1年の間にはお花の名前のついた記念日があります。
海外から渡ってきた記念日だったり、語呂合わせだったりと理由はそれぞれです。
ミモザの日(3月8日)
3月8日は国際女性デー(International Women’s Day)で、イタリアでは女性の日(Festa della donnaフェスタ・デッラ・ドンナ)といいます。ミモザの開花時期が3月~4月ということもあり、この日をミモザの日と呼んでいます。
西洋では黄色の花は春を象徴する幸せの花といわれており、ミモザの日には男性から女性に感謝を込めてミモザを贈ります。プレゼントをする相手は妻や恋人だけでなく、母や祖母、同僚や友人なども含まれています。プレゼントされた女性たちは贈られたミモザを飾ったり、仕事や家事から離れてお出かけや外食を楽しむそうです。
ミモザについて
ミモザは銀葉アカシアやフサアカシアなどの黄色い房状の花を咲かせるマメ科アカシア属の総称です。
学名はAcacia dealbataといいますが、実は学名にMimosaとつく名前の植物があり、こちらのほうがミモザの学名っぽいのですが、学名のMimozaはオジギソウのことです。正式にはMimosa pudicaといいます。
なぜオジギソウの学名(Mimosa)がミモザに付いたのかというと、南フランスからイギリスにミモザを輸入したときに花や葉の様態がオジギソウに似ていることから、ミモザという名前になりました。
さくらの日(3月27日)
公益財団法人日本さくらの会が1992年(平成4年)にさくらの日と制定しました。
「さ(3)×く(9)=27」という語呂合わせと、ちょうど桜の開花時期だったので、3月27日になったということです。
制定は平成になってからですが、さくらの会は1964年(昭和39年)東京オリンピックが開催された年に、桜の愛護・保護・育成・普及を目的に設立されました。当時オリンピックや国土整備事業による道路拡幅改修など、急激な開発や公害の影響があり、桜が衰退していたため復興が必要だったのです。
桜について
桜はバラ科サクラ属で品種は600種以上あるといわれています。しかし原種は
- ヤマザクラ(山桜)
- オオヤマザクラ(大山桜)
- カスミザクラ(霞桜)
- オオシマザクラ(大島桜)
- エドヒガン(江戸彼岸)
- チョウジザクラ(丁子桜)
- マメザクラ(豆桜)
- タカネザクラ(高嶺桜)
- ミヤマザクラ(深山桜)
- カンヒザクラ(寒緋桜)
の10種類で、あとは交配種・交雑種になります。皆さんよくご存じのソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの交雑種です。
ガーベラの日(4月18日)
2005年に全国ガーベラ生産者交流会福岡大会で制定されました。
由来は「よ(4)い(1)は(8)な」の語呂合わせと、ガーベラの出荷量が4月に多いことと、4月に日本で初めてガーベラの名称登録をしたからです。
九州農業試験場研究員だった松川時晴さんが長年の品種交配の結果、八重咲きの新しい花(ガーベラ)を作出し、名前を「レインボー」「クレオパトラ」と付けて、名称登録を申請しました。ガーベラが日本で初めて正式に誕生したのが1958年(昭和33年)4月18日です。
ガーベラについて
ガーベラはキク科ガーベラ属の総称です。原産地は南アフリカで、日本には明治末に渡ってきました。
宿根草で野生品種は約40種、品種改良により切り花として流通しているのは2000種以上あります。花色も豊富で可愛く、鉢植えのガーベラも育てやすく、切り花も花束やアレンジメントに人気です。咲き方は一重咲き、八重咲き、半八重咲き、スパイダー咲きなどがあります。
すずらんの日(5月1日)
お世話になった人、大切な人にすずらんを贈る日です。フランスではjour de muguetといい、すずらんを贈られた人には幸運が訪れるといわれています。特に花が13個付いていればなお良いのだそうです。
このすずらんの日はシャルル9世の時代から始まりました。1561年5月1日、シャルル9世はすずらんをプレゼントされ、すずらんは幸運をもたらす花という意味があることを知り、宮廷の婦人にも毎年贈るようになったのが始まりです。
