4月8日はお釈迦様の誕生日「お花まつり」の甘茶ってどんな花?

春になると心に浮かんでくる歌があります。

春の野のうるわしき 花々を
清きおもいに あつめきて
み仏に ささげそなうる
たのし たのし 今日の祭り

この歌は「花祭りの歌」といいます。

4月8日はお釈迦様の誕生日、花まつりです。

花まつりについて

花まつりは灌仏会(かんぶつえ)といい、ほかにも降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)、龍華会(りゅうげえ)、花会式(はなえしき)、花祭(はなまつり)ともいいます。

花まつり

お釈迦様の誕生日は紀元前5世紀頃の4月8日とされていますが、それを裏付ける証拠はありません。しかし7世紀頃に中国から日本に伝わってきてから現在まで4月8日に灌仏会が行われています。

お釈迦さまはお生まれになってすぐに7歩歩まれて、右手で天を左手で地をさして「天上天下唯我独尊」と仰られたというのは有名な話です。

天上天下唯我独尊というのはともすれば、この世で一番偉くて尊いのはただ私一人であるというような自己中な発言のようにとられてしまうこともあるようですが、本来はそのような意味ではありません。

本来の意味は自分という存在は誰にも変わることのできない人間として生まれており、この命のまま尊いということで、お釈迦様個人のことだけでなく全ての人に対しての言葉なんだそうです。

7歩というのは人間が悟りを開くまでの間に6つの世界を廻ると考えられています。それを六道輪廻といいますが、お釈迦様が7歩目まで歩まれたということは6つの世界を超えて悟りを開いた後に見ることができる7つ目の新しい世界まで行かれたという意味があります。



お釈迦様のプロフィール

紀元前5世紀前後の南ネパール生まれで、サンスクリット語で姓を「ガウタマ」名を「シッダールタ」といいます。お父さんのシュッドーダナは釈迦族の王様で、お母さんのマーヤーはコーリヤ族の娘です。

お母さんは里帰りの最中に陣痛が起こりルンビニーの花園で赤ちゃん(お釈迦様)を産んでしまいます。お釈迦様はお母さんの右脇から生まれたといわれています。しかしお母さんは7日後に亡くなってしまい、マーヤー夫人の妹に育てられたということです。

釈迦族の王子として不自由のない暮らしをしていたお釈迦様でしたが、29歳の時に出家をしてしまいます。それには四門出遊(しもんしゅつゆう)という伝説があります。

自分の住んでいる環境から東の門に出れば老人に会い、南の門から出れば病気の人に会う。西の門から出れば死者を見られたのだそうです。そして北の門から出た時に出家した僧侶を見て出家の意思を固められました。その後、苦行を重ねられましたが悟りは開けず、断食で命の危機になった時に助けてくれたのは、乳がゆを施してくれたスジャータという女の子でした。

スジャータの乳がゆを食べて元気になったお釈迦様は、菩提樹の下に座り続け悟りを開き仏陀になられたということです。

仏陀となったお釈迦様は悟りの話を広め、「あらゆるものはうつろいやすいものである。怠ることなく精進せよ」という言葉を残して、2月15日80歳で入滅されました。

ここでひとつ気になりますね。

お釈迦様と仏陀ってなにが違うのか?

この記事内に登場するお釈迦様と仏陀は同一人物です。

ここでいうお釈迦様はガウダマ・シッダールタのことで個人のことを指します。対して仏陀というのは悟りを開いた人の尊称です。

実は悟りを開いた地球上の人物は、お釈迦様ただひとりだけなのです。

よく仏様という言葉を使いますが、この仏というのは亡くなった人のことだと思っている人も多いようですが、本当は悟りを開いた最高の位のことを指します。「釈迦の前に仏なし、釈迦の後に仏なし」という言葉があります。ただし地球上ではお釈迦様ひとりが仏様ですが、宇宙規模でいうと多くの仏様がおられます。



花まつりにはお花と甘茶

花まつりには小さなお堂の周りを花で飾った花御堂の中に置かれたお釈迦様の像に甘茶を注ぎかけますが、それはお生まれになった時、天に9匹の竜が現れて甘露を降り注いだということが由来します。しかし江戸時代までは今のような甘茶ではなく、五色水と呼ばれる5種類の香水を使っていたようです。

甘茶っていったいなに?

甘茶の花

甘茶はユキノシタ科アジサイ属の落葉性の低木で日本では中部山地に稀に自生しており、葉を生薬として用います。

飲んだことのある人はご存じだと思いますが、甘茶は本当に甘いです。これは甘茶に含まれている「フィロズルチン」や「イソフィロズルチン」という甘味成分によるもので、なんと砂糖の1000倍甘いともいわれています。

ウリ科にアマチャヅルという植物があって、葉などを抽出したお茶も「甘茶」と呼ぶことがあります。甘茶のような甘味があることから名前がつけられたのですが、本来の甘茶はアジサイ属の甘茶のほうです。

甘茶はスーパーなどで販売されていることはないように思いますが、ハーブティー専門店や漢方薬局などでは購入することが可能です。ただ濃く煮出すと中毒症状を起こすことがありますので、パッケージなどに記載されている分量通りに作るようにしてください。

分類上は甘茶はヤマアジサイの変種とされており、甘茶とヤマアジサイと街中でよく見かけるガクアジサイは似ています。甘茶とガクアジサイは葉に違いがあり、ガクアジサイの葉には艶がありますが甘茶の葉には艶がありません。

ガクアジサイは街を歩いていてもあちこちに見かけますが、アジサイは有毒ですので甘茶と間違えて食用にはしないでください。

日本は信仰の自由が認められているのでさまざまな宗教がありますし、あちこちの神社や寺院にもお参りに行きます。またウエディングなどでは教会式が増えてきています。しかしあちこちにお参りをしても多くは仏教徒です。仏教徒にとってお釈迦様は仏教の開祖ですから、イエス・キリスト生誕のお祝いであるクリスマスのように花まつりにも興味を持っていただいて、もしお近くの寺院で花まつりの行事をされているところがあれば足を運んでみてはいかがでしょうか。

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