鉢植えの植物は毎年だとか2年に一度は植え替えをするようにしましょうといわれていますが、何度も植え替えるくらいなら、最初から大きな鉢に植えてしまった方が楽ではないかと思ってしまいますが、ちょっと待ってください。
植え替えの目的
植物を植え替えるのは次のような目的があります。
- 新しい土と交換
- 根の改善
新しい土と交換
植物を育てるには水が必要です。例えば夏にはほぼ毎日の水やり、春秋には2日に1度、冬は週に1度としても年間では150回~200回程度、水が土の中を通っていることになります。
根の改善
植物が成長すると根が張ってきて鉢の中でぎゅうぎゅうになり、それ以上伸びるスペースがなくなります。
また成長した植物は鉢との大きさのバランスが悪くなってきます。バランスが悪くなれば倒れたりすることも理由のひとつにありますが、植え替えの目的は【ほぼ根のため】といえます。
根は植物にとって一番大切な部分です。【根こそぎ】だとか【根絶やし】という言葉があるように、根が悪くなると全部なくなってしまうのです。
小さな鉢から一気に大きな鉢はダメ?
例えば4号鉢から5号鉢や6号鉢にするのは手間も力もたいして必要ではありませんが、10号や12号の深鉢に植え替えるとなると、鉢や土の重さに加えて植物自体もそれ相応に大きくなっていますので、気合を入れて植え替えなくてはいけないこともあります。
よく考えたら地植えの植物は鉢植えより大きなスペースに植えているんだし、4号鉢から一気に10号鉢に植え替えたらのちのち楽じゃないの?と思ってしまうかもしれません。しかし小さな鉢から一足飛びに大きな鉢への植え替えはダメなのです。
植え替えるときの注意点
植え替えは【ほぼ根のため】と書きましたが、鉢の中で根がどうなっているかといいますと、植物の根は鉢壁にぶつかると枝分かれして増えていきます。
例えば小さな苗を買ってきたとしましょう。苗を植えようとポットから抜くと白い根がポットいっぱいに広がっていることってあると思いますが、それが鉢壁にぶつかって枝分かれしてポット内に根が回っている状態です。
薄いグレーは根の近くなので根から水を吸って乾いたか乾き始めた土の状態、濃いグレーのところは根から離れているため水分を吸い上げることができずに水が残っている状態です。
この状態で植物を育てた時の問題点は2つあります。
- ひとつめの問題は、植えた株に対して大きすぎる鉢に植えてしまうと根が鉢壁になかなかぶつからないため、あまり枝分かれもせず鉢内に根が回らないことで根の量が少ない株になってしまいます。
- ふたつめの問題は、根が増えないことで根の量が少なくなり、結果的に吸う水の量も少なくなって鉢内の水分がいつまでも残ってしまい根腐れを起こすことに繋がります。
このことから、最初から大きな鉢に植えない方がいいということがわかっていただけるかと思います。
ただ、5月以降に購入したサフィニアの苗など、短期間でとても大きくなるのは初めから大きなプランターや植木鉢で育ててもらっても問題ありません。種から育てる、あるいは3月くらいから育てる場合は小さな鉢から育てて、根が張ってきたら今より大きめの鉢に植え替えをし、5月くらいになって定植する時にはもっと大きな鉢に植え替えるようにしてください。
地植えの場合
限りなく大きな鉢ともいえる地植えですが、地植えの場合でも根腐れは起きます。根腐れの一番の原因は土壌の問題で、水はけの悪い土だと良質の土で育てる鉢植えより簡単に根腐れを起こします。
基本的に地植えでは晴天が続かない限り、水やりは不要ということが多いですが、水はけの悪い土壌なのに雨が降り続いたり、毎日のように水やりをしていると根腐れを起こしてしまう事があります。
植え替え時の鉢の選び方
園芸店やホームセンターに並んでいる鉢を見ると、口径は同じでも深さがさまざまですが、一般的に鉢の深さは浅鉢、普通鉢、深鉢の3種類です。
浅鉢 | 高さが口径の半分以下のもの。平鉢ともいう。 浅く横に張る根の植物に適している。 適応植物:サツキ、アザレア、ツツジ類、盆栽など。 |
---|---|
普通鉢 | 口径と高さがほぼ同じ寸法の鉢。一般的によく使われている。 ほとんどの植物を植えることができる。 適応植物:一般的な草花。 |
深鉢 | 口径より高さの寸法がある鉢。長鉢、腰高鉢ともいう。 根を深く伸ばす植物に適している。 適応植物:シンビジウム、胡蝶蘭、ユリ、ドラセナ、ヤシなど。 |
プラスチック |
|
---|---|
素焼き・テラコッタ |
|
陶器 |
|
木製 |
|
紙製 |
|
それぞれの素材にはメリットもデメリットもありますので、植える植物や置き場所などを考えて選んでください。そして素材はお好みでもいいですが、植え替え時の鉢のサイズだけは育てる植物に合わせた大きさや深さにして、しっかりとした根を育てましょう。