2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデーはすっかり一般的なものになっています。どちらも愛に関するイベントで、バレンタインデーに女性から告白をして、ホワイトデーに男性から返事をもらってそこで完結かと思っていたのですが、まだ続きがありました。
4月14日のオレンジデーです。
オレンジデーってなんでしょう?
バレンタインデーとホワイトデー
オレンジデーの前に簡単にバレンタインデーとホワイトデーのことを少しだけ書きます。
ローマ時代、戦場へ行く若者は愛する人を故郷に残していくと士気が下がるという理由から結婚を許されていなかった中、可哀想に思ったキリスト教の司祭だったウァレンティヌス(バレンタイン)は若者たちを密かに結婚させていました。
そのことを知った皇帝は激怒し、ウァレンティヌスを処刑してしまいました。その処刑された日が2月14日で、若者たちの愛を成就させようとしたウァレンティヌスに祈りを捧げる日として始まり、やがて恋人たちはカードやプレゼントを贈りあうようになったのがバレンタインデーの始まりといわれています。
日本では女性から男性にチョコレートを渡しますが、これは1958年(昭和33年)に、メリーチョコレートが新宿の伊勢丹でバレンタインセールとして販売したのが始まりで、チョコレートを贈るのは日本独自の文化です。
頂いたならお返しをしないといけないというのも日本人ならではの考え方で、3月14日にお返しをということから日本の老舗のお菓子屋さんがバレンタインデーのお返しとしてマシュマロを販売し、それならばとあちこちのお菓子屋さんもクッキーやキャンディーを売りはじめたのがホワイトデーの始まりです。
オレンジデーとは?
オレンジの花言葉は「花嫁の喜び」ということからヨーロッパではオレンジの花は花嫁を飾る花として扱われています。また花と果実を同時につけることや、ひとつの樹にたくさんの果実をつけることからヨーロッパでは愛と豊穣の象徴ともいわれています。
と書きますと「ヨーロッパの文化から渡ってきたものなの?」と思ってしまいますが、こちらもホワイトデーと同様に日本独自のイベントです。
ちょうど発案する数年前の1991年4月1日、牛肉とオレンジの自由化が始まりました。そんな中、柑橘類栽培農家さんは良いものを作るということで対抗されたのでしょう。オレンジデーの発案には愛媛県の農家さんの意気込みを感じます。
でも愛媛だったら「みかんの日」にすればいいのではという素朴な疑問も出てきますが、「みかんの日」は既にありました。全国果実生産出荷安定協議会と農林水産省が制定し、日付は「いい(11)みか(3日)ん」と読む語呂合わせで、11月3日と12月3日が「みかんの日」です。
愛媛県ではみかんのシーズンを順番に旬を迎える柑橘類でアピールするという愛のオレンジロードが作られました。スケジュールは次のようになっています。
- 11月3日と12月3日は「みかんの日」で「恋するシーズンの到来」旬:温州みかん・紅まどんな
- 1月14日は「いい予感」のする「恋愛成就のきざし」旬:伊予柑・ポンカン
- 2月14日は「バレンタインデー」に「愛を届けよう」旬:伊予柑・ポンカン・はるみ・甘平
- 3月14日は「ホワイトデー」で「愛に応えよう」旬:デコポン・せとか
- 4月14日の「オレンジデー」には「愛を深めよう」旬:清見タンゴール・カラマンダリン
実はこのオレンジデーの1ヶ月後の5月14日にも「マーマレードの日」という記念日があります。こちらは愛媛県八幡浜市に事務局を置くダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会実行委員会が制定したそうです。
みかんの品種
一般的にみかんというと「温州みかん」のことを指し、温州みかん以外の柑橘類は「中晩柑(ちゅうばんかん)」と呼びます。
温州みかん以外の「中晩柑」というのは、年明けから5月くらいにかけて登場する柑橘類で、伊予柑や八朔などが含まれます。
今回はオレンジデーについての話ですので、柑橘類の中でも〇〇オレンジと名前の付く3種類について書いてみたいと思います。
オレンジについて
オレンジの品種は大きく分けて3つに分類されます。
- バレンシアオレンジ
- ネーブルオレンジ
- ブラッドオレンジ
バレンシアオレンジ
バレンシアオレンジは5月頃に開花して収穫は翌年の6月頃という、栽培期間が約400日と大変長く手間がかかる柑橘です。しかしその長期に渡る栽培期間のため、普通の柑橘では見られないような今年収穫する果実と来年収穫するために咲いた花や、食べごろの黄色い果実と翌年収穫予定の小さな緑色の果実を同時期に見ることができます。
400日も樹で過ごすため2度春を迎えることになりますが、2年目の5月頃から気温が高くなってくると果実が葉緑素と水分を取り入れてしまうために、一旦オレンジ色になったのに再び果皮に青みが戻る回青現象(かいせいげんしょう)というのが起こることがあります。
購入したバレンシアオレンジが青っぽくなっていても果肉はちゃんと熟していますので美味しくいただけます。
ネーブルオレンジ
お店に並んでいるネーブルオレンジは輸入されたものが多く、ワシントンネーブルという品種でカリフォルニア産が多いようです。日本では大三島ネーブル、白柳ネーブル、清家ネーブル、森田ネーブルなどがありますが、それらのネーブルはワシントンネーブルの枝変り品種です。
ブラッドオレンジ
品種はサングイネッロ種やイタリアのタロッコ種、シチリアのモロ種などがあり、日本でもタロッコ種とモロ種を栽培しています。
一番古くからあるのがサングイネッロ種です。
タロッコ種はサングイネッロ種の変異で誕生したといわれています。果肉はオレンジ色から濃い赤色のグラデーションになっていることが多いようです。モロ種はタロッコ種より少し小さめですが、ブラッドオレンジの中では最も赤みが強く、皮の部分にも赤みが出ているオレンジです。
日本でオレンジデーあたりに収穫されるのはブラッドオレンジで、愛媛県が一番出荷量が多いようです。
4月14日のオレンジデーには恋人と一緒にオレンジを食べるのもいいですし、オレンジジュースを飲むのもいいですし、オレンジ色のなにかをプレゼントし合うのもいいかもしれません。
おふたりの未来が実りあるものですように。