ここをお読みいただいている皆様の中で、花の資格を取ろうと思っている人もいらっしゃるかもしれないなと思い、自分の経験を書いてみることにしました。受験をされる時の参考になれば幸いです。
花の資格について
花屋を開業して数年が経った時、お客様の一人が「こちらのアレンジメントが気に入りましたので教えて下さい」と言ってこられたのです。
嘘やろ…私はフラワーアレンジメントを正式に習ったことがない。
教えることができる資格もないから、なんとかせなあかんわ。
上に書いた言葉が、その時の正直な気持ちでした。そこで本格的にフラワーアレンジメントの資格取得のことを考えるようになったのです。
資格ってどうすれば取れるのかわからない
花の資格もいろいろありますが、国家資格ではフラワー装飾技能士という資格。あとは民間資格になりますが、一番大きな組織であろう日本フラワーデザイナー協会の資格です。
日本フラワーデザイナー協会が3級から順番にテストを受けていくのに対し、フラワー装飾技能士検定は受検資格の条件さえクリアしていれば最初から1級でも受けることができます。
あまりよくわからない私は、仲良くさせてもらっている花屋のお兄さんに聞いたところ
お兄さんはひと言「花屋やったらフラワー装飾技能士の1級やね」
と、簡単に言ってくれたので、どうにかなるやろという楽天的な自分の性格のままに、フラワー装飾技能士の勉強ができる学校へ入学の申し込みをしました。
フラワー装飾技能士の受検資格
1級 – 実務経験7年以上(直接受検する場合)あるいは4年以上(3級合格後)あるいは2年以上(2級合格後)
2級 – 実務経験2年以上(直接受検する場合)あるいは制限なし(3級合格後)
3級 – 制限なし(実務経験があればよい)
現在はこのようになっているようですが、私の受験した頃は
1級:実務経験12年以上
2級:3年以上
だったかな?
とはいえ、私の場合は花屋を開業して12年経っていませんでした。ただずっと花に関わることをしていたので、それも含めての年数が12年以上あったので条件はクリアできました。
フラワー装飾技能検定に合格すると1級は厚生労働大臣名の、2級及び3級は各都道府県知事名の合格証書が交付されます。
しかし先ほども書きましたが、私の受験した頃には3級がありませんでした。
完全な落ちこぼれからのスタート
その学校は9月入学で1年かけて勉強をします。といっても、通うのは1週間に1度だけです。さすがに1級を目指す人は、それなりにアレンジメントもできる人で、ワイヤーにフローラルテープを巻くのも上手です。
私はといえば、とにかく下手。下手すぎる。(泣)
学校の受付のお姉さんが、これなら私のほうがまだ上手にフローラルテープを巻けると言うほどの下手さでした。笑いますよね。
というのも、その学校へ通う前年、私は慢性炎症性脱髄性多発神経炎という病気で入院をしており、学校へ通い始めた時点でも、まだ薬を飲んでいるという状態でした。病気の後遺症なのか、指が上手く動かないということもあったので、一時は受験を見送ろうか、入学はやめようかとも思ったのです。
それに花材(カーネーション40本と小菊20本、枝物10本、タマシダ20枚、レザーリーフファン10枚)と、太さや長さの違うワイヤーをいっぱい、そしてフローラルテープやリボンなどの資材類、それと花を生けるフラワーベースなど一式を持って、電車に乗って途中で乗り換えて、帰りは17時を過ぎるので満員電車に乗って戻ってくるということが、今の自分の体力でできるのか不安ではありましたが、これも私の能天気さなのか「リハビリも兼ねてやってみよう。なんとかなるやろ」という気持ちで通い始めたのです。もちろん学校には病気のことは内緒です。
でもアレンジメントやブーケを作り始めると、指が上手く使えないためか、どことなくぎこちないのですね。もしかしたらかなり鈍臭い人だと思われていたかもしれません。
店に帰ってからも、時間があればひたすらフローラルテープを巻いていました。もちろん習ったアレンジメントやブーケも復習しました。
そんなことをし続けていたところ、ある日受付のお姉さんが
「一気に上手になった。これなら合格できるかも」と言ってくれたのです。
そのあとは順調に勉強も進み、アレンジメントも簡単にできるようになり…と書きたいところですが、