端午の節句は菖蒲。似ているあやめ、かきつばた、しょうぶの区別方法

5月5日の端午の節句には菖蒲(しょうぶ)の葉を浮かべたお風呂に入る人も多いですが、お風呂に入れるしょうぶは花が咲くしょうぶの葉の部分なのでしょうか。

また「しょうぶ」って「あやめ」や「かきつばた」にも似ていますので3種類の特徴も書いてみます。

「あやめ」と「かきつばた」と「しょうぶ」の違い

「かきつばた」は漢字で「杜若」なので間違うことはないのですが、「あやめ」を漢字にすると「菖蒲」になり、「しょうぶ」を漢字にしても「菖蒲」になります。(あやめは綾目や文目と書くこともありますが一般には菖蒲と書くことが多いようです。)ただ花の咲くしょうぶは「はなしょうぶ」といいますので、今回は「あやめ」「かきつばた」「はなしょうぶ」と書くことにします。

「あやめ」も「かきつばた」も「はなしょうぶ」も全てアヤメ科アヤメ属の多年草です。アヤメ属にはいくつかの植物がありますが、そのうちでよく知られているのがこの3種類です。

アヤメ科の花は「花は放射対称か左右対称で外花被片と内花被片が各3枚で雄しべが3本ある」という共通点があります。構造はこんな感じです。

アヤメ科の花の構造

内花被片は花弁です。外花被片のほうが目立ちますがこちらはガクにあたります。花柱は雄しべが花弁のように変化したもので、ここをめくると裏側に雄しべがあります。屋根のようになっているので雨で花粉が流れることもなく、昆虫が入り込むと背中に花粉が付いて他の花に受粉させることもできるという一石二鳥の構造になっています。

ところで「あやめ」も「かきつばた」も「はなしょうぶ」は、どれもよく似ていますが、それぞれの花を比べてみると次のようになります。



あやめ(菖蒲)

模様

あやめは外花被片に網目状の模様があります。

開花時期と自生場所

5月上旬から中旬に山野の草地や日当たりの良い草地で咲きます。

菖蒲

かきつばた(杜若)

模様

かきつばたは花弁の中心の部分に白い線が入っています。

開花時期と自生場所

5月から6月中旬に低地から山地の水湿地で咲きます。

杜若

はなしょうぶ(花菖蒲)

模様

はなしょうぶは中心に黄色い線が入っています。

開花時期と自生場所

5月上旬から中旬に湿地帯で咲いています。

花菖蒲

このように自生している場所と模様や線の入り方を見てみると、区別が付きやすいのではないでしょうか。



葉菖蒲について

端午の節句に菖蒲湯に入る人も多いと思いますが、あの菖蒲の葉は花菖蒲の葉なのでしょうか?

花菖蒲と葉菖蒲

花菖蒲はアヤメ科アヤメ属ですが、葉菖蒲はアヤメ科ではなくサトイモ科ショウブ属の植物の葉です。

「菖蒲(しょうぶ)」という植物はこちらの葉菖蒲が本当のしょうぶです。葉の形が似ていることから名前に「しょうぶ」と入れ込んだ「はなしょうぶ」ですが、花が綺麗なこともあって本家の「しょうぶ」より目立ってしまうようになりました。

はなこ
はなこ
端午の節句に菖蒲を用いるのは「菖蒲」が「勝負」「尚武」などの言葉に通じることから、男の子が逞しく成長することを願ったものだそうです。

葉菖蒲(本当の菖蒲)はこのような花を咲かせます。

菖蒲の花

端午の節句には菖蒲湯を

端午の節句が近くなるとスーパーや花屋には葉菖蒲が並びます。

葉菖蒲を買ってきたらまずサッと水洗いをして下さい。根が付いていますが切り落とさずにそのままお風呂に入れます。葉菖蒲をそのままお風呂に入れるだけでもいいですが、次のようにすると一段と良い香りを楽しむことができます。

  • 沸かし湯の場合:水のうちに葉菖蒲を入れていつもより高めの温度になるようにお風呂を沸かし、適温になるまで冷まして入浴してください
  • 給湯式の場合:空の湯船に葉菖蒲を入れてから少し高めの温度のお湯を入れます。適温になるまで冷ましてから入浴してください。

沸かし湯の場合も、給湯式の場合も、高めの温度のお湯を入れてから冷ますということをするだけで香りのよい菖蒲湯になります。

菖蒲湯

葉菖蒲だけでなく「よもぎ」も一緒に付いているようでしたら、葉菖蒲とよもぎを根元でひとまとめにして湯船に入れてください。ただよもぎには陣痛作用があるらしいので妊娠中の方はよもぎは入れないほうがいいと思います。

菖蒲湯の効能は腰痛緩和、冷え症、肩こり、リラックス効果などです。端午の節句にしか出回らない葉菖蒲で菖蒲湯をお楽しみください。

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