早く枯れてしまう?やってはいけない切り花の扱い方10パターン

切り花を生ける時のポイントを知っていれば花は長持ちします。また逆にこうすれば花の持ちが悪くなるといった「切り花に対してやってはいけないこと」もありますので、今回は「花の持ちを悪くする扱い方」について書いてみたいと思います。

1.たっぷりの水で生ける

切り花のNG

切り花には水が必要です。必要ならたっぷりと与えてあげようと花瓶になみなみと水を入れた方が花は喜ぶかも?と思いがちです。

しかし切り花は茎の切り口からしか水を吸い上げることができません。ということは切り口が水に浸かっていれば問題ありません。もし花瓶などに水をたっぷり入れて、そこに花を生けたとしても水を吸うのは茎の一番下である切り口だけなので、切り口でない茎の側面は意味もなく水浸し状態になってしまいます。

はなこ
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たくさんの水に生けているとバクテリアの繁殖も増えますので、花持ちが悪くなります。

生け花をされている人はご存じだと思いますが、水盤生けでは水盤の深さまでしか水を入れることができません。水盤の深さは6~8cmくらいなので、水が入る深さは5~6cm程度だと思いますが、問題なく水を吸い上げています。これと同じで花瓶でも切り口が水に浸かっていれば大丈夫です。

花瓶に生ける時の水の量は5~6cmを目安にして、毎日水を替え、その都度切り戻しをしてあげましょう。

夏は茎が水に浸かっていることで、茎が腐りやすく水も濁りやすくなります。特にガーベラやヒマワリのように茎に産毛がある花は水が濁りやすく、茎も腐りやすいので水を少なめにしてください。

水が下がるようでしたら、深水などで水を吸わせて元気になってから生けなおしてください。



2.葉を整理しない

切り花を長持ちさせるためには適度に葉の整理をしましょう。

水を腐らせる原因になるのは多すぎる水と書きましたが、水に浸かった葉も原因になります。葉が水に浸かると水が濁って腐ってしまいますので、水に浸かりそうなところの葉は生ける前に取り除いてください。

また切り口から吸い上げた水分は葉から蒸発しますので、葉が沢山あると水が葉の方に取られてしまい、咲いている花に水が届きにくくなってしまうことも考えられます。水に浸かる葉だけでなく、水には浸からない部分でも密集している葉があれば適度に取り除くほうが花へ水が行きわたるようになります。

はなこ
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スプレーカーネーションやスプレーバラなど、蕾がたくさん付いている花も葉と同じ理由で、咲きそうにない蕾を切り落とした方が、咲いている花やこれから咲く蕾に水を行きわたらせることができます。

3.汚れたハサミを使う

ハサミを使い終わったら綺麗にする

茎をカットする時に使うのはハサミかナイフですが、一般的にはハサミが多いと思います。

ハサミを使い終わったあと、次に使うまで放置していると雑菌が繁殖したり錆びてしまうことがありますので、使い終わったらペーパータオルや乾いた布で拭き取っておきましょう。もし拭き取っただけで汚れが落ちないようでしたら水洗いをするか、それでも落ちないなら中性洗剤を使って汚れを落としたのちに乾かしてから保管してください。

いつもより大切な花をカットする時はハサミを消毒してからお使いください。消毒方法は2種類あります。

  • アルコールによる消毒
  • 熱による消毒

アルコールによる消毒は、ドラッグストアでも販売されているアルコールスプレーやアルコールタオルで刃を拭きます。熱による消毒はコンロやライターの火を使って刃を殺菌したり、沸騰したお湯にハサミを数分つけて消毒します。

消毒してすぐに使う場合はそのまま利用してもいいですが、しばらく使わないなら水分を拭き取ってから保管しましょう。

長い間使って汚れが落ちなくなってきたら、専用のクリーナーを使ってみてください。

はなこ
はなこ

いつも綺麗なハサミで茎をカットしてくださいね。ナイフを使うときも同じです。

4.花瓶に大量の花を生ける

生ける花の量に対して花瓶が小さいと、水の汚れも早くなりますし、茎と茎が当たって傷が付いて腐りやすくなってしまいます。花の量に合った大きさの花瓶に生けるようにしてください。

