがコツです。

はなこ
はなこ

土を入れるときに時々へらのようなもので周りの土を押し込むようにすると、きっちりと土が入ってくれます。植え付けが終わったら底から流れ出るまで水を与えましょう。

肥料について

シンビジウムに肥料を与える期間は、4月~7月までと9月~10月までです。

新芽が伸びはじめる春から7月頃までは固形肥料を与え、9月~10月頃は週に1度くらいの割合で液体肥料を与えます。開花期の冬と真夏には肥料は与えないでください。

芽かきについて

生育期になると新芽がどんどん出てきます。いっぱい咲くから嬉しい!と思ってしまいますが、そのままにしていると栄養が分散してしまうため葉ばかりが茂り、花が咲かなくなってしまいます。

そこで行うのが「芽かき」です。ひとつのバルブに元気の良い新芽を1つだけ残して残りは全て取り去ります。

残すのは花芽ですが、出たばかりの芽は「花芽」か「葉芽」か分かりにくいことがありますので、確実に花芽だと分からないようであれば少し成長するのを待っていると、丸い感じだったら「花芽」細い感じだったら「葉芽」なので分かりやすくなると思います。

シンビジウムは育てやすく増やしやすいし、鉢植えでも長く楽しめる上に切り花にしても長持ちします。水はけのよい用土に植え、日当たりなどに気をつけて育ててくださいね。

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