桜の開花の前、3月上旬や中旬なのにもう桜が咲いている!?と驚かれる人もいらっしゃるのですが、それは桜ではなく桜に似た花です。
桜の開花の前に咲く花で桜と間違われるものに、ベニバスモモやアーモンドがあります。これらの花はとても良く似ているのですが、実はちょっとしたコツですぐに見分けがつくようになります。
ソメイヨシノとベニバスモモとアーモンドの違い
ソメイヨシノとベニバスモモ、アーモンドの花はとてもよく似ています。
ひと目見ただけでは区別がつきにくいのですが、特徴がわかると見分けが簡単にできるようになります。それぞれの特徴を纏めてみました。
ソメイヨシノの花について
日本人にとって桜は大好きな花のひとつです。桜にもいろいろな種類がありますが、桜の開花といえば、ソメイヨシノの開花ですね。
ソメイヨシノの花の付き方ですが、枝から細い茎のような花柄(かへい)が出て、その先に花をつけます。そして花弁の先はハート型になるような切り込みが入っています。
葉は花が咲き終わる頃から出始めてきて、綺麗な葉桜になります。
一般的にソメイヨシノには実ができないといわれています。桜は自家不稔性という性質があり、同じ株の花同士では受粉して実ができません。ソメイヨシノは簡単に言ってしまうと、遺伝子が一緒のクローン桜なので、桜並木であっても実を付ける事はありません。
ところが稀に実のついているソメイヨシノがあるのです。これは近くにソメイヨシノではない桜があって、ソメイヨシノと別の桜の交配によって出来たものなのです。
桜には観賞用と食用があり、さくらんぼのできる桜ではセイヨウミザクラ(西洋実桜)があり、ソメイヨシノより少し遅れて開花し、6月から7月に美味しいさくらんぼができます。佐藤錦食べたいですよね。
ソメイヨシノと比べて、花の似ているベニバスモモとアーモンドは次のような特徴があります。
ベニバスモモの花について
ベニバスモモの開花はソメイヨシノより1週間から2週間早く、街路樹などに使われていることも多いので、ソメイヨシノに間違われやすい花です。
特徴は、ソメイヨシノは花が終わってから葉が出てくるのに対し、ベニバスモモは花が咲き始めるのと同じ頃から小さな赤みがかった葉が現れます。
漢字で紅葉李と書き、赤みを感じる葉が出るスモモと覚えていただければ良いかもしれません。
花はソメイヨシノより少し小さく、花弁の形も少しソメイヨシノと異なります。ソメイヨシノは花弁の先に切り込みが入っていますが、ベニバスモモはその切り込みがなく丸くなっています。
スモモの仲間なので、実は7月から8月に収穫が出来て食べることも可能です。ただ酸味が強いようです。
アーモンドの花について
アーモンドの実は知っているけれど、花は知らないという人も多いかもしれませんね。花は桜にそっくりで、ソメイヨシノより2週間ほど早く開花します。
ソメイヨシノとの区別の付け方は、ソメイヨシノは花柄(かへい)の先に花をつけますが、アーモンドには花柄がなく、枝から直接花を咲かせます。
アーモンドは花が終わった後、実が徐々に膨らんできます。その後、梅雨頃に実が熟してきて夏になると収穫時期を迎えます。
梅雨時の雨は大敵で、鉢で育てている場合は、大量に雨が当たるような場所には置かないようにしてください。
桜もベニバスモモもアーモンドも同じバラ科
ソメイヨシノもベニバスモモもアーモンドも、バラ科サクラ属で同じです。だから花が似ているのですね。
いろいろな桜の種類
桜の原種は10種類で、それぞれが自然交配した野生種で100種類程、また人の手をかけて交配させたものが300種類程あるといわれています。
ソメイヨシノは漢字で染井吉野と書き、江戸末期に江戸の染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋さんが、大島桜と江戸彼岸桜を交配させて作った品種だそうです。
挿し木や接ぎ木での繁殖で増やされたため、環境や気温など条件が同じであれば一斉に開花するという特徴があります。
ヤマザクラ(山桜)
花が咲くのと同時に葉が付き始めるのが特徴で、昔から山に自生しています。奈良県の吉野山の山桜が有名ではないでしょうか。
そうそう百人一首にも山桜を詠んだ歌がありますね。
もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし
【(私がお前を愛しく思うように)一緒に愛しいと思っておくれ、山桜よ。この山奥では桜の花のほかに知り合いもおらず、ただ独りなのだから】
前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)が詠んだ歌ですが、修行の中での孤独感を感じます。世間は花見だのなんだのって浮かれている春に、厳しい修行をされていたのでしょうね。
エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)
春の彼岸の頃に花を咲かせ、桜の中では丈夫で長寿な品種で、国の天然記念物に指定されている木もあります。
山梨県:山高神代桜:樹齢2000年以上
福島県:三春滝桜:樹齢1000年以上
岐阜県:薄墨桜:樹齢1500年以上
以上3つが日本三大桜です。
マメザクラ(豆桜)
低木や小高木のためか、盆栽にされる人も多いようです。花は小さく挿し木で育ちます。
花が咲いてから葉が出るのはソメイヨシノと同じです。富士山や箱根に分布することが多いことからフジザクラとも呼ばれています。
ヒカンザクラ(緋寒桜)
名前が似ているのでヒガンザクラと間違われやすい桜です。沖縄で桜といえばこのヒカンザクラの事だそうです。
花の色はしっかりとしたピンク色で、釣鐘のような形をしています。散り際ですが、ソメイヨシノの花弁がはらはらと散る様に対して、ヒカンザクラは花のままボトッと落ちてしまいます。
サトザクラ(里桜)
オオシマザクラを基にしてできたのがサトザクラです。
山に対しての里という意味があり、観賞用として交配させた桜で八重咲きや枝垂れ咲きなど種類が多くあります。また開花期も長いのが特徴です。
ほかにもミヤマザクラ、カンザクラ、オオヤマザクラなど、桜には沢山の種類があります。
もうすぐ桜の季節、ぽかぽか陽気ももうすぐですね。
でもその前に
桜の前に咲く、ベニバスモモやアーモンドの花も思いがけない所にありますので、一度訪れてみられてはいかがでしょうか。
大阪では大阪城のベニバスモモが綺麗ですよ。