花だとか植木だというと身近なもののようですが、植物というとなにやら難しくって勉強っぽく感じてしまうかもしれませんね。
私はただの花屋なので難しいことはわかりませんし書けません。ですから私の知っている植物についてのことを簡単に書いてみたいと思います。
植物の分類
現在、地球上には30万種類程度の植物があるといわれています。そのうち日本には約6000種類あるそうです。大きさも巨大な樹から1ミクロン程度しかないものまでさまざまなものが存在しています。しかしこれだけ多くの種があるとグループ化することが必要になってきます。
植物学としての分類は、18世紀にスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネによって確立され、その後に体系化されました。それが界、門、綱、目、科、属、種です。また中間的な亜門や亜綱、亜目、亜科、亜族といった階層もあり、それを入れてソメイヨシノを分類すると次のようになります。
階級名 | ソメイヨシノの場合 | |
---|---|---|
界 | 植物界 | |
門 | 被子植物門 | |
綱 | 双子葉植物綱 | |
亜綱 | バラ亜綱 | |
目 | バラ目 | |
科 | バラ科 | |
亜科 | サクラ亜科 | |
属 | サクラ属 | |
種 | ソメイヨシノ種 |
このような界、門、綱、目、科、属、種というのは、生物の教科書で見たことある人もいらっしゃるかもしれませんね。
リンネ式の分類の前は、形態が類似しているものの集まりを種としていました。しかしダーウィンの進化論が公表されてから、リンネの分類に対しての考え方が見直され、同じ生活様式と類似した形態を持つものを種と考えるようになりました。
また亜種というのは種の下位区分にあたります。動物学では種に対しての下位区分は亜種のみですが、植物学では変種や品種も使われています。
亜種、変種、品種の違いは次のようになっています。
亜種:種として独立させるほどではないけれど違いが多いもの。
変種:形態的変化があり地理的に分布の異なる個体のこと。
品種:花の色が変わったり、葉に斑が入った場合のこと。
植物の名前
植物には2通りの名前があります。
ひとつは学名で基本的にラテン語、あるいは言語をラテン語化して付けられています。この学名は国際植物命名規約(IBNコード)に基づき付けられているもので、新しく学名を付ける場合はIBNコードを参照しなければいけません。そしてそこに無いものがあれば、それは新種になります。
学名は国際的に通用する名前で、地球上に存在する全ての植物に付けられています。また園芸品種などの栽培する植物の場合、こちらは国際栽培植物命名規約で細かい取り決めがあります。
もうひとつは和名で、日本国内だけしか通用しない名前です。先ほどのソメイヨシノは和名ですが学名はPrunus yedoensis Matsumuraといいます。
またこの和名はひとつだけということがなく複数ある場合もあります。例えばシクラメンですが、学名はCyclamen persicumといいますが、和名では学名の一部であるシクラメン以外にもカガリバナやブタノマンジュウともいいます。
学名の基本
学名を付けるときの規則として二名法というものがあります。この二名法を確立したのは先にも書きましたカール・フォン・リンネです。
基本形は
属名+種小名+命名者=学名
になります。それに命名年を加えることもあります。
ですからソメイヨシノの学名であるPrunus yedoensis Matsumuraは、Prunus(プルヌス:サクラ属)+yedoensis(エドエンシス:江戸で見つかった)+Matsumura(命名者は松村任三さん)ということになります。
また属名の最初は大文字、種小名の最初は小文字と決められており、属名と種小名の間は半角のスペースが必要です。そしてラテン語の部分(属と種小名)はイタリック体で書きます。命名者はイタリック体ではなくローマン体にします。
ソメイヨシノの学名を正式に書くとPrunus yedoensis Matsumuraということになりますね。
また属は分かるけれど、種がわからない場合は属名の後ろにsp.を付けることや、交配種だったら属名も種小名も大文字だとか…ほかにもいろいろな決まり事があります。
そして命名者に略称を使用し、たった一文字「L.」と書くことができるのはカール・フォン・リンネ(Carl von Linné)だけです。
ところで花はいつの時代からあるのでしょうか?
花はいつの時代から?
植物化石が見つかることがあります。
恐竜がいた時代を中生紀といいますが、中生紀は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分けられます。恐竜が最初に現れたとされるのが今から2億2千万年ほど前の三畳紀の後半です。
中生紀の前は古生紀で、カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀と分かれています。
この中で花が現れたのは、後期中生紀の白亜紀だといわれています。花といってもバラやカーネーションというような現在の私たちがよく見ている花というものではなく、被子植物が現れたということです。白亜紀に被子植物があったという証拠として、約1億3000万年前の花粉化石があります。花粉があるということは花が咲くということですね。
それまでは藻類やシダ類、そして裸子植物だったのが、花が咲く植物(被子植物)が地球上にできたというのはどんなだったのでしょう。
ところで、秋になると黄色に色づいて実を付けるイチョウは中生紀から存在する唯ひとつの植物です。ほかの裸子植物は氷河期に絶滅し、イチョウだけが生き残ったのです。ですからイチョウは生きている化石と呼ばれ、野生絶滅危惧種に指定されています。
植物についての話は少しづつでも書いていきたいと思います。