すべての植物はどこかの植物群に属していますが、植物群を「科」として考えるとキク科とバラ科は種類が多い科のひとつです。またラン科の植物は観賞価値の高いものが多く、品種改良なども進んでいます。
今回はキク科、バラ科、ラン科について簡単に書いてみましょう。
キク科
キク科の植物は茎の先が平らになっている花床の上に小さな花が集まってできる頭状花といわれる作りで、多数の花が集まってひとつの花を作っているのが大きな特徴です。頭状花には2種類あってそれぞれ次のような形状です。
- 舌状花:花弁が合弁で細長い。
- 管状花(筒状花):花弁が筒状で先が5裂している。
管状花は筒状花ともいいます。
例えばヒマワリの花を見るとたくさんの花弁が縁に円状になって咲き、中心部分は種ができる部分だと思われていますが、周りの花弁のように見える部分は舌状花、中心部分を管状花(筒状花)といいます。舌状花も管状花(筒状花)もそれぞれがひとつの花として成り立っており、それぞれに雄しべも雌しべもあります。
このようにヒマワリを含むキク科の植物は小さな花の集合体でできています。ヒマワリと同じような咲き方をするコスモスやマーガレットなどの周りに舌状花があり中心に管状花があるものはキク科キク亜科になります。
しかしキク科植物の中にはタンポポのように舌状花だけで構成されているものや、アザミのように管状花だけで構成されているものがあり、タンポポはキク科タンポポ亜科、アザミはキク科アザミ亜科に分類されています。
バラ科
バラ科の植物は双子葉植物で離弁花類、多年草または1年草です。雄しべと雌しべがある両性花でガクは5枚、雄しべは10本あるいは多数、雌しべは1本から多数あり、葉は単葉または複葉で根元に托葉があります。バラ科には多くの園芸種が存在しています。
- 単葉:葉の全体が1枚の葉身からなっている葉
- 複葉:2つ以上の小葉からなる葉
- 托葉:葉柄の基部付近に生じる葉身とは別の葉状片
バラ科にはサクラやウメやモモなどのよく知っている花木のほかにも、リンゴやイチゴ、ナシ、アーモンドなど食用にするものが多いのも特徴です。
下位の亜科は次の3つに分類されます。
- バラ亜科:バラのほかイチゴやキイチゴを含む。草本または低木になる。
- サクラ亜科:全て木本で代表的なサクラのほか、モモやウメ、アーモンドなど。
- チョウノスケソウ亜科:葉は単葉で花も単性、ガクと花弁は8~9個。
以前はサクラ亜科、バラ亜科、シモツケ亜科、ナシ亜科の4つに分類されていましたが、2011年の植物命名規約改定により3亜科になりました。
バラ科の果物は共通のアレルゲンを持っているとされ、いずれかを食べて違和感を感じたことのある人はほかのバラ科に属している果物に対しても注意しなければいけません。
ラン科
内花被片3枚と外花被片3枚の合計6枚から構成されていることが多いですが、同じような内花被片3枚と外花被片3枚の合計6枚の花被を持つユリの花と違って、ラン科の花は花被の形がすべて同じではありません。
2枚のペタルと1枚のリップが内花被(花弁)にあたるもので、2枚のロアーセパルと1枚のドーサルセパルが外花被(ガク)になります。雄しべと雌しべはひとつ(花粉塊)になっていて「ずい柱」といいます。
花粉塊が取れてしまうと花は役目が終わったと思って数日で枯れてしまいます。
このような胡蝶蘭やシンビジウムやデンファレやカトレアなどのようなランを洋ランといいますが、ラン科の中には洋ランだけでなく東洋ランも含まれています。
洋ランの原産地が熱帯地方であるのに対し、シュンランやカンランなどの東洋ランの花色は洋ランほど豊かではありませんが、葉が常緑で美しく耐寒性に強く花だけでなく葉や香りを楽しむランで日本や中国に生育しています。
ここで何度か出てきた双子葉植物と単子葉植物ですが、違いは次のようになります。
双子葉植物と単子葉植物の違いについて
双子葉植物は子葉が2枚ある植物で種を植えて双葉が出たのは双子葉植物になります。主根と側根を持ち、葉は網目状になっています。バラやアサガオ、ヒマワリなど多くの花が双子葉植物です。ただシクラメンやセツブンソウなど何種類かの植物は双子葉植物に分類されていますが子葉が1枚です。
単子葉植物は子葉が1枚だけの植物のことです。殆どが草本で、根がはっきりしないひげ根を持っていることが多く、葉が細長くて葉脈が平行になっている場合が多いのが特徴です。例えばユリや菖蒲、イネや麦などが単子葉植物です。
以上がキク科、バラ科、ラン科についてです。