育てるとはまってしまい、次々と欲しくなってしまう少しマニアックな植物のひとつに塊根植物があります。私も最初はこんなもののどこに魅力が?と思っていたのですが、育て始めると…やはり塊根沼にはまりました。
塊根植物には夏型と冬型があり、冬型で人気種のひとつが亀甲竜です。
亀甲竜について
亀甲竜は南アフリカの東ケープ州から西ケープ州にかけての乾燥地帯に自生しており、土の中で塊根を作って根と蔓を伸ばして葉をつけるヤマノイモ科ディオスコレア属の植物です。亀甲竜という和名は塊根部が成長につれて亀の甲羅のように割れる事から付けられたものです。
自生地では塊根の半分以上が土に埋まった状態ですが、販売されている亀甲竜は観賞価値を出すために塊根部を土の上に出しています。
塊根植物を多く扱っている店に行ったとき、鉢植えになっていて塊根の直径が40~50cmくらいの亀甲竜を見たことがあります。ちょうど成長期だったらしく天井まで伸びた蔓と大きな葉を見て驚きましたが、自生地ではもっと大きく塊根の直径は1mほどになるのだそうです。
その店で販売していた亀甲竜も、私が育てている亀甲竜も冬型のアフリカ亀甲竜(Dioscorea elephantipes:ディオスコレア・エレファンティペス)ですが、夏型のメキシコ亀甲竜(Dioscorea mexicana:ディオスコレア・メキシカーナ)もあり、比較するとアフリカ亀甲竜のほうが育てやすい品種です。
アフリカ亀甲竜とメキシコ亀甲竜は冬型と夏型の違い以外にも塊根部に若干の違いがあり、アフリカ亀甲竜は塊根部の亀裂が深く、メキシコ亀甲竜は浅いようです。現在、日本で一般的に販売されているのはアフリカ亀甲竜が多いです。
亀甲竜の育て方
私が育てているのがアフリカ亀甲竜なので、冬型亀甲竜の育て方になります。
冬の管理
成長期の秋から翌年の春にかけては、日光の当たる明るい場所で管理します。日光の当たる明るいといっても、自生地では塊根部が土の中に半分以上埋まった状態なので、あまり強い日光に当てすぎると塊根が風化してしまうことがあります。この時期は葉が出ていますので、葉を上手く利用して塊根に直射日光が当たらないように覆ってください。
蔓が出てきたら支柱を立てて蔓が絡まるようにしましょう。私は朝顔の栽培で使うような支柱に輪が付いたものを使っています。このリング支柱はホームセンターではもちろん販売していますが、もしかすると100円ショップにもあるかもしれません。
寒さには強い亀甲竜ですが、耐寒温度が5℃ということもあり、家では真冬で最低気温が5℃より低くなると室内に入れて日光が当たる窓辺に置くようにしています。
水やりは土が乾いてからたっぷりと与えるようにします。表土が乾いてからではなく、土が乾いてからですので、土の中に指や割り箸を差し込んで濡れていないようであれば与えてください。私は土が乾いているのを確認しつつ、鉢を持ち上げて軽いと感じてから水やりをするようにしています。
ただ葉水は与えたほうがいいと思います。霧吹きを使うと簡単なのでおすすめですが、なるべく塊根部に水がかからないようにしてください。
夏の管理
葉が枯れたら休眠期に入りますので、雨の当たらない風通しの良い日陰に置いて断水します。この時期に水を与えてしまうと根腐れしますので絶対に水を与えないようにしましょう。
夏の終わりになると休眠から覚めて蔓が出てきます。そうすると水やりの開始なのですが、蔓が出てきたからといって一気に水をたっぷり与えるのではなく、最初は少量を与え、土が乾いたらまた少量というように徐々に与えるようにしてください。
植え替え
植え替えは年に一度、葉が枯れている休眠期に行います。この時期に行うことで株への負担が少なくなりますので、7月~8月頃に植え替えてください。
手順
- 土が乾燥しているのを確認します。
- 鉢から亀甲竜を取り出します。
- 根鉢になっていると思いますので、それをほぐします。
- 太い根を残し不要な根を切ります。
- 新しい鉢に鉢底石や用土を入れて亀甲竜を置いて用土を足します。
- いい状態まで用土が入ったら、割り箸などの棒で用土をつつきながら隙間にも用土が入るようにします。
