桜のソメイヨシノとベニバスモモとアーモンドは間違えやすい花

桜の開花前なのにもう桜が咲いている?と驚かれる人もいらっしゃるのですが、それは桜ではなく桜に似た花かもしれません。

桜の開花の前に咲く花で桜と間違われるものに、ベニバスモモやアーモンドがあります。これらの花は桜ととても良く似ているのですが、実はちょっとしたコツですぐに見分けがつくようになります。

ソメイヨシノとベニバスモモとアーモンドの違い

ソメイヨシノ、ベニバスモモ、アーモンドの花はとてもよく似ています。この3つはどれもバラ科サクラ属なので花も似ているのですが、特徴がわかると見分けが簡単にできるようになります。それぞれの特徴を纏めてみました。

ソメイヨシノの花について

ソメイヨシノ

日本人にとって桜は大好きな花のひとつです。桜にもいろいろな種類がありますが、桜の開花といえばソメイヨシノの開花ですね。

ソメイヨシノは漢字で染井吉野と書き、江戸時代末期に江戸の染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋さんが大島桜(オオシマザクラ)と江戸彼岸桜(エドヒガンザクラ)を交配させて作った品種です。挿し木や接ぎ木での繁殖で増やされたクローン桜のため、環境や気温など条件が同じであれば一斉に開花します。

そんなソメイヨシノの花の特徴は…

ソメイヨシノの花の付き方は、枝から細い茎のような花柄(かへい)が出てその先に花をつけます。そして花弁の先はハート型になるような切り込みが入っています。葉は花が咲き終わる頃から出始めてきて、綺麗な葉桜になります。



ソメイヨシノの実

桜といえばさくらんぼができる木と思いますが、基本的にソメイヨシノには実ができません。

一般的にサクラは他家受粉でのみ受粉し、自分と同じ遺伝子をもつ花粉では受粉できない自家不和合性という性質を持っています。

自家不和合性とは、S遺伝子型がオス(花粉)とメス(雌しべ)で全く同じ組み合わせの場合、受粉しても受精に至らず種子が実らない現象のことです。

例えばヤマザクラには遺伝子型がいくつもあるそうです。そのため野生種のヤマザクラ同士でも遺伝子型が異なれば受精し実をつけます。

しかしソメイヨシノはクローン桜なので遺伝子型がどれも一緒です。一緒ということは実をつけることができません。ところが稀に実のついているソメイヨシノがあります。これは近くにソメイヨシノではない桜があってソメイヨシノと別の桜の交配によって出来た実です。

はなこ
はなこ

桜には観賞用と食用があり、さくらんぼのできる桜はセイヨウミザクラ(西洋実桜)といい、ソメイヨシノより少し遅れて開花し、6月から7月に美味しいさくらんぼができます。

ソメイヨシノに似ているベニバスモモとアーモンドは次のような特徴があります。

ベニバスモモの花について

ベニバスモモ

ベニバスモモは漢字で紅葉李と書きます。開花はソメイヨシノより1週間から2週間早く、街路樹などに使われていることも多いのでソメイヨシノに間違われやすい花です。

そんなベニバスモモの花の特徴は…

ソメイヨシノは花が終わってから葉が出てくるのに対し、ベニバスモモは花が咲き始めるのと同じ頃から紅葉李の名前にふさわしいような小さな赤みがかった葉が現れます。花はソメイヨシノより少し小さく、形もソメイヨシノと違って花弁の先の切り込みがなく丸くなっています。

 

はなこ
はなこ

スモモの仲間なので実は7月から8月に収穫が出来て食べることも可能です。ただ酸味が強いようです。

アーモンドの花について

アーモンド

アーモンドの実は知っているけれど花は知らないという人も多いかもしれません。花は桜にそっくりでソメイヨシノより2週間ほど早く開花します。

そんなアーモンドの花の特徴は…

ソメイヨシノは花柄(かへい)の先に花をつけますが、アーモンドには花柄がなく枝から直接花を咲かせます。

はなこ
はなこ

アーモンドは花が終わったあと実が徐々に膨らんできて、梅雨頃に実が熟しはじめ夏になると収穫時期を迎えます。



いろいろな桜の種類

桜の原種は10種類で、自然交配した野生種が100種類ほど、また人の手をかけて交配させたものが300種類ほどあるといわれています。

代表的な桜を紹介しましょう。

ヤマザクラ(山桜)

花が咲くのと同時に葉が付き始めるのが特徴で、昔から山に自生しています。関西では奈良県の吉野山の山桜が有名です。

百人一首にも山桜を詠んだ歌があります。

「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」

「(私がお前を愛しく思うように)一緒に愛しいと思っておくれ、山桜よ。この山奥では桜の花のほかに知り合いもおらず、ただ独りなのだから」という意味です。

エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)

たくさんの桜の種類がある中で、昔から日本三大桜の中に数えられてきたのがエドヒガンザクラです。春の彼岸の頃に花を咲かせ、長寿な品種で国の天然記念物に指定されている木もあります。

山梨県:山高神代桜(やまたかじんだいさくら)

樹高10.3m、根元・幹周り11.8m、日本で最古・最大級の巨木として1922年(大正11年)に国指定天然記念物第1号となりました。樹齢は2000年以上といわれ、北杜市武川町の実相寺境内に咲いています。

福島県:三春滝桜(みはるたきざくら

福島県田村郡三春町にあるエドヒガン系の紅枝垂桜(ベニシダレザクラ)で、1922(大正11)年に桜の木として初めて国の天然記念物の指定を受けました。樹齢は1000年以上といわれています。

岐阜県:淡墨桜(うすずみざくら)

岐阜県本巣市の根尾谷・淡墨公園にある一本桜で、樹齢1500年以上の古木です。継体天皇お手植えの桜と伝えられ、蕾は薄いピンクですが満開になれば白になり、散り際には淡い墨色になることから淡墨桜と名付けられたといわれています。

以上が日本三大桜です。

マメザクラ(豆桜)

マメザクラは低木や小高木のために盆栽で育てる人も多く花は小さく挿し木で育ちます。

花が咲いてから葉が出るのはソメイヨシノと同じです。富士山や箱根に多いことからフジザクラとも呼ばれています。

ヒカンザクラ(緋寒桜)

名前が似ているのでヒガンザクラと間違われやすい桜です。沖縄で桜といえばこのヒカンザクラの事だそうです。

花の色はしっかりとしたピンク色で釣鐘のような形をしています。散り際はソメイヨシノの花弁がはらはらと散るのに対して、ヒカンザクラはポトリと花のまま落ちてしまいます。

サトザクラ(里桜)

オオシマザクラを基にしてできたのがサトザクラです。

山に対しての里という意味があり、観賞用として交配させた桜で八重咲きや枝垂れ咲きなど種類が多くあります。また開花期も長いのが特徴です。

ほかにもミヤマザクラ、カンザクラ、オオヤマザクラなど、桜には沢山の種類があります。

さて…

はなこ
はなこ

桜の季節と前後して咲くベニバスモモやアーモンドの花。思いがけない所にありますので散歩をしながら探してみてはいかがでしょうか。大阪では大阪城のベニバスモモが綺麗です。

この記事はウェザーニュースに載りました。

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