花束などで纏まった切り花を貰ったら小分けにして生けるといいかもしれません。

ご自宅に花瓶がない場合でも、マグカップやグラスや空き瓶などを利用すれば立派な花瓶になります。マグカップならナチュラルな感じに、グラスならお洒落な空間になります。また空き瓶はリキュールや洋酒の瓶、海苔の佃煮といったようにいろいろな形があるので面白いですよ。

はなこ
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私もよくマグカップや空き瓶を使って花を生けています。



5.温度や湿度が高い場所に飾る

切り花にとっての適温は15~20℃なので、春と秋は花持ちが良くなります。そして高温多湿という環境が痛みやすいので、梅雨から涼しさを感じられる秋までの期間は切り花の持ちが極端に悪くなります。

花の種類にもよりますが、寒い季節は10日~2週間程度、春や秋は1週間~10日程度、夏は4~5日が花持ちの目安だと思います。

夏の切り花は一日中エアコンの入った部屋に飾るのが一番です。しかし日中はエアコンで快適だけれど、夜間になるとエアコンが切れるという状態だと夜の間に枯れてしまうことになります。冬は花持ちは良いのですが、暖房を入れて薄着でも寒さを感じないくらいの室温だと、夏と同じ状態なので枯れやすくなってしまいます。

お家の中でも極端に温度が高くなる場所へ飾るのは避けてください。また多湿だと蒸れて腐ってしまうことがありますので、湿気のこもらない場所に飾りましょう。

冬に出回る花は寒さに強いので一般的に花持ちは良いです。夏も同じ様に夏に出回る花は、周年出回っているバラなどに比べると暑さに強いので、旬の花を生けることをおすすめします。
はなこ
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切り花のためには15~20℃が適温ですが、夏にこの設定にすると人間が寒すぎるので、あくまで目安ということで、私たちが適温と感じる程度の室温にしましょう。

6.エアコンの風が当たる場所に飾る

これは切り花だけではなく鉢植えの植物も同じなのですが、植物にエアコンから出る風が直接当たると、花や葉を乾燥させ、水分が奪われて急速に萎れてしまいます。

「5.温度や湿度の高い場所に飾る」のところで「夏の切り花は一日中エアコンの入った部屋に飾るのが一番です。」と書きました。エアコンのついた部屋に飾るのは問題ないのですが、エアコンから出る風が直接当たると良くないので、風の通り道にならない場所に飾るようにしてください。

花や葉を見てひらひらと揺れているようなら置き場所を変えてみましょう。

はなこ
はなこ

エアコンだけでなく、扇風機やサーキュレーターの風も直接当てないようにしてください。

7.直射日光の当たる場所に飾る

鉢植えの花は花を咲かせるために日光が必要です。しかし切り花には日光は必要ありません。

切り花を直射日光の当たる場所に置くと花や葉を乾燥させたり、花瓶の中の水の温度が上がったりして花の傷みを加速させます。

はなこ
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鉢植えの植物と違って、切り花はできるだけ日光の当たらない場所へ飾ってください。また日光が差し込む場所に飾る時は、カーテンで光を和らげてください。

8.果物と一緒に飾る

切り花と果物を一緒に飾るのはNG

かたいキウイや青いバナナをリンゴを一緒に置いていたら、成熟が早くなるというのを聞いたことがありませんか。これはリンゴから発生するエチレンガスによる効果です。

エチレンガスは成熟ホルモンや老化ホルモンとも呼ばれ、未熟なものは完熟にし、完熟なものは老化(腐る)を早めてしまいます。

これは果物どうしだけに起きることではなく、果物と切り花でも同じことが起こりますので、果物の近くに切り花を飾ると切り花は早く枯れてしまいます。

エチレンガスの発生量が多いのはリンゴ、メロン、カキ、モモなどで、エチレンガスの影響を受けやすい花はバラ、カーネーション、スイートピー、胡蝶蘭(切り花も鉢植えも)などです。逆に影響を受けにくい花はキク、ヒマワリ、ガーベラ、ストック、チューリップなどです。

