植物の育て方を調べると「明るい日陰」や「直射日光を避ける」など、光の当たり方についての言葉がよく出てきます。いったい、これらの言葉はどんな場所や状態を指しているのでしょうか。
植物の置き場所として出てくる言葉
植物の育て方や置き場所で代表的なものを挙げると次のような表現があります。
- 日なた
- 日陰
- 半日陰
- 直射日光
- 明るい室内
- 明るい日陰
- 強光
- 弱光
- 遮光下
- レースカーテン越し
今回はこれらを4つに分類して説明したいと思います。
用語の分類
【場所】どんな場所か?
物理的なエリアや位置関係を表す言葉です。
- 屋外: 日なた、明るい日陰、日陰、半日陰
- 室内: 明るい室内
【光の当たり方】どんな種類の光か?
太陽との位置関係や、何を通って光が届くかを表します。
- 屋外: 直射日光
- 室内: レースカーテン越し
【光の強さ】明るさはどの程度か?
照度(ルクス)や見た目の明るさを表す言葉です。
- 強光
- 弱光
【調整方法】どうやって光をコントロールするか?
人間が手を加えて、植物に最適な環境を作る手段です。
- 遮光下
それではひとつずつ見ていきましょう。
場所を表す言葉
日なた
定義:屋外で1日のうち長時間にわたって日光が当たる場所
(例)建物や木の陰にならない場所・屋上・南向きの庭やベランダなど
日なたは植物にとって光が最も強い場所で、多くの花や野菜、果樹は日なたを好みます。
しかし、コンクリートの照り返しがあるベランダなどは、夏になると想像以上の強光で高温になるため、植物によってはなんらかの日除けが必要かもしれません。

半日陰
(例)建物の影が時間帯で動く場所・東向きベランダなど
半日陰は午前中だけ日が当たる、あるいは午後だけ当たるというような場所や、部分的に日が当たる場所のことを指します。また樹木の下で、木漏れ日が当たる場所も半日陰と考えた方がいいでしょう。
しかし、午後だけ日が当たるとしても夏の西日は植物にとっては「強光」になり、日なた以上の過酷な環境かもしれません。夏の西日の当たる場所は、温度が上がりすぎてしまうことがありますので注意が必要です。
日なたと半日陰の区別は厳密な時間で決まるものではなく、光の強さや地域、季節で変化しますが、目安としては次のように考えると分かりやすいです。
- 日なた:日光が5時間以上当たることが多い
- 半日陰:日光が3時間程度当たる場所
明るい日陰
(例)建物の北側・塀や壁の近く・軒下など
日陰といっても真っ暗ではありません。半日陰が数時間だけ日が当たる場所であることに対して、明るい日陰は周囲の光で全体が明るく保たれている状態です。
直射日光に当てると葉焼けを起こすけれど、光は必要という植物に適した置き場所です。
日陰
(例)建物の間の狭い通路・北側の軒下・大きな樹木が密集している場所など
日陰は植物にとってはかなり過酷な環境です。明るい日陰との違いは反射光も少なく、昼間でも薄暗いことです。ここに植物を置く場合は、必ず耐陰性のある、日陰に強いものを選ぶようにしましょう。
また日なたと違い、日が当たらないため土の渇きが遅くジメジメしやすいので、水やりは用土の渇き具合を見てから与えるようにしなければいけません。
明るい室内
(例)南向きの窓がある部屋で、窓から1mほど離れた場所・大きな窓があり全体が明るい部屋など
明るい部屋というのは、日光が入るか入らないかより、部屋全体が明るいかどうかということになります。
また窓のある方向によっても違ってきます。
- 南向きの窓:植物にとっては理想的ですが、夏は暑すぎるので遮光が必要になります。
- 北向きの窓:明るい日陰の分類に近くなります。
- 東・西向きの窓:特定の時間帯だけが明るいのが特徴です。

光の当たり方を表す言葉
直射日光
(例)屋外の日なた・窓を開放した室内の窓際に差し込む光など
太陽光は植物にとって最強のエネルギー源ですが、同時に真夏の直射日光は強すぎるため、急激な温度上昇で葉焼けを引き起こす原因になる場合があります。
よく聞かれるのはガラス越しの太陽光は直射日光になるかということなのですが、厳密にいえば直射日光ではありません。
しかし真夏のガラス越しの光は十分に強く、屋外で育てるよりも高温や蒸れなどの過酷な環境になることがありますので注意が必要です。直射日光ではないからと油断せず、遮光などの対策を行いましょう。
レースカーテン越し
(例)カーテンのある南向きや東向きの窓辺・窓から1〜2mほど離れた、日中の光が入る場所など
レースカーテン越しの場所は、多くの観葉植物にとって心地よい環境です。屋外の強い日差しは直射日光ですが、こちらはろ過された光と言えるでしょう。
木々の隙間から漏れてくる光に似たような環境なので、葉焼けを防ぎつつ、光合成に必要な光量も補えます。

光の強さを表す言葉
強光
(例)真夏の正午頃の直射日光・植物育成用ライトの至近距離での照射など
強光は、植物にとって成長するためのエネルギーがたくさんある状態の光です。光合成を盛んに行う植物には欠かせませんが、一方で熱量も高いため植物の組織を破壊する葉焼けのリスクを伴います。
特に気をつけないといけないのは、室内や日陰で管理していた植物を急に強光に当てると、一気にダメージを受けてしまうことがあるので注意が必要です。
弱光
(例)曇天や雨天時の屋外・窓から遠く離れた部屋の隅・深い日陰など
種類によって変わりますが、一般的な植物においては光の飢餓状態に近い環境です。弱光環境のまま育てていくと、茎が徒長したり葉の色が薄くなったりします。
耐陰性があるといわれる植物でも、弱光下のままでは成長が止まってしまうことが多いため、耐陰性というのはあくまで耐えられるだけであって、その植物にとって最適環境ではないと思っておく方が良いと思います。

私たち人間がさほど暗くないと思っていても、人間の目は暗い場所いると順応するため、弱光でも明るいと認識してしまうことがあります。しかし植物にとっては光合成ができないほど暗いことがありますので、この程度の明るさなら本は読めると思っていても、植物にとっては弱光の場合があるのでご注意ください。
調整方法を表す言葉
遮光下
(例)真夏のベランダなどで遮光ネットを張った場所・すだれやよしずを使い、日差しを和らげた場所など
植物には光は必要ですが、強すぎる光だと困るというときに使う管理方法です。日陰に移動させるのとは違い、植物に必要な光を確保しつつ、有害になる熱や強すぎる光をカットすることが目的です
遮光資材には30%遮光、50%遮光、70%遮光というように、光を通す量を調整できるものがありますので、育てている植物に合ったものを選ぶようにしましょう。また黒だけでなく白やシルバーの遮光ネットもありますので、目的に合ったものを選ぶと良いと思います。

遮光ネットは黒は遮光率が高く、白やシルバーは熱を反射しやすいのが特徴です。

以上が植物を育てる際によく使われている植物の置き場所の光の当たり方の表現です。この他にも光には西日と木漏れ日というのがありますので、この2つが植物にどう作用するのかを書いておきたいと思います。
その他
西日
(例)住宅の西側に面した庭やベランダ・建物などの隙間から夕方だけ日が差し込む場所など
植物にとっての西日はただの光ではなく熱を伴う厳しい光として警戒されます。午前中に当たる朝日と比べて、特に夏の西日は一日中温められた地面や壁の熱(輻射熱)が加わるため、植物にとって過酷な乾燥と高温をもたらします。夏の西日は日なたと同じだとは思わずに、遮光ネットを使ったり、鉢を移動させたりする工夫が必要です。

午前中は元気だった植物が、夕方に急に萎れてしまう原因の多くはこの西日です。
木漏れ日
(例)大きな庭木の下・公園の並木道など
木漏れ日は強光と日陰が細かく混ざり合った状態です。一箇所にずっと強い光が当たり続けることがないため、葉焼けのリスクを抑えつつ、植物が活動するのに必要なエネルギーを効率よく与えることができます。
もし人工的にでも木漏れ日を作れるのであれば、植物にとっては嬉しい環境になるかもしれません。

おまけの西日と木漏れ日で、今回の内容はおしまいです。
光といっても季節による変化があります。場所が同じでも夏は太陽が高いため北側ベランダでも明るくなる半面、西日は強烈です。また冬は太陽が低いため、部屋の奥深くまで光が差し込みますが、日照時間そのものは短くなります。
例えば夏は日なただったのに、秋以降は隣家の影に入ってしまい、日陰に変わってしまうケースは珍しくありません。ここは日なただから大丈夫という思い込みが、植物を枯らす原因になることがあります。
季節ごとに植物にとっての最適な場所を探して移動させてあげるという視点が、上手に育てるコツなのかもしれませんね。

