真冬になると寒風や積雪、凍結や霜などによって植物はダメージを受けることがあります。植物たちを次の季節に繋げるために上手に冬越しさせてあげましょう。
上記のページでも書いていますが、今回は植物の冬の管理についてもう少しだけ詳しく書いてみたいと思います。
植物の冬越し対策
冬越しの対策の前に、育てている植物の耐寒温度は屋外のままでも大丈夫なのか、室内に入れないと無理なのかを調べてみましょう。
耐寒温度は購入した時に付いていたラベルに書いてあります。ラベルがないようでしたらインターネットなどで調べてください。
下の写真は葉牡丹に付いていたラベルです。
ラベルを見ると育て方が簡単に書かれているほか、耐寒性についての記述もあり、それによりますと耐寒性は-10℃くらいと書いてあります。私は大阪府に住んでいますので最低気温が-10℃になることはまずありません。ですから、この葉牡丹は屋外で育てることができるということになります。
一般的には次のような管理が多いと思います。
- 最低気温が10℃以上必要なら、耐寒性はありませんので室内での管理になります。
- 耐寒温度が-10℃のような低温でも大丈夫ならば耐寒性植物なので、よほどの寒い地域でなければ屋外で管理できます。
- 最低でも5℃程度が必要な植物は半耐寒性植物なので、地域によっては次に書いているような寒さ対策をすれば屋外でも管理が可能です。お住まいの地域の最低気温に合わせてください。
室内に入れる
元々が暖かい地域に生育している植物の場合は、室内に入れるのが一番安全な冬越しの方法です。
室内管理で窓越しの光に当てたい場合、窓の近くは昼は暖かいですが夜になると冷えますので、夜間は窓から離して置いてください。
植物を覆う
寒風が直接当たらないような場所に置いたり、簡易の温室やビニール袋を被せて風よけをしてあげましょう。ただぴっちりと閉じてしまうと、日中に温度が上がり過ぎてしまうこともありますので、ある程度空気が通るようするか、風のない暖かい昼間はビニール等を外すようにしてください。
この方法は寒風を防ぐためです。日中に温室内が暖かいから耐寒性のない植物でも大丈夫だろうと思って安心していると、夜になると温室内は外の気温と同じになりますので、屋外管理でも大丈夫な植物にお使いください。
耐寒性のない植物で室内管理ができないような場合、温室に入れるのであれば夜間は温室ヒーターを利用されるほうがいいと思います。
植木鉢を保温する
冬は鉢自体が冷えてしまい根が凍ってしまう事があります。
冷えないように鉢底に発泡スチロールを敷いたり、箱型の発泡スチロールや段ボールに入れたりして鉢そのものが冷えないようにしましょう。新聞紙やプチプチで鉢を包んでしまうのも効果があります。
二重鉢にする
二重鉢というのは、植物が植わっている植木鉢を別のふたまわりほど大きめの植木鉢の中に入れてしまうことをいいます。
二重鉢は、夏の植木鉢の管理でも効果があります。
マルチングをする
霜よけの対策として、根元を腐葉土やウッドチップやバークチップ、藁やビニールなどを使って保温し、表土が寒さにあたらないようにします。
・腐葉土
土にすきこまないよう表面に3~5cm程度覆います。腐葉土は自然素材のため土にかえるという嬉しい効果がある反面、コガネムシやヨトウムシが好むため産卵場所になってしまう場合がありますので注意が必要です。
・ウッドチップ
木材を砕いたものを総称してウッドチップといいます。チップにする木はスギやヒノキ、クスノキなど種類は豊富にあり、材料によって色や香りが異なります。
・バークチップ
ウッドチップの一種ですが、アカマツやクロマツなどの樹皮を砕いたものをバークチップといいます。樹皮のため、ウッドチップより大きく厚みがあり赤みのある色をしていて、丸みのあるのが特徴です。
・藁
藁は古くから使われているマルチング素材で、低コストなのに通気性と保温性が良く、霜や凍結対策になります。
私は藁を使うことが多いです。
・ビニール
ビニールのマルチング素材には透明、黒、白、シルバーがあり、特徴はそれぞれ次のとおりです。
透明 | 光を直接通すため、地表温度を上げてくれます。 |
黒 | 太陽光を吸収し地表の温度を上げてくれます。また遮光効果があるので雑草が生えにくくなります。 |
白 | 日光を反射するので地表温度を抑制してくれます。夏に使うほうがいいでしょう。 |
シルバー | 害虫除けにはシルバーが良いです。果実などを育てる時は反射した光が果実の裏側にも当たるので、まんべんなく色が付きます。 |
この表のように冬に使うマルチングシートは透明か黒がおすすめです。また白のマルチングシートは表面が白、裏面が黒になっているものが多く、1つ持っていると年間通して使用することができます。
冬の水やりについて
冬の水やりは午前中の気温が上がり始めた9時頃から昼までが良く、早朝や夕方以降はおやめください。
冬の水やりは必要最小限のレベルで行うようにしてください。鉢の大きさにもよりますが、週に1~2回程度でも問題ありません。
地植えの場合は、よほど雨が降らない日が続かない限り水やりは不要です。水が足りなくなると葉が萎れてきたりしますので、その場合は水を与えると良いでしょう。
鉢植えの場合も地植えの場合も、表面の土は乾いていても土の中が湿っていることがありますので、わからない時は指を土の中に入れて確かめてください。水の与え過ぎは根腐れの原因になりますので注意しましょう。
鉢底につく長さの竹串や竹ひごなどを用意し、それらを土の中に差し込んでおき、水を与える前に竹串や竹ひごを抜いてみると、竹串や竹ひごが濡れていると水分が残っていて、乾いていると残っていません。
天気予報で発表されてる気温は地表面の温度ではなく、地表面から高さ150cmの位置で観測している気温です。予想最低気温がマイナスにならないから大丈夫だと思って安心していると、地表面放射冷却によって植物が大変なことになるかもしれません。
毎日の天気予報をチェックしつつ、万が一にも寒波が来るというようなニュースがあった時は安心・安全のため、室内に入れることができるような植物であれば取り込むようにしてください。
・時間は朝9時から12時くらいまでに与える
・週に1~2度程度(表土が濡れていたら不要)
上手に植物の冬越しをして春に備えましょう。