家の近くに草や木が生え放題?植え放題?になっている所があります。フェンスが立っていますので所有されている人はいらっしゃるとは思います。
11月頃にその場所の横を通りますと臭いがします。その臭いには記憶がありますが、しかしその記憶の中の臭いは11月ではなく3月から4月頃です。
3月から4月に臭いの元になる花といえばヒサカキの花です。
私は「ビシャコ」と呼んでいますが、Wikipediaを使ってビシャコで調べても出てこず、ヒサカキなら出てきましたので正式にはヒサカキと呼ぶのでしょう。それ以外にも下草やシバ、シャシャキとも呼ぶ人もいます。
このヒサカキの花と同じ臭いが11月にするのです。
最初はどこにヒサカキの木があるのかとその場所を通るたびに見ていたのですが、奥の方が見えないこともあってヒサカキは発見できないままでした。それに春に咲く花(臭う花)なのに11月に咲くこと(臭うこと)も不思議でした。
ところがある日見つけてしまったのです。なんとヒサカキではなかった!。ということで今回はヒサカキとヒサカキと同じような臭いのする木のお話です。
ヒサカキについて
ヒサカキは漢字で「柃」と書く常緑小高木です。仏花や墓花の菊やカーネーションなどの後ろにつけてある葉といえばお解りになる人も多いかもしれません。
写真のように葉の縁がギザギザ(鋸歯:きょし)としています。
神事によく使われるサカキ(榊)という木がありますが、こちらはヒサカキより葉が大きく次の写真のように葉の縁にギザギザはありません。
昔はサカキの生育しない地域ではサカキの代用品が必要でした。サカキの代用として使われたものはツバキやスギなどで、その中のひとつにヒサカキがあったのです。
このヒサカキですが春になると花を咲かせ、秋に実をつけます。
ヒサカキの花
ヒサカキは3月から4月になると花を開花させます。小さくてクリーム色がかった白い花を葉の裏側の枝に下向きに咲かせますが、この花はとにかく臭いのです。
においには「匂い」と「臭い」の2種類があります。匂いは花の匂いや香水の匂いなど好ましい香りを指すことが多く、臭いはゴミの臭いといったように好ましくない香りを指すように思います。殆どの花では「匂い」のほうの漢字を書きますが、ヒサカキの花の香りは「臭い」という漢字を当てはめたいような気がします。
どんなにおい?
ヒサカキの花の香りはプロパンガスに添加されているチオールという化合物のようだとか酒かすのようだとかいわれていますが、私個人的には「たくあんの香り」のように感じます。またインスタントラーメンの粉末のようなだとか、メンマの香りに似ているという人もいらっしゃるようです。私自身たくあんが嫌いなわけではなく、インスタントラーメンもメンマも美味しくいただきますがヒサカキの花の香りは好きにはなれません。
もちろんヒサカキの花の香りが好きという人もいらっしゃると思います。ここを読まれて気分を害されたら申し訳ありません。
さて話を戻しましょう。
11月に近くを通るとヒサカキの花と同じ臭いがすると書きました。通るたびにじっと見て探していたのですが、先日ようやく原因になる木を見つけました。それも道から一番近い場所で…。
原因はハマヒサカキの花だったのです。
ハマヒサカキについて
においの元がハマヒサカキだとわかった翌日に上の写真を撮ってきました。
ハマヒサカキはヒサカキと同じ常緑小高木です。漢字で浜姫榊と書き、別名ではイソサカキやイソヒサカキとも呼ばれます。
ハマ(浜)と付くだけあって潮風に強く海岸に植えてあることが多い木で、日本では千葉県以南の本州、四国、九州、沖縄に分布しています。海岸林としてだけでなく普通に街路樹などでも使われます。また葉が蜜に生えることから生垣にも適しています。
花が咲き終わったあと実をつけますが、熟すのは翌年の秋から冬になります。開花から実が熟すまで1年かかるなんてのんびりと成長することに驚かされますね。
仏花にヒサカキが入っていて、臭いが…!
先日ヒサカキの臭い対策はないでしょうか?と訊ねられました。
生花店をしているとき、仕入れたヒサカキに花が付いていた場合は花を全部取ってから仏花を作って販売していましたが、もしかすると花を取る作業をしていないお店もあるかもしれません。
臭いの元は花ですから花を取り去ってしまえば大丈夫です。花は手で簡単に取れます。
ただ今回のお話のように道を歩いていてヒサカキやハマヒサカキの花の臭いが気になったときは、少し我慢して近くを通るときは息を止めつつ通り過ぎることしか対策はなさそうですね。我々が臭いと認識してしまう香りですが、虫を誘い受粉させる為には必要なものなので諦めましょう。