秋の風情を感じさせてくれる花はいろいろとありますが、シュウメイギク(秋明菊)もそのひとつです。しかしこのシュウメイギク、キクといいながらも菊の花とは違う形に見えます。それもそのはずでシュウメイギクはキク科の植物ではありません。
シュウメイギクについて
シュウメイギクにはいろいろな種類がありますが、園芸種でよく見るのが上の写真のような白い花です。
次にアネモネを見てみましょう。
見比べてみるとキクの花よりアネモネに似ています。ただ八重咲きのシュウメイギクもあって、下の写真のようなシュウメイギクだとキクと名前が付いていても納得できるようにも思います。
シュウメイギクは別名で貴船菊と呼ばれることもありますが、これは京都の貴船近辺に多く自生していたことからこのような名前になったそうです。そのほかにも秋牡丹(あきぼたん)という別名もあります。
善峯寺(よしみねでら)は、一重や八重のシュウメイギクが約5,000本群生しています。
シュウメイギクの花はどれ?
シュウメイギクのピンクや白い花弁のように見えているのは、花弁ではなくガク片です。ガク片の中心にある薄い緑色をした丸い部分は雌しべの集合体で、その周りには多数の雄しべが付いています。
ではどこが花弁かといいますと、シュウメイギクは花弁が退化しているためありません。
因みにアネモネの花も花弁のように見えている部分はシュウメイギクと同じでガク片です。イチリンソウ属には花弁がないのです。
シュウメイギクの育て方
種から育てる場合
シュウメイギクを種から育てる場合は春に種を蒔きます。
水やりをする際は水流で種が流れてしまわないようにそっと優しく与えてください。芽が出て10~12月、あるいは3~4月の植え付け時期がきたら、鉢や地植えに移植して育てます。
苗から育てる場合
苗から育てる場合の植え付け時期は3~4月が最適です。
育ってきて草丈が高くなると、茎が折れやすくなるので支柱を立てる方が安心です。
増やし方
花が終わったあとの種を取って種から育てる方法もありますが、地植えの場合は放置していても地下茎を伸ばし増えてくれます。
種を採るのであれば、地上部が枯れて12月~1月くらいの綿毛が浮いてきたら採取する時期です。綿毛をそのままにしておくと風に乗ってあちこちに種が飛び、庭がシュウメイギクだらけになってしまうかもしれませんので、種が飛ぶ前に切ってしまいましょう。
また根伏せでも増やすことができます。根伏せで増やす場合は、小さな白い芽がついた根を5cm程度に切り取って用土に寝かせてから覆土します。
育てる場所と水やりと肥料について
夏の直射日光が当たらない半日陰で育てましょう。乾燥には弱いですが、水はけが悪いと根腐れを起こすことがありますので注意が必要です。
肥料は植え付け時に元肥を入れてから植えるようにし、そのあとは半年に一度(春と秋)に緩効性肥料を株元から離れた所に置きます。置き肥や液肥も成長期には必要ですが、肥料を与え過ぎると根を傷めてしまう原因になりますので、普通の草花より少ない頻度で与えるようにしましょう。
シュウメイギクの切り花について
育てているシュウメイギクは切り花にもできますし、切り花を販売しているお店もあります。しかしシュウメイギクは切り花にすると早い時期に頭を下げてしまうことも見受けられます。
水揚げで代表的な方法は水の中で茎をカットする水切りですが、シュウメイギクは水切りだけでは上手く水を吸ってくれないことがあります。そこで必要になるのが水切り以外の水揚げです。
シュウメイギクの水揚げについて
シュウメイギクの水揚げにはいくつかの方法があります。
割る・叩く
茎の根元を割ったり叩いて水をあげやすくします。叩くときは切り口を潰し過ぎない程度に叩くようにしてください
湯揚げ
60度以上の熱湯に30秒~60秒ほどつけてからすぐに冷水に移します。熱湯につける時間は茎の太さによって変えましょう。
焼く
バーナーなどで茎の根元3cm程を炭化するまで焼いてから水につけます。
切り花のシュウメイギクは、店で水揚げを行ってから販売していると思いますが、家に持って帰って生ける前に茎を少しカットしたのち、割るか叩くかしてから生けるようにしてください。それでもどうしても首が垂れてしまうようであれば、焼いたり湯揚げもお試しください。
和風で清楚な見た目なのに、生命力があるシュウメイギクで秋を感じてみてはいかがでしょうか。