大根の「実」を食べると書いてあるのを見かけました。実もいいねと思って見ていたら、どうもそれは私たちが日ごろ食べている白い部分のことを言っているようでした。でもあの部分は実ではありません。
今回は野菜のどこを食べているかというお話です。まずは最初に書いた大根からです。
大根のどこを食べているのか
大根はその名前の通り大きな根ですので「ほぼ根」を食べています。ほぼ根ということは根ではないところも食べているのでしょうか。
大根の部位
大根は葉、茎、根に分かれています。
葉はすぐにわかります。そして葉に近い上部が茎で残りの部分は根になります。
では大根に似た蕪も同じように葉、茎、根と分かれているのでしょうか。
蕪の部位
蕪も大根と同じで葉、茎、根に分かれています。
蕪の葉もよくわかります。丸みのある部分は茎で、茎から下に細く付いているのが根です。茎と根である証拠に茎には側根がなく根には側根があります。
ほかの野菜についても少し書いてみます。
野菜、どこを食べている?
お店でよく見かける野菜を「実を食べる野菜」「葉を食べる野菜」「茎を食べる野菜」「花を食べる野菜」「根を食べる野菜」「地下茎を食べる野菜」に分けてみました。
実を食べる | トマト、ピーマン、ナス、かぼちゃ、きゅうり、オクラ、トウモロコシ、豆類など |
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葉を食べる | キャベツ、レタス、白菜、ほうれん草、小松菜、チンゲンサイ、ネギ、ニラ、シソ、パセリなど |
茎を食べる | アスパラガス、たけのこなど |
花を食べる | ブロッコリー、カリフラワー、菜の花、ミョウガなど |
根を食べる | サツマイモ、ニンジン、ゴボウなど |
地下茎を食べる | ジャガイモ、サトイモ、レンコン、ショウガなど |
ほかにも沢山ありますが、普段よく食べている野菜ではこのような分類になります。
「さつまいも」と「じゃがいも」
さつまいもが根の証拠
- 側根がある。
- 光に当てても緑色にならない。
じゃがいもが地下茎の証拠
- 側根がない。
- 葉緑体があるので光に当てると緑色になる。
じゃがいもは光にあたると皮が緑色に変化してソラニンやチャコニンという有毒物質が生成されます。ソラニンやチャコニンを30mg以上摂ると中毒を起こすといわれていますので、緑色になったじゃがいもは食べないようにしてください。保存は光を避けて風通しの良い冷暗所に置きましょう。
因みにジャガイモはナス科ナス属で、サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属です。ジャガイモはナスやトマトやピーマンと同じで、サツマイモはアサガオと同じだなんて面白いですね。
花を食べるミョウガ
ミョウガは下の写真のような花が咲きます。花が咲いた後のミョウガも食べることはできますが柔らかくなってしまって料理には向かないようです。
玉ねぎはどこを食べている?
上の表には書いてない玉ねぎですが、これはどこを食べていると思いますか?
この鱗葉は葉鞘とよばれる部分が成長して厚みを増して重なり合ったものです。鱗葉の数は玉ねぎの個体差もありますがだいたい8枚になっています。輪切りにしたときにお確かめください。
葉鞘とは葉の基部が鞘(さや)状になり、茎を包む部分のことです。
そして料理では「玉ねぎの芯」と呼ばれている部分が茎で、茎の下に根があります。
そろそろ話を最初の大根に戻しましょう。
大根の実はあるのか?
大根は最初に書いたように大きな根と短い茎を食べる野菜ですが、育っても収穫せずにいるとトウが立ってきます。トウが立つと大根としての食べ頃は過ぎてしまった状態ですが、まだそのままにしておくと菜の花を咲かせます。
花が終わると実を付けますが、その実の若く柔らかなうちに収穫したものがさや大根、すなわち大根の実です。収穫時期は春が4月上旬から5月中旬頃、秋が9月中旬から12月中旬頃までだそうです。
さや大根は生のままでも食べることができますし、シンプルに塩ゆでのほか、炒め物や和え物、スープ、天ぷらなどにも使えます。ピリッとして大根の風味もありお酒のおつまみにもいいと思います。スーパーなどではなかなか見かけることがないかもしれませんが、もし見つけた時には買って食べてみてください。