年によって日が変わるイースターはクリスマスより重要な春の行事

日本人にはあまり馴染みがないイースターですが、最近はテーマパークや遊園地でイベントが行なわれるようになったのでご存知の人も増えてきました。

イースターについて

イースターは復活祭といい、キリスト教においてはクリスマスより大切な行事です。

クリスマスはイエス・キリストが誕生した日として知らない人はいないと思います。そしてイエス・キリストが十字架にかけられて処刑されたことも知らない人はいないと思います。処刑された日は「安息日の準備の日」とされているので、安息日の前日にあたる日だと考えられています。では安息日の前日はいつなのか…ですが。

旧約聖書創世記の記述の中で下記のように書かれています。

  • 1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
  • 2日目 神は空(天)をつくった。
  • 3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせた。
  • 4日目 神は太陽と月と星をつくった。
  • 5日目 神は魚と鳥をつくった。
  • 6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくった。
  • 7日目 神は休んだ。

神は天地を6日間で創造して7日目に休んだ」ので7日目が安息日です。イエス・キリストの時代は日曜日が始まりだったので安息日である7日目は土曜日ということになり、処刑されたのはその前日なので金曜日ということになります。

イエス・キリストは「3日後に復活する」という予言通りに3日後の日曜日に復活したといわれています。その復活した日、復活をお祝いする日がイースターです。

イースターは英語で「Easter」と書きますが、これはドイツへ移動したゲルマン民族の神話に登場する春の女神Eostre(エオストレ)の名前と、春の月の名前Eostremonat(エオストレモナト)から付けられたそうです。



イースターはいつ?

イースターはクリスマスのように毎年同じ日というわけではなく、春分の日のあとの最初の満月の次の日曜日です。日曜日ということもあってイースターサンデーとも呼ばれます。

ただ西方教会と東方教会では暦の算出方法が西方教会は西暦(グレゴリオ暦)、東方教会はユリウス暦を使っているので日が異なっています。

2023年から2030年までのイースター

西方教会 東方教会
2023年 4月9日 4月16日
2024年 3月31日 5月5日
2025年 4月20日
2026年 4月5日 4月12日
2027年 3月28日 5月2日
2028年 4月16日
2029年 4月1日 4月8日
2030年 4月21日 4月28日

イースターの卵やうさぎ

イースターのシンボルといえば卵とうさぎで、卵はイースターエッグ、うさぎはイースターバニーと呼ばれます。

イースターエッグは卵の殻をカラフルにペイントしたもので、飾るだけでなく隠されたイースターエッグを子どもたちが探して拾った数を競うエッグハント、スプーンに乗せて落とさずに走るエッグレース、転がして遊ぶエッグロールとしても使われます。

イースターエッグ

イースターエッグを運んでくれるのがイースターバニーです。

イースターでうさぎがモチーフとなった理由のひとつにイースターの由来とされる女神「エオストレ」の存在があります。エオストレはゲルマン神話に登場する女神で、地上ではうさぎの姿をしていて野うさぎを従えていました。

そしてもうひとつの理由としてイースターの時期になると、裁判官役の野うさぎが子供たちが良い子だったか悪い子だったかを厳しく判定するというものがあります。良い子だと家の前にバスケットを置いておくと、イースターバニーがイースターエッグやおもちゃなどを届けてくれるそうです。

イースターバニー



イースターと花

イースターの頃は春真っ盛りです。可愛らしい春の花も沢山ありますが、忘れてはいけないのが聖母マリアの花、純潔の象徴であるイースター・リリーです。白百合ということから現在はテッポウユリが使われています。

テッポウユリとイースター・リリー

調べてみたところ、かつては純白のマドンナ・リリーが処女マリアの貞節、純潔の象徴となりキリスト教の儀式や祭日の聖花として使われてきました。受胎告知の絵画はレオナルド・ダ・ヴィンチのほかにもいろいろな画家が描いていますが、その多くは大天使ガブリエルが白百合を持っています。

受胎告知

引用:Wikipedia(受胎告知)

レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知です。では大天使ガブリエルの手元を大きくしてみましょう。このユリは欧州原産のマドンナリリーという品種ではないかといわれています。

ところで受胎告知の絵画は聖マリアは「処女懐妊」ってことで雄しべは描かないそうですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知には雄しべがあるようです。

受胎告知の白百合

テッポウユリは九州南部から沖縄にかけて自生するユリ科ユリ属の植物で英名をEaster lilyといい、現在販売しているユリはこの自生しているユリを品種改良してできた園芸品種が多くあります。

テッポウユリは日本に自生するユリだったのですが、19世紀になってシーボルトにより日本から欧米に渡り人気を得るようになりました。19世紀末頃には欧米への輸出を目的としたテッポウユリの栽培が日本で始まりましたが、戦争が起こり日本からのユリの輸入が途絶えた結果、アメリカでも栽培が始まります。

テッポウユリ

戦争が終わってまた日本からの輸入が?とも思いますが、現在の世界のイースター・リリーの約95%がアメリカで栽培されているのだそうです。

イースターは宗教行事ではありますが、本来の意味を理解しつつも春のイベントとして楽しんでみてはいかがでしょうか。

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