切り花をお家で生ける場合、花瓶に生けることが多いと思いますが、花瓶に入れる水の量によって花が早く枯れてしまう事もあります。また水量以外でも少しの手入れで花もちが良くなることもあります。
今回は花瓶の水量と水量のほかに気を付けるポイントについて書いてみたいと思います。
花瓶の水の適量って
切り花を購入したり、花束を貰ったりしてお家で花瓶に生ける機会があった時、沢山のお水があった方が花には良いと思い、花瓶の口ぎりぎりまでたっぷりと水を入れる人がいらっしゃるようです。しかしこれは茎を腐らせ、花が早く枯れてしまう原因になることがあります。
一般的には茎の長さに対して半分程度までの水量を目安にするのが良いと思います。しかし花の種類によっては半分より多いめが良い花、少ないほうが良い花があります。
多いめの水でも問題のない花
バラをはじめ、アジサイなどの茎がしっかりした花は少し多いめの水でも大丈夫です。
これらの花は茎が水に浸かっていても腐りにくく、特に水切りしたのち深水にて水揚げをする花なので、水の量が多くても茎が傷みにくいです。
しかし夏になるとこれらの花の茎も滑りやすくなりますので、頻繁な水換えと切り戻しをすることをお勧めします。
例えばこれらの花
バラ、アジサイ、ライラック、ボタン、芍薬など
少ないめの水で生けてほしい花
キク科の花や柔らかい茎や産毛が生えているような茎は少ない水で生けることをお勧めします。
このような花は水に浸かった茎が腐りやすく、切り戻しの際は水に浸かった場所から下を全て切り落とすことになりますので、茎が長い時は5cm程度浸かる程度で生け、切り戻しで短くなってくると3cm程度が水に浸かるくらいで生けると良いと思います。
例えばこれらの花
ガーベラ、菊、ひまわり、コスモス、アネモネ、ラナンキュラス、チューリップなど
バラとガーベラを一緒に生ける場合
多いめの水でもOKのバラと少ない水が良いガーベラを一緒に生ける場合、ガーベラの水量に合わせて少ないめの水で生ける方が良いでしょう。
一般的に花を生ける際の水は多いほうが良いわけではなく、少なくても全く問題がありません。
生け花をされる方はご存じだと思いますが、水盤に花を生ける場合、いくらたっぷりと水を水盤に入れてもせいぜい5cm前後です。それでも十分に花は水を吸うことができています。花瓶で生けるときも同じことで水が多いから良いというわけではありません。
水量のほかに気を付けること
水量以外で花持ちを良くするための注意点を書きます。
水揚げと水換えをきちんとする
購入した花は生ける前に水切りをして、必要であれば深水をしたのち生けると、花の持ちが良くなります。
水換えは真冬であれば毎日でなくても問題ありませんが、夏は毎日、春秋は毎日を目安に必要に応じて行うようにしてください。その際、切り戻しをしていただくと新しい切り口になりますので、水の吸い上げが良くなります。
また水を替える時、茎を流水で綺麗に洗うようにしてください。花瓶は洗剤を使って洗うと雑菌の予防になります。
深水とは
深水(ふかみず)は水切りや切り戻しをした後、花の全体を新聞紙などで包み、たっぷりと水の入ったバケツなどに数時間入れたままにしておくことです。できれば花首ぎりぎりまで水がつかるようにします。深水をすることにより水切りだけでは上がりきらなかった水を吸うことができるようになります。
しっかりと水を吸った後は、新聞紙を取り除いて不要な葉を落とし花瓶に生けてください。
*深水の時は水に葉はつけても問題ありませんが、花は水につけないようにしてください。
葉を取る
水に浸かる部分の葉はきちんと全部取ってから生けてください。
葉が水に浸かったままですと水が腐りやすくなります。
新鮮な花を購入する
新鮮な花を買う!これが絶対というほど花持ちが良くなる事なんですが、新鮮な花を買っているのかどうなのかわかりませんよね。これは花屋のみぞ知ることなので、購入する店が決まっていたら、いつ花の仕入れに行くのか聞いてみてください。
仕入れる日がわかれば購入すればよい日もわかりますが、ここで気を付けることがあります。
例えば月曜日に花の仕入れをしたとして、花市場から店に戻るのが午前10時とします。でも10時に買いに行ってもまだ水揚げもできていません。もしかすると花は段ボールに入ったままの状態かもしれません。ですからきちんとその花に合った水揚げをして、しっかり水を吸った花を購入したいのであれば、その日の夕方、あるいは翌日の朝一番が良いと思います。
私はバラの花が好きで、家で何種類か育てています。
5月から6月になると満開になります。今は10月なので春ほどは咲きませんが、四季咲きのバラがチラチラと咲いています。バラが咲くと切り花にして家のあちこちに飾るのですが、切ってすぐに生けるいわゆる産地直送なのでものすごく長持ちします。ということは新しい花の持ちは良いということになります。
花瓶に水はたくさん入れていません。茎に対して半分もないかもしれません。
水はたっぷりでないとダメではなく、たっぷりだとダメなこともあるということを頭の片隅においていただき、その上でお手入れを忘れないようにして切り花をお楽しみください。