告白の場になるように、すずらん舞踏会も開かれていたようです。 女性はすずらんに見立てた白いドレスを身にまとい、男性は上着の襟に空いたラペルホールにすずらんの花をさして踊っていたのだそうです。その後、19世紀末になると庶民にもすずらんを贈る習慣が広がり、1976年に定着しました。
フランスはすずらんの日だけは花屋でなくてもすずらんを売ることができます。ただし条件があります。
- 花屋から100m以上離れた場所で売ること
- 根の付いていないすずらんを売ること
条件を満たしていれば一般の人も販売が許可されています。
すずらんについて
すずらんはキジカクシ科スズラン属の球根多年草です。
スズランは日本(北海道や東北)に自生するニホンスズランと、園芸品種のドイツスズランの2種類があり、流通しているのは殆どがドイツスズランです。
ニホンスズランの別名は君影草といい、花の咲く位置が低く葉に隠れるようにして咲きます。ドイツスズランは花も大きく香りも強いため、香水に用いられています。
ローズの日(6月2日)
ブルガリアで6月にバラの収穫を祝う感謝祭が開催されることを日本でも知ってもらい、文化を広めたいということから、一般社団法人ブルガリアンローズ文化協会が制定、2017年に認定されました。
ロ(6)ーズ(2)という語呂合わせと、バラが咲く時期であることから6月2日になりました。
バラの収穫を祝う感謝祭(バラ祭り)が行われるブルガリアのバラの谷はブルガリアンローズの産地で、お祭りの期間は親しい人にバラを渡して感謝を伝えます。
バラについて
バラは5万種ほどあるといわれています。しかしローズオイルが抽出できるのはわずか数種類しかありません。その中でもダマスクローズは最も香りが良いとされ、ブルガリアのバラの谷のダマスクローズは世界最高品質で特別にブルガリアンローズと呼ばれています。
ローズオイルは香水に、花弁はジャムやハーブティーに用いられています。しかしローズオイル一滴に100本以上のブルガリアンローズが必要なんだそうです。
私はバラが好きでいくつの品種を育てていますが、その中でも強香種ダマスク香のバラは、離れていても香ってくるぐらいです。
あじさいの日(6月6日)
古くから紫陽花は災いを防ぐという言い伝えがあり、6日、16日、26日といった6の付く日に紫陽花を逆さまにして吊るしておくと魔除けになるといわれてきました。6が2つ続く6月6日は紫陽花が咲く季節だったことから、この日が紫陽花の日になったということです。
吊るし方と場所ですが、紫陽花を和紙で包んで紅白の水引で結び、魔除けや金運ならば玄関に吊ります。トイレに吊るすと女性特有の病気や老後に下の病気で困らないのだそうです。紫陽花はそのまま1年間吊るして、翌年新しい紫陽花に変えます。
紫陽花は有毒植物なので、昔の人は毒のおかげで魔除けになると信じていたのかもしれません。
紫陽花について
紫陽花はアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。
ドライフラワーにしても綺麗なので、どの紫陽花でも1年間も吊るすと自然にドライフラワーになるかも?と思いますが、日本アジサイはなかなか上手くドライフラワーになってくれません。ドライフラワーにしたいと思われましたら、秋色アジサイやアナベルがお勧めです。
女性の紫陽花に対して、男性は5月~7月に開花するドクダミを吊るすというのがあります。
カスミソウの日(7月7日)
7月7日は七夕ですが、カスミソウの日でもあります。
小さな花が沢山ついている様子が、満天の星や天の川を連想させることから、カスミソウの生産者が発起人となり制定しました。
この日は、普段カスミソウを取り扱っていない花屋でも仕入れるそうです。
カスミソウについて
カスミソウはナデシコ科の植物で英名をbaby’s breath(赤ちゃんの吐息)といいます。
基本的に色は白かピンクで、たまに赤や青やオレンジといったかすみそうを見ることもありますが、白とピンク以外は染めてあるカスミソウです。これは家でも水にカラーインクを入れておけば作ることができます。
品種ではパニクラータ種、エレガンス種、矮性種の3系統に分かれます。
- パニクラータ種:切り花にする品種。草丈が高い。
- エレガンス種:パニクラータ種よりコンパクト。ピンク色もある。
- 矮性種:ムラリスは草丈が15cm~30cmで白やピンクがある。オノエマンテマは高山植物で花が大きくカーペットのように広がるためカーペットカスミソウとも呼ばれている。
一般的に花束やアレンジメントに使うのはパニクラータ種です。
アルタイル、ベールスター、ミリオンスター、スターマインといった七夕に飾ったりプレゼントしたりするのにぴったりの品種名のカスミソウもあります。
ひまわりの日(7月14日)
この記念日は夏に咲く花のひまわりではなく、1977年日本で初めての静止気象衛星ひまわりが打ち上げられた日です。ひまわりという名前の由来は、常に太陽に向かって花を咲かせるひまわりのように、いつも地球の方を向き続け、1日1回地球を周回するところから付けられました。
正式名称は、静止気象衛星GMS(Geostationary Meteorological Satellite)といいます。しかしひまわり5号まではGMSでしたが、6号と7号は運輸多目的衛星MTSAT (Multi-functional Transport Satellite)といい、8号になって静止気象衛星Himawariになりました。
現在は2014年に打ち上げたひまわり8号が運用中で、2016年に打ち上げて今は軌道上で待機しているひまわり9号が2022年から本運用される予定です。
ひまわりについて
ひまわりの花は常に太陽を向いていると思われています。確かに成長過程では太陽を追いかけて日中に東から西に向きを変えますが、成長が止まると基本的に花は東を向いたままになります。
成長過程では日の当たる側と日の当たらない側があった時に、オーキシンという植物ホルモンが日の当たらない方に作用して成長を促すためだといわれています。
ひまわりはキク科ヒマワリ属の一年草です。
コスモスの日(9月14日)
コスモスの開花時期に合わせて、ホワイトデーから半年後の9月14日に夫婦やカップルなどの間でプレゼントにコスモスを添えて交換し、愛を確かめ合う日ということでコスモスの日ができました。
制定した団体などは不明です。
コスモスについて
コスモスは白やピンクの花を咲かせる、キク科コスモス属の総称です。
開花時期は3つに分かれます。
- 夏咲き:7月~8月に咲く。
- 早咲き:9月頃に咲く。
- 秋咲き:10月~11月に咲く。
また品種も次のように分けられています。
- センセーション系:最もポピュラーな花で花径8cmくらい。草丈100cm~120cmくらい。
- ソナタ系:花径7cmくらい。草丈50cm~60cmくらい。
- コスミック系:矮性種でキバナコスモス(イエロー・オレンジ・レッド)もある。
- その他:複弁だったり筒咲きだったりと色々ある。
- その他黄花:キバナコスモスでコスミック系より草丈が高い。
いいマムの日(11月6日)
いいマムの日は新しく2021年に制定された花の名前が付く記念日です。
国内のマム(菊)の生産者によって組織され、マムの普及とPRをする団体が語呂合わせで、い(1)い(1)マム(6)ということと、菊が綺麗な季節ということで11月6日に制定しました。登録を行ったのは9月9日、重陽の節句(菊の節句)です。
菊について
菊の正式な和名は家菊といいます。これは観賞用の菊のことで、野生種のノギクに対しての名前だそうです。また国内で古くから品種改良された和菊に対し、ピンポンマムやスプレーマムは洋菊といいます。
菊といえばお仏壇の花のイメージが強いですが、洋菊は可愛いのでアレンジメントにも使えます。
花の日
全ての花に関係する日、それが花の日です。これは日本だけでなくアメリカ合衆国にもあるのですが、アメリカ合衆国と日本では理由も日にちも違います。
アメリカ合衆国は6月第2日曜日です。
キリスト教の行事で、信者たちが花を持ち寄って教会を飾り、礼拝のあとに子どもたちがその花を持って病院や施設を慰問する日が花の日です。
日本は8月7日です。
は(8)な(7)の語呂合わせで、山梨県小渕沢町の花パークフィオーレ小渕沢が制定しました。
このように花の名前の付いた記念日はいくつもあります。その記念日に合った花をご家族や大切な人へ贈ってみるのはいかがでしょうか。