平仮名ばかりでとても読みにくいタイトルになってしまいました。「李も桃も桃のうち?それとも李は桃のうちではない?」です。漢字にすると一気に読みやすくなりました。
11月1日にネットニュースを見ていますと、このような記事がありました。
「スモモモモモモモモ初勝利!」
なにが勝ったんだろうと思ってその記事を読んでびっくり、「スモモモモモモモモ」は競走馬でした。
競走馬といえばディープインパクトやオルフェーヴルのように、どちらかといえば響きがカッコイイ系の名前が多いものだと思っていたのですが、スモモモモモモモモというような可愛い名前もあるのですね。興味津々で思わずどんな馬か調べてしまいました。グッズまであってアイドルですね。ぬいぐるみがピンクでこれまた可愛いです!。ソダシちゃんのぬいぐるみも可愛いですが、こちらも負けていません。
さて今回のお話はスモモモモモモモモちゃんにちなんでスモモもモモもモモなのか?ということを書いてみたいと思います。
桃について
桃はバラ科モモ属の落葉小高木です。もう少し詳しく書きますと、バラ目>バラ科>モモ亜科>モモ属>モモになります。
3月下旬から4月上旬頃にピンク色の花を咲かせ、7月から8月頃に実ができ食用になります。桃のシーズンになると桃売り場に水蜜桃と書いてあるのを見たこともあるかと思います。桃と水蜜桃は別の桃なのかと思われたかもしれません。
水蜜桃とは
原産地は中国で、日本には明治時代に渡来したのが水密桃(すいみつとう)です。よく見かける一般的な桃で、果肉は白色系、黄色系、赤・ピンク系があり、そのすべてが水蜜桃に含まれます。現在日本で食べることができる桃は、その殆どが水蜜桃系の桃を改良してできた桃です。また水蜜桃というのは品種名ではなく中国からきた桃のことで、品種を系統で分けると次のようになります。
- 白鳳(はくおう)系:果肉が柔らかく果汁が豊富。桃のシーズンの前半に出回る
- 白桃(はくとう)系:大玉で果肉が硬め。桃のシーズンの後半に出回る。
- 黄桃(おうとう)系:果肉はやや硬めで缶詰などの加工品用になる。
そのほかにはネクタリンや蟠桃(ばんとう)があります。ネクタリンは一般的な桃にあるような産毛がなくサイズも小さめです。そして蟠桃は平たい形をしているのが特徴です。
ところで3月3日のおひな祭り(桃の節句)には桃の花を飾りますが、花を楽しむ桃と食用にする桃は別のものなのでしょうか。
桃と花桃
食用にする桃とは違い、花を観賞するために改良された桃が花桃です。
食用にする桃と同じで花が咲いた後には果実ができます。しかし食用の桃とは違い、小ぶりで酸味や苦みが強いようです。食べることはできますので、自宅で育てている人の中には果実酒やジャムを作っている人もいらっしゃいます。
次はスモモについてです。
スモモについて
スモモは漢字で「李」や「酢桃」と書きます。桃より酸味があるということから酢桃と名前が付けられたということです。
スモモはバラ科スモモ属です。桃と同じようにもう少し詳しく分類するとバラ目>バラ科>スモモ亜科>スモモ属>スモモになりますが、あるところではスモモ属ではなくサクラ属と書いてあるところもあって混乱してしまいそうですね。
スモモ属とサクラ属
よくご存じの桜の花ですが、これをサクラ属とするかスモモ属とするかは、時代や国によって異なることがあり、現在はどちらも使われています。
中国やロシア、そして1992年以降の日本ではヤマザクラを始めとするサクラ全般をサクラ属、そのほかをスモモ属としています。しかし欧米ではサクラ全般と日本でスモモ属に分類されているものなどを一括でスモモ属に分類しているのです。理由としてサクラ類の多い国ではサクラを独立させた属として分け、サクラ類の少ない国ではサクラ類を全て一括して分類していたということのようです。
日本では欧米の基準に合わせる事が多かったため、桜は欧米と同じようにスモモ属に分類していましたが、植物学者の大場秀章先生が発表した論文以降(1992年以降)サクラ属として分類するようになりました。ここは日本ですので、桜はサクラ属、そしてスモモはスモモ属ということになります。
プラムとプルーン
スモモは中国原産の日本スモモと西洋スモモがあり、日本スモモを「プラム」、ヨーロッパ原産の西洋スモモを「プルーン」と呼んでいます。
日本スモモ(プラム)は主に生食用として使われ、西洋スモモ(プルーン)は生食だけでなくドライフルーツやジャムなどの加工品としても利用することが多いようです。
一般的に日本で食べられているスモモの品種は「大石早生(オオイシワセ)」という品種で、5月下旬頃から出回り始めて7月上旬頃に旬になります。次に「ソルダム」「太陽」が多く栽培され、店頭に並んでいます。
スモモは完熟する前に収穫されることが多いので皮が黄緑色っぽい状態で店頭に並んでいることがあり、その状態だと酸味がまだ強いようです。熟してくると綺麗な赤に変わってきますので、購入した後お家でしばらく常温で保存してみて赤くなってから食べてください。
すもももももももものうち?
スモモとモモは同じか?についてですが…
- 桃:バラ目>バラ科>モモ亜科>モモ属>モモ
- スモモ:バラ目>バラ科>スモモ亜科>スモモ属>スモモ
なので
結論として植物学的にはモモとスモモは別のものとなります。あえて言うなら「すももももももばらのうち(李も桃も薔薇のうち)」になるかもしれません。
11月7日に競馬BEATを見ていたのですが、福島11Rフルーツラインカップで「オヌシナニモノ」という馬が勝ったというのを聞いて、持っていたコーヒーカップを落としそうになりました。競走馬の名前って面白いのもけっこうあるのですね。
スモモモモモモモモちゃんもオヌシナニモノ君もどんどん活躍してください!