植え替えが終わったらそのまま断水を続け、芽が出てきてから水を与え始めます。
塊根に対してあまりにも大きな鉢だと水をいつまでも含んだままの土になってしまいますので、ほどよい大きさの鉢に植えるようにしてください。
用土と肥料
乾燥に傾く用土が適していますので、市販されている多肉植物用の培養土で問題ありません。水はけが心配なら2割ほど赤玉土に変えるといいと思います。しかし赤玉土が多くなりすぎて排水性が良くなると塊根の成長があまり良くないようです。
あと植え付ける鉢の種類にもよりますが、例えば排水の良いスリット鉢なら赤玉土の量を少し減らすとか、保水性の良さそうな鉢なら赤玉土を多めにするとか自分で調整してみてください。
肥料は植え付けや植え替えの時に緩効性肥料をやや少なめに混ぜるようにします。たいていはそれだけでもいいのですが、成長期にごく薄めの液体肥料を少量与えましょう。
育てている亀甲竜
育てている亀甲竜は2022年で4年目です。アフリカ亀甲竜なので夏の終わりになると葉が出始め、6月くらいになると葉が枯れます。購入時より大きくなっているかどうかわかりません。最初に写真を撮っておくべきでした。
写真の亀甲竜は7月末に撮ったものなので葉が全くなく塊根部だけになっていますが、夏の終わりになると蔓が出てきて、そのあとごつごつとした塊根部からは想像できないようなハート形をした可愛らしい葉が出始め、晩秋になると生い茂ります。9月になり現在は少しだけ蔓が出始めたところです。
最初の年はこの葉をどのように纏めればいいのかわかりませんでしたが、今は行燈仕立てにしています。
この亀甲竜とは別に2年前に種から育て始めたものがあります。10粒ほど植えたのですが、現在残っているのが4つで、最初の年はつるっとした塊根だったのが、2年目になり上の写真のように割れはじめました。
葉が茂ってきたら追記で書きますが、ゆっくりと育つ塊根植物、気長に楽しみたいですね。
追記:2022年12月1日
育てている亀甲竜は8月末から蔓が出始めたのでリング支柱を立てました。そのあと蔓が伸び葉が出てきて12月1日現在の状態が下の写真です。
ハート形をした葉が可愛いです。次は上から撮った全体の写真です。
そして10粒ほど植えて成功した4つのうちのひとつが次の写真です。
2022年の11月は暖かい日が続いていたのでずっと屋外のままだったのですが、夜間が冷えてきたので数日前から室内管理にしました。これからの季節、葉を楽しみたいと思います。
追記:2024年7月2日
毎日毎日雨が降り続いています。亀甲竜は休眠期で水やりは休止していますが、なんと黄色いキノコが生えました!。
気が付いたのは今朝で、鉢の底になにやら黄色いようなクリーム色のような楕円形のものがくっついていたのです。ゴミかな?とか、ゴムかな?とか思ったのですが、素手で触っても大丈夫なものなのか不明だったのでピンセットで毟り取ったところ、これはもしかすると?。
上から見ると分かりにくかったのですが、ひっくり返すと…。
どこからどう見てもキノコです。
これはコガネキヌカラカサタケ(黄金絹唐傘茸)というものらしく、夏から秋にかけて成長し出現するキノコのようです。特に湿度が高く、暖かい気温を好むので、このような雨続きで蒸し暑くジメジメしていたことが今回の発生ポイントとなったようですね。
用土の表面に生えていたら、もう少し前に気が付いたのかもしれませんが、鉢底の穴から横に向けて生えていたので気が付くのも遅く、形もぺちゃんこになってしまっています。
このキノコは観葉植物などの鉢植えでも見ることがあるようで、別名で「幸運のキノコ」と呼ばれています。
因みに毒性はないらしく、食べたことがあるという人のブログも読みましたが、Wikipediaによりますと「詳しいことはわかっていないので食べるべきではない」とのことです。ただ植物に対して害は及ぼさないので安心しましょう。
キノコが生えたということは、どこからか菌が飛んできたのかとも思ってしまいますが、市販の用土や腐葉土に紛れていて条件が合うと発生することが多いようです。ということは…、同じ用土で植えたアレやコレからも出てくるのかもしれません。暫くはアレやコレの様子を見てみようと思っています。