最近では香害という言葉も聞くようになりました。香害というのは自然の香りではなく香料などの人工的な香りにより体調不良を起こしたりするものです。問題になっているのは柔軟剤や洗剤、制汗シートなどの香りの成分が含まれた製品です。
花には香りのあるものや無いものがあり、またあるものの中でも香りの強いものと弱いものがあります。
花の中でもユリなどはかなり香りも強いですし、花屋にはいろいろな花の香りが混じっていることもあると思うのですが、香害だと思われないのはそのどれもが自然の香りなので心地よいと感じるためではないかと思います。
香りは身体に対してさまざまな効果があるといわれています。今回はバラやユリ、そしてよく見かける花についての香りの効果についてです。
バラの香り
切り花で販売されているバラには香りを感じることは少ないかもしれません。しかし仕入れたばかりのバラを水揚げしようと花の入った段ボール箱を開けた瞬間、これがバラの香りなんだと感じることがあります。
バラの香りには、ダマスク系、ティー系、フルーツ系、ブルー系、スパイシー系、ミルラ系というように種類が分かれています。このような香りは切り花として販売されているバラより、バラ園などのほうが強く感じることができますので、是非バラ園に足を運んで香りを楽しんでください。
バラの香りの効果
バラの香りにはリラックス効果があるといわれています。特にティーローズ系のバラに効果があるようです。
強香種のバラの中でもレディーヒリンドンなどのティーローズ系のバラは、ダマスクローズ系に比べて香りは弱く、ほのかに紅茶のような香りがするのが特徴です。ラベンダーもリラックス効果があるといわれていますが、ティーローズ系のバラにはラベンダーを上回る効果があります。
そのほかにもホルモンバランスを整えたり、免疫力を高めるといった効果もあるようです。
バラは女性に飾っていただきたい花の代表です。
ユリの香り
カサブランカに代表されるユリの花ですが、どのユリにも香りがあるわけではなく、お手頃な価格で購入できるスカシユリには香りがありません。
ユリはアジアティック系、ロンギフローラム系、オリエンタル系に分類され、その中でスカシユリはアジアティック系に入りますが、アジアティック系のユリにはカサブランカのような香りがありません。
カサブランカはオリエンタル系に属しており、1本でも十分に香りを感じることができます。
ユリの香りの効果
ユリの香りは副交感神経に作用し新陳代謝を高めてくれるといわれています。またホルモンの分泌を促したり、肥満予防にも良いということらしいです。
ユリをお部屋に飾る時の注意点が2つあります。
注意点
カサブランカを始めとするオリエンタル系のユリは香りが強いので、食事をされる部屋には飾らないほうが良いでしょう。
そしてもうひとつ、ユリの雄しべですが洋服や床に付くと落ちません。また花粉で花弁も汚してしまいますので、開花しはじめたら花粉が吹き出すまでに指やピンセットで取り除いてください。もし花粉が少しでも吹き出してしまっているようでしたら、指に付くとなかなか取れませんのでピンセットを使って取ってください。
香りの強いカサブランカが沢山あると良い香りを通り越して臭く感じてしまうこともありますので、香りに敏感な人へプレゼントする際には気をつけてください。
香りの良い花とその効果
バラやユリ以外にも香りの良い花はあります。花の名前と簡単な効果を少しだけ紹介したいと思います。
フリージア | 関節の傷みや背中のコリ |
スズラン | 身体の疲れを癒す |
チューべローズ | リラックス効果やストレス軽減 |
ヒヤシンス | 鎮静作用や催眠作用 |
ライラック | リラックス効果と癒し |
ジャスミン | 催淫作用と鎮痛作用 |
ラベンダー | リラックスと睡眠効果 |
カーネーション | 酒酔いを防ぐ |
マトリカリア | 防虫効果 |
スイートピー | リラックス効果 |
三大香木について
三大香木というのは香りの強い3種類の樹木で、金木犀(キンモクセイ)沈丁花(ジンチョウゲ)梔子(クチナシ)のことをいいます。
金木犀(キンモクセイ)
金木犀は生垣などでよく見かけることがあると思います。香りが強いので昔は千里の向こうまで香りが届くと意味で「千里香」とも呼ばれていました。
ただ乾燥をさせてしまうと香りがなくなってしまいますので、ポプリやドライフラワーには向きません。ポプリにしたいときは完全に乾かしたドライポプリではなくモイストポプリにしましょう。
金木犀の香りにはリラックス効果があります。
沈丁花(ジンチョウゲ)
沈丁花は春が近づくのを香りで教えてくれる花です。香木である沈香のような香りと、丁字(クローブ)に似た花をつけることから沈丁花という名前が付いたといわれています。
沈丁花もリラックス効果や睡眠に効果をもたらしてくれる花です。
梔子(クチナシ)
実が熟してもなかなか割れない、口を開かない=口が無い花だということから名前がついたといわれている梔子は甘い香りのする花です。実は栗きんとんやたくあんの色付けに使われることもあります。
リラックス効果のほか、抗菌作用もあるといわれています。
最初にも書きましたが、香害だとかスメルハラスメントだとかいう言葉がある昨今、自然の花の香りで癒されてみてはいかがでしょうか。