紫陽花の育て方、秋色アジサイは色の変化を選ぶ?翌年の開花を選ぶ?

母の日にアジサイを貰いました。マジカルグリーンファイヤーといってピンクとグリーンの混じった色で、咲き進むとグリーンが濃くなるといった色の変化を楽しむことができるアジサイです。

紫陽花マジカルグリーンファイヤー

アジサイについて

アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。

別名で七変化と呼ばれるほど色が変わる植物で、花言葉の「移り気」というのは、この色の変化から付けられたものです。

アジサイの種類

アジサイでよく見かけるのは手まり咲きのアジサイと、縁だけ咲いたようになっているガクアジサイです。

ホンアジサイ

手まり咲きのアジサイで、日本人がイメージするいわゆるアジサイです。ホンアジサイは日本原産のガクアジサイの栽培種です。

ガクアジサイ

中央が小さな花の集合体で、その周りを装飾花が囲んでいるのが特徴です。ガクアジサイはホンアジサイの原種とされ、西洋アジサイ(ハイドランジア)も含め、現在流通している栽培品種のアジサイの始祖といわれています。

アジサイは日本原産の植物でしたが、ドイツ人で医師であり博物学者だったシーボルトが手まり咲きのホンアジサイを持ち帰り、品種改良を重ねて日本に逆輸入したものが西洋アジサイ(ハイドランジア)です。マジカルグリーンファイアーを含むマジカルシリーズも、西洋アジサイのひとつで作出国はオランダです。



アジサイの色

アジサイには赤系や青系、紫系などの色がありますが、この色の違いは土のpH値が関係しています。

はなこ
はなこ

pH値というのは、酸性からアルカリ性の間に0から14の目盛りをつけて度合いを表したものです。

pH値
0~3未満 酸性
3~6未満 弱酸性
6~8以下 中性
8~11以下 弱アルカリ性
11以上 アルカリ性

土の酸性とアルカリ性によるアジサイの色

アジサイは土のpH値がアルカリ性に傾くと赤系、酸性に傾くと青系、中性の場合は紫色になります。

アジサイの花にはアントシアニンという色素が含まれています。アントシアニンは赤色ですが、土の中のアルミニウムと結びつくことで反応を起こし青色に変化します。

アルミニウムは酸性の土に溶けやすくアルカリ性には溶けにくい性質があるため、アルミニウムがたくさん溶けている酸性の土壌なら青色、中性なら紫色、あまり溶けていないアルカリ性の土壌なら赤色になります。

はなこ
はなこ

日本の多くの土はpH値5程度になっていますので、紫や青系のアジサイをよく見かけます。

アジサイの色を変えてみる

アジサイの色を変えようと思ったら土のpH値を変えてあげると色の変化があります。

  • 青系から赤系にしたい場合:苦土石灰
  • 赤系から青系にしたい場合:硫酸アルミニウム

苦土石灰や硫酸アルミニウムを花が咲く前、4月から5月頃に土に加えてあげると色が変わります。しかし一気に変化することは難しく、今より色の変化があれば良いという気持ちで行なってください。

白いアジサイの色の変化

ここまでアジサイは色が変化すると書いてきましたが、白いアジサイはどうなるのでしょう。

白いアジサイはアントシアニンを持っていないため、どんな土壌に植えても色の変化はありません。

白いアジサイ

アジサイの花はどれ?

アジサイの花は青色や赤色の部分だと思われている人も多いようですが、あの部分は花ではなくガク片のようなものです。

アジサイの花

ガク片のようなものを装飾花といってアジサイを目立たせる為の看板のようなものです。この写真ではまだ蕾ですが、装飾花の中心にあるポツっとした部分が本来の花です。

はなこ
はなこ

装飾花は虫を誘って結実させるために派手になったそうです。

次の写真はガクアジサイになります。

ガクアジサイの花

先ほどの装飾花の中心の花は蕾でしたが、こちらは開花しています。しかし装飾花に付く花は中性花と呼び、めしべやおしべが退化している為、結実しません。

写真の奥の方に見えるモシャモシャとした中心の部分が花で、これを両性花といって結実します。結実はしますが、殆ど花後すぐに剪定してしまうので種子を見ることは少ないかもしれません。

手まり咲きのアジサイは、装飾花の陰に隠れて両性花があります。

アジサイの育て方

  • アジサイを地植えにする時は日当たりのいい場所がおすすめですが、真夏の直射日光は苦手ですので半日陰になるような場所を選びます。
  • 鉢植えの場合も日当たりのいい場所を好みますが、真夏の直射日光に当てると色が褪せてしまうことがありますので、強い日差しの当たらないような場所に移動させましょう。冬も寒風にさらされない場所で管理してください。

水やりや肥料

アジサイは乾燥を嫌いますので、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えましょう。特に夏は水切れを起こさないように朝と夕方の2回与えることも必要かもしれません。

肥料は花後にお礼肥として固形の油かす肥料や緩効性肥料を施します。真夏の施肥は控え、1月~2月に寒肥として有機性肥料を与えましょう。

またアジサイの肥料には赤花専用肥料と青花専用肥料があります。


アジサイの剪定と植え替え

アジサイは7月半ばくらいまでに剪定をして、鉢植えの場合は今より大きな鉢に植え替えます。装飾花が褪せてきますので、そのタイミングで剪定をしてください。剪定をしなくても翌年も開花しますが、年々樹高が高くなって上の方にだけ花が咲くようになりますので、形よく育てるためには剪定をお勧めします。

切る場所は花芽が出てくるところを残す為、花のすぐ下あたりから切るようにします。地植えの場合であまりにも大きく育ちそうならもう少し下から切っても大丈夫ですが、下の方で切りすぎると花が咲くのは2年後になります。また育ちすぎてしまったら翌年の開花を諦めて、思い切って切り戻してこじんまりさせることもできます。

アジサイは2年かけて花を咲かせる植物です。今年花が咲かなかった枝は翌年に花を咲かせるための枝なので剪定してはいけません。毎年花が咲いているのは枝ごとに花芽が付く周期が異なるため、昨年と違う枝で花が咲いているからです。また秋に剪定を行ってしまうと、夏にできた花芽を切ってしまう危険があります。
はなこ
はなこ

アジサイは花が枯れないので咲いていても剪定するといわれていますが、枯れないのは花ではなくガク片です。

マジカルグリーンファイアーを7月半ばに剪定するか否か

マジカルシリーズのアジサイの色の変化を最後まで楽しもうとしたら、花後すぐともいえる7月に剪定をすることはできません。7月剪定ではなく、変化をしっかり楽しんだあとに剪定すればいいのでは?と思ってしまいますが、秋以降に剪定すると花芽を切ってしまうかもしれません。

いろいろ考えた結果、花に対して鉢が小さいということ、そしてプレゼントでもらってから今までの期間である程度の色の変化を見ることができたということから、今期は7月に剪定することにしました。

追記:自宅で育てている秋色アジサイの生育状態

2018年7月11日

7月になり早く剪定をしようと思いつつ、色変わりしていく様子が綺麗なこともあって、ついつい一日伸ばしになっていたのですが、7月中旬も近づいたことで剪定をしました。

色は赤色よりグリーンが多くなりました。

家のアジサイ

5月に撮った写真と比較すると良くわかります。

秋色アジサイの色の変化

毎日見ていると色の変化に気が付きませんが、このように以前の写真と比較すると全く色が異なっています。このまま色の変化を楽しみたいという気持ちもありますが、来年のために剪定をしましょう。

アジサイの脇芽

花から2節下を見ると脇芽の出ている節がありますので、脇芽の出ている節の上でカットします。剪定したあと、ひとまわり大きい鉢に植え替えをしました。

切ったあとは半分をドライフラワーにしてみようと逆さまに吊るし、残りの半分はガラスのコンポートに生けてみました。

アジサイを生ける

剪定も終わったので、来年の開花に向けて育てていきたいと思います。

2019年6月5日

昨年7月に剪定と植え替えをしてから、雨に当たるとpHが変わってしまって昨年の色にはならないかもしれないと思い、できる限り雨に当たらないように軒下で管理して約11ヶ月が過ぎました。

その間、すくすくと大きくなって剪定の際に植え替えた鉢では小さくなってしまった為、春に深さもある10号鉢に鉢増しをしました。鉢増しをしたらまた大きくなっていき、先ほど測ってみたら直径が約60cmになっていました。前回の鉢のままだと水やりが大変だったかもしれませんが、鉢増しをしたため保水も大丈夫そうです。

生育具合ですが、5月になるとアジサイの蕾が見えはじめました。

アジサイの蕾

家のアジサイ5月

そのあと数日で下の写真のように変化します。

アジサイ5月

この時点ではアジサイの装飾花は緑色です。このような色だと葉化病になってしまったのではないだろうかと疑ってしまいます。

葉化病はアジサイの花を構成している花、装飾花、雄しべ、雌しべなどが緑色に変化してしまう病気で、症状がでると数年後には枯れてしまいます。治療法や治療薬はなく、他へ感染させないように葉化病になっているアジサイを除去処分するしかありません。原因はファイトプラズマという微生物によるもの、主に昆虫による媒介です。

しかしこのアジサイはマジカルグリーンファイヤーなのでグリーンになるのは当然でしょうし、ピンクやブルーのアジサイも最初の頃は葉緑素のためにグリーンなので、安心しつつも気にしながら毎日観察していたら少しずつ赤い色が出始めてきました。

マジカルグリーンファイヤー

6月5日現在の写真です。まだ赤い色は少ないですが、今年も昨年と同じ色のようです。

2019年6月10日

6月5日から5日が経ちました。日に日に赤くなり、いかにもグリーンファイヤーという色になってきました。

今日は上に書いていた「アジサイの花はどれ?」のところで、「装飾花に隠れて両性花があります」と書いていましたので、育てているグリーンファイヤーで少し説明してみます。

今日アジサイを見ていますと中性花が蕾の状態でした。

アジサイ中性花蕾

殆どがこのような蕾の状態ですが、中には下の写真のように中性花が咲いているものもありました。

アジサイ中性花蕾

そして装飾花をかき分けてみるとアジサイの本当の花ともいえる両性花があります。

アジサイ両性花

2019年7月10日

昨年と同じように赤色からグリーンに色変わりしてきました。ただ一斉に咲いて一斉に赤色からグリーンになったということではなく、早い時期から楽しめたものや、現在赤くて綺麗なものが混在している状態です。

そろそろ剪定をしないといけない時期になったので、赤く綺麗なものを残しグリーンに変わったものだけを切る事にしました。プレゼントで貰った頃の3倍から4倍程にはなったとはいえ、まだ育て始めて2年目で立派なアジサイと言えるほどのサイズではありませんが、今年は半分は最後まで色の変化を楽しんでみようと思います。

来年の開花に向けての剪定、今年も完了です。

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