体ばかり大きくて役に立たないという意味で使われる慣用句「ウドの大木」。なんだかウドが可哀想に思ってしまう言葉ですね。
ウドは漢字で独活と書きます。どうしてこの漢字になったかといいますと、ウドは茎や葉がとても柔らかく、風がなくてもゆらゆらと揺れているように見えたため、独りで活きて(動いて)いるようだということから、「独活」となったようです。
このウド、慣用句のとおりに本当に役に立たないのか、それとも実際は役に立っているのかということが今回のお話です。
ウドってどんな植物?
ウドは、ウコギ科タラノキ属の大型多年草です。大木と言いながら多年「草」って?と思われたかもしれませんが、ウドは木ではなく草です。

ここで木と草の違いを少しだけ説明します。
木と草で一番大きな違いは、茎が木質化して年々太くなり冬を越せるか越せないかです。
- 木(樹木)は茎や幹がどんどん硬くなり、冬が来ても地上部はそのまま残って冬を越し、毎年太く大きくなっていきます。
- 草(草本)は茎が柔らかく、冬になると地上部が枯れてしまいます。根が残っていれば翌春にまた芽を出します。

木のように見えますがバナナも草です。バナナの幹のように見える部分は、硬い木質ではなく、柔らかい葉の付け根が何重にも重なり合ってできた「偽茎」というもので、実をつけた後は枯れてしまいます。
ウドもこれと同じです。夏になると大きく成長しますが、秋が終わると地上部分は枯れてしまいます。そして春になると、土の中に残った根からまた新しい芽を伸ばします。どれだけ背が高く木のように見えても、冬が来るとリセットされるウドは、「巨大な草」なのです。
ウドは本当に役に立たないのか?
ウドは大きく成長しますが、そもそも木ではなく草なので、いくら成長しても木材として使うには柔らかすぎるため役には立ちません。その上、大木と呼ばれるほど成長したウドは食材にするには硬くてアクもあり食べることもできません。
結果的に「大きくなると木にもなれず食べられもしない」ということから、体ばかり大きくて役に立たないという意味でウドの大木という言葉が使われるようになったということです。
でもちょっと待ってください。大木になってからが役立たずなら、大木にならない前はどうなんでしょうか?。
ウドは優れもの
踏んだり蹴ったりの言われようのウドですが、本当に役に立たない植物なのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません。 ウドが役に立たないのは、あくまで大きくなりすぎたあとの話です。旬を迎えた若い芽のウドは、春の山菜としてまさに最高の味わいを持っています。
- 芽・葉:サクサクとした天ぷらに向いています。
- 柔らかい茎:爽やかな香りとシャキッとした歯ごたえを楽しむ酢味噌和えに最高です。
- 厚い皮:香ばしく炒めてキンピラにもってこいです。
このように時期さえ間違えなければ、捨てるところが一切ないほどの万能食材なのです。
また中国では漢方や薬膳に使われていて、根茎を生薬にしています。
ウドの種類
ウドは基本的には山菜で山野に自生していますが、栽培もしておりスーパーなどに並んでいるものの多くは栽培ものです。野生種を山ウドと呼んで区別していますが、種類は同じものです。
また栽培方法には次のようなものがあります。
- 軟白栽培:白ウド・軟白ウド
- 路地栽培:緑化ウド
上のようにウドの栽培には二種類あります。軟白栽培のウドは、ハウスの中でもやしのように日光を遮断して栽培しています。電気をつけるのは収穫のときだけだそうです。路地栽培は根元に土をかぶせて遮光し、出荷前に日光にあてて芽の部分に色をつけます。この緑化ウドを山ウドとして販売していることもあります。
軟白栽培と路地栽培のウドの味の違いは、軟白ウドは柔らかく香りもマイルドで、路地栽培は軟白ウドに比べて味も風味も強いのが特徴です。
さて春の山菜の話なのに、秋になってウドの話題って?と思われたかもしれませんが、ウドが大木と呼ばれ花を咲かせ実をつけるのがこれからの時期なんです。
ウドの花
ウドは7月~9月頃に花を咲かせます。花は直径2~3ミリほどで小さく、球状に集まって咲きます。

花が開きすぎない蕾の状態のときに天ぷらにして食べると、ウドの香りが感じられて美味しいです。ただし花が咲ききってしまうと硬くなりますので、食用にするなら蕾のうちにしましょう。
ウドの実
ウドの花が咲いたあとには実ができます。未熟なうちは薄い緑色ですが、熟してくると黒くなり、中に種が入っています。実も未熟なうちなら天ぷらなどで楽しむことができるようです。
ただ花も実も春に食べるウドとは違い、何倍にも濃縮されたような強い香りになります。山菜好きな人や酒の肴にするにはたまらないかもしれませんが、ほんのりとした香りの好きな人は避けた方がいいと思います。

ウドが大きく成長するのは夏から秋です。翌春に良いウドをたくさん収穫するためには大きく育ち、充実した根株を作らないといけません。ウドが大木といわれるほど大きくなるにはちゃんと理由があるんですね。
ハイキングなどで山ウドを見かけたら「役立たずじゃないことを知っているよ」と声をかけてあげてください。木でもないのにまるで木のようにウドの大木とからかわれ、体ばかり大きくて役に立たないと言われ続けているウドに優しい言葉を。

