春の花の代表といえば桜です。そして桜の花が散ったあとにはさくらんぼが美味しい季節がやってきます。桜の実(果実)がさくらんぼだとするなら、お花見で見ることの多いソメイヨシノにもさくらんぼは実るのでしょうか。
ソメイヨシノについて
なぜソメイヨシノが咲くと開花宣言なのか
気象庁の生物季節観測で開花日などを観測するために定められた草木を標本木といいます。標本木は各地の気象台や測候所の構内にあるソメイヨシノ、また構内にない場合は庁舎から近い場所の公園などにあるソメイヨシノと決まっています。
開花宣言にソメイヨシノが使われるようになったのは、ソメイヨシノが全国に分布していることがあります。なんと日本全体の桜のうちで7~8割がソメイヨシノといわれているほど、どの地域でも見ることができるのがひとつめの理由です。
そしてもう一つの理由はソメイヨシノは接ぎ木で増やされた同じ遺伝子を持つクローン桜なので、気候が同じなどの条件があれば一斉に開花します。この2つの理由から開花宣言がしやすい桜なのです。
桜とさくらんぼ
さくらんぼは別名「桜桃(おうとう)」ともいい、東洋系とヨーロッパ系を合わせると1000種類以上あるといわれていて、今でも世界中で品種改良が進められています。
日本で栽培されているさくらんぼはヨーロッパ系が多く、よく知られている佐藤錦も日持ちは良いけれど酸味の強いヨーロッパ生まれのナポレオンに、味は良いけれど日持ちのしない黄玉(きだま)を交配させてできたものです。
写真は佐藤錦の花ですが観賞用の桜の花と違って白いですね。
さくらんぼの名前の由来
さくらんぼってなんだか可愛い響きです。響きだけでなく由来も可愛くて「桜の子ども」という意味で「桜の坊」と呼ばれていました。そのうち桜の坊の「の」が「ん」に変化し、「坊」が短母音化して「さくらんぼ」になったといわれています。
ソメイヨシノとさくらんぼ
ソメイヨシノは花を観賞する桜で基本的には実はできません。
ヤマザクラなどは遺伝子型がいくつもあるため、野生種のヤマザクラ同士でも遺伝子型が異なれば受精し実をつけます。しかしソメイヨシノはクローン桜なので遺伝子型がどれも一緒のため実をつけることができません。
自分自身の花粉では受粉できない、クローン桜なので周りのソメイヨシノも自分と同じ遺伝子ということになり、周りのソメイヨシノの花粉でも受粉できませんので結局のことろ実(さくらんぼ)はできません。
ところが稀にソメイヨシノにさくらんぼができることがあります。
ソメイヨシノのさくらんぼ
ソメイヨシノの実は小さくて渋みというか苦みがあり、食べても毒ではないですが美味しくないので食用にはなりませんが動物や鳥は食べます。
もしソメイヨシノとその近くにソメイヨシノ以外の桜が咲くような場所があれば、さくらんぼができている可能性もありますので花が散り葉桜になった頃に探してみてはいかがでしょうか。