肥料を与えているつもりでアンプル剤を鉢に差し込んでいる、肥料成分も入っていると書いてあるので大丈夫!と思って使用している人もいらっしゃるかもしれません。
でもそれは肥料ではなく活力剤というものの可能性もあります。今回は活力剤についてのお話です。
肥料についての記事は下からどうぞ。

微量要素の働き
植物が元気に育ってくれるために必要な成分は炭素、酸素、水素、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガン、ほう素、亜鉛、モリブデン、銅、塩素の16種類です。
その16種類のうち、炭素、酸素、水素という3種類で約90%を占めていますが、これらは水や空気中から吸収されます。残りの13種類のうち窒素、リン酸、カリウムは肥料の三要素といわれ大量に必要とします。カルシウム、マグネシウム、硫黄は中量要素といわれ、肥料に分類されています。
残りのマンガン、ホウ素、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、塩素は微量要素と呼ばれ、文字どおり微量ではありますが、植物の生育には必要な成分です。
有機物を含む土では微量要素の欠乏を起こしにくいようですが、酸度の偏りや連作などの理由で欠乏することがあります。鉢植えの場合は水やりなどで流失してしまうことから欠乏します。
微量要素の働きと欠乏した場合と過剰になった場合の症状は次のとおりです。
マンガン | 葉緑素やビタミン類の生合成に必要。 【欠乏】葉脈の間が黄色くなり、果実では生育不良や着花不良を起こす。 【過剰】根が黒くなり葉に斑点が現れる。 |
ホウ素 | 細胞分裂のほか、根や新芽の生育を促進したり、開花・着花の種子形成に関与。 【欠乏】茎や生長点が止まり、根の伸長不要や根腐れを起こす。 【過剰】葉の縁が黄色や茶色になる。 |
鉄 | 葉緑素の生成を助け、代謝や呼吸に関わる酵素の構成に必要。 【欠乏】若い葉の葉脈の間の黄化や白化がみられたり根が黄変する。 【過剰】根が発育不足になったり、マンガンやリン酸の吸収を阻害する。 |
銅 | 葉緑素の形成に関与し、炭水化物やタンパク質の代謝にも重要な働きをする。 【欠乏】新葉の先端が萎れたり葉が黄化する。果樹では枝枯れをする。 【過剰】根の生育が悪くなる。 |
亜鉛 | タンパク質の合成、種子の形成関与するほか、成長速度にも影響する。 【欠乏】生育不良や節間の伸長不良や葉脈間の黄化が起こる。 【過剰】新葉の黄化や褐色の斑点が出る。 |
モリブデン | 各種タンパク質の合成に関与する。 【欠乏】葉の萎縮や変形が生じたり葉脈間が黄化する。 【過剰】葉の黄化がみられる。 |
塩素 | 炭水化物の合成や光合成に関与する。 【欠乏】新芽の黄化や葉の先端が萎れてくる。 【過剰】リン酸の吸収を妨げ、土壌の酸性化を助長する。 |
一般的に微量要素が欠乏すると新芽や新葉に現れることが多く、その後の生育不良に繋がってしまいます。
人間に例えて、肥料が主食や副菜だとすると微量要素はビタミンのようなものなので、植物にもビタミン剤を与えるということから作られたものが活力剤になります。
活力剤は花や葉の色が冴えない時や植え替えた時、夏や冬の体力の回復に使います。
活力剤の種類
活力剤のタイプ
よく知られているのがアンプルタイプの活力剤です。アンプルタイプはキャップの先端を少し切って鉢に差し込むだけなのでお手軽に使えます。
ほかにもスプレータイプや水で薄めて使うタイプのものがあります。
低濃度の肥料が入っているもの
肥料成分が少しだけ入った活力剤があります。下の2枚の写真をご覧ください。
これは私が使っているバラ用の肥料です。

こちらは肥料入りの活力剤です。
バラ用の肥料の窒素:リン酸:カリウムの割合は10:13:6ですが、肥料入り活力剤の割合は0.12:0.2:0.1と本当に微量しか肥料成分が入っていません。
肥料を与えたつもりになっていると肥料不足になりますので、きちんと肥料は与えるようにしましょう。
割合の数字は、製品100g中にその成分がどれくらい入っているかを表す数字です。
上の肥料だと100g中に窒素が10g(10%)リン酸が13g(13%)カリウムが6g(6%)入っていることになり、肥料入り活力剤だと100g中に窒素が0.12g(0.12%)リン酸が0.2g(0.2%)カリウムが0.1g(0.1%)入っていることになります。
肥料成分のないもの
水で薄めて使用するタイプが多く、特定の物質が表示されている製品や、植物抽出物が入った製品では抽出した植物名が表示されたものがあります。
日本の法律では、窒素、リン酸、カリウムがそれぞれ0.1%以上、または2つ以上の成分の合計量が0.2%以上でないと肥料として販売することができません。この基準を満たしていない製品を活力剤として販売しています。
肥料成分の入っていないものは、必ず肥料を忘れないように与えてください。
私はメネデールを使っています。

活力剤を購入する時の注意点
植物の生育に必要なものは肥料、病害虫のための薬は農薬といい、肥料のように肥料取締法や農薬のように農薬取締法で法的に規制されているわけでもなく、肥料にも農薬にも属してないけれど、それでも何らかの成分が植物に効果があるものを活力剤と呼んでいます。
しかし法的に規制があるわけではないので、活力剤には本当に効果があるのかわからないようなものも販売されています。購入する時は肥料配合の有無や、与える植物に合っているかという内容物等をパッケージでお確かめください。