華やかで濃厚な香りがするユリの花はとても素敵ですね。ユリはバラと並んでフラワーギフトとして使われることが多い花かもしれません。
でもこのユリの花、少しだけ厄介なところがあります。それは花粉です。花粉が花弁に付いてしまうと花弁が汚れてしまいますし、衣服や床に付いたら取れなくなってしまいます。
そうならないために花が開ききるまでに行う花粉処理と、付いてしまった時の対処法について書きたいと思います。
ユリの花粉について
ユリの花粉はおしべの先に付いているオレンジ色の部分です。
花粉の主成分は脂質類のため粘着力が強く、吸水性がいいのでベタベタしています。ユリにとっては受粉をさせやすいという利点がありますが、私たちにとっては厄介な存在です。
お店でユリの花を買ったりギフトとして貰ったりすると、たいていは1輪か2輪くらい花が咲いていて、咲いている花にはおそらく花粉は付いていません。
ついていない理由はお店が花粉を取っているからです。
ユリは1本にいくつも花を咲かせますので数輪咲いていたとしてもまだ蕾が残っています。お店で蕾を無理やり開かせて花粉を取ることはできませんので蕾の中には花粉は残ったままです。ですからお家で咲くユリは咲いてくるたびに花粉を取ってもらわないといけません。
花粉を取るタイミング
ユリのおしべの先に付いているものを葯(やく)といい、ひとつの花に6つあります。葯はユリの花が咲き始めた時は破れていませんが、開花と共に葯が破れて花粉がふいてきます。
葯が下の写真のような状態のときなら、手も周りも花弁も汚さず楽に取ることができます。
蕾が開きかけて少しでも葯が見えるようになったら、すぐに取ってしまうのが花粉がふかず安心です。このときの葯は固いため指でもピンセットを使っても取ることができます。取り方は葯をつまんで引っ張るだけなので簡単です。
ところが開花が進み花粉がふいてしまうと、あちこちを汚してしまうことになります。
花粉がふきはじめてから取ろうと思ったら花粉が落ちないようにピンセットを使ってそっと取るか、ティッシュペーパーで挟んで取る方が手も周りも汚しにくいです。
気を付けないといけないのは正面を向いていない花、例えば後ろ側になっている花が気が付かないうちに開ききっているかもしれませんので、ユリを生けたら一方向から見るだけでなく、いろいろな方向から観察をして咲きかけた花がないか確認してください。
花粉は取った方が良い
ユリの花粉を取る理由のひとつはあちこち汚してしまうことですが、それ以外にもうひとつ理由があります。
もし花粉が付いてしまったら?
花粉が手に付いてしまった
花粉が手に付いた時は石鹸を使ってぬるま湯で洗ってください。1度洗っただけでは綺麗に取れないかもしれませんが、日常生活を送っているうちにいつの間にか取れているはずです。
もう少し早く落としたいのであれば、歯磨きを使って手指を擦ると取れやすいのでお試しください。
花粉が花弁に付いてしまった
花弁に付いた花粉は絶対にこすって落とそうとしてはいけません。チークブラシやアイシャドウブラシなどの柔らかなブラシを使って払うように落としてください。
花粉が衣服やカーペットに付いてしまった
布製のものについたときも絶対にこすってはいけませんし、手でも払わないようにしてください。花弁に付いた時と同じように柔らかなブラシで払うように落とします。
ガムテープを軽く当てて取っていく方法もあります。ガムテープで取るときは花粉が付いた同じ面を使わずにどんどん新しいテープに交換して軽く当てながら取るのがポイントです。
花粉を掃除機で吸ってしまう方法もあります。床掃除をするときのヘッドではなく掃除機の先端部分を外して丸いノズルを使いますが、ノズルに布を巻き掃除機の中に花粉が入り込まないようにしてから軽く布にあてて吸うようにしてください。
床に付いてしまった
擦る前なら掃除機で吸うのが良いのですが、もし擦ってしまったあとなら無水エタノールかアセトン(マニキュアの除光液など)をお試しください。
それでもどうしても取れなかったら、お掃除のプロか染み抜きのプロに相談してください。
ユリの花粉は厄介ではありますが、ビジュアル的に見るとある方が美しいものかもしれません。どうしても花粉を付けておきたいのであれば花粉がふく前にヘアスプレーで固めてしまいましょう。
ユリのめしべにも注意
ユリのめしべには花粉はありませんが、成熟すると受粉させやすくするためにベタベタとした蜜のようなものを出してきます。あまりにも沢山出るようでしたら軽くふき取るようにしてください。そのままにしていると甘い匂いに誘われて虫が寄ってくるかもしれません。
ところでユリの花弁って何枚だと思いますか?
花弁は6枚あるように見えますが内側の3枚だけが花弁(内花被)で、外側にあるのはガク片(外花被)です。おしべは内花被と外花被の基に1本ずつ、合計6本付いています。
綺麗なユリの花、特にカサブランカやシベリアやテッポウユリなどの白いユリは花粉が付くと花弁の汚れが目立ちますので早めの花粉取りを心がけてください。