またエチレンガスは果物だけでなく、タバコやお線香の煙にも含まれているようで、禁煙のお店と喫煙可のお店では花の持ちが違うというデータもあるようです。

エチレンガスの発生量の多い果物と切り花は離して飾ってください。

はなこ
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切り花の話ではありませんが、エチレンガスの発生量の多い果物を冷蔵庫のような密閉空間で保存する時は、他の野菜や果物にエチレンガスの影響を受けさせないようにラップやポリ袋に包んでから保存しましょう。



9.花びらに水をかける

切り花の水分補給は切り口からだけなので、花全体に霧吹きなどで水をかけてあげるとイキイキするのでは?なんて思われるかもしれませんが、花びらに水がつくと茶色く変色して腐ってしまいますので、花びらに水をかけるのはやめましょう。

特に気をつけないといけないのは、スイートピーやラナンキュラスやアネモネというような花びらが薄く繊細な切り花です。
花びらへ水をかけるのはだめですが、葉へ水をかけるのは問題ありません。葉といっても葉表ではなく葉裏にかけてあげましょう。
はなこ
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葉裏で水分の蒸散が行われるので、葉裏へ水をかけるのはその花にとっても良いことですし、クシャっとなった葉でも元に戻りますのでお試しください。

10.生けたら枯れるまでなにもしない

切り花を購入したりプレゼントされてすぐに花瓶に生けたけれど、枯れるまでなにもせずそのままにしていたという状態…。例えばこのようなことです。

  • 水を替えなかった。
  • 切り戻しをしなかった。
  • 枯れてきた花を取り除かなかった。

この3つの「逆(水を替えて切り戻しをして枯れた花をこまめに取る)」を行っていたら、切り花はもう少し長持ちしたかもしれません。なぜなら

  • 水を替えなかったから、花瓶の中の水はバクテリアが増えて茎が腐り水がドロドロになっているかもしれません。
  • 切り戻しをしなかったから、切り口から水を吸うことができず花に水が届かなくなっているかもしれません。
  • 枯れてきた花を取り除かなかったから、他の花が早く枯れたのかもしれません。

私たちでも数日前の飲料水を飲むのは嫌なのと同じで、切り花も腐った水は嫌です。水替えをすると切り花は新鮮な水を吸い上げることができます。水替えは毎日行い、同時に花瓶も中性洗剤で洗って清潔にしてください。

また切り口が古いと導管が詰まって上手く水を吸い上げることができなくなっていることもあります。定期的に切り戻して新しい切り口にすれば水をよく吸うようになります。切り戻すときは1~2cmくらいでいいのですが、もし茎の色が変わっていたり、ぬめっていたり腐っているようであれば、綺麗な茎の箇所でカットしましょう。

枯れた花が他の花を早く枯らす理由は、枯れた花はエチレンガスを発生させるからです。「8.果物と一緒に飾る」の箇所にも書きましたが、切り花にとってエチレンガスは枯らすのを早めます。花瓶に生けている花はどの花も一斉に咲いて一斉に枯れるということはなく、早く咲く花、ゆっくり咲く花、早めに萎む花、萎んだ花のあとに咲く花などまちまちです。次の花を咲かせるため、花を長持ちさせるために枯れた花は早めに取り除きましょう。

以上、10項目が花持ちを悪くする要素です。

なので

  1. 「花瓶にたくさん水を入れない」ようにして
  2. 生ける前に「不要な葉を取り除いて」
  3. 茎を切るときには「清潔なハサミ」を使い
  4. 「花瓶の大きさに合った量の花」を生け
  5. 「温度や湿度が高い場所」
  6. エアコンなどの「風の当たらない場所」
  7. 「直射日光が当たらなくて」
  8. 「果物からも遠い場所」に飾り
  9. 飾ったあとは「花びらに水をかけない」ようにして
  10. 「枯れた花は取り除き」「毎日水を替えて花瓶も洗い」その都度「切り戻し」

をすれば花は長持ちしてくれると思います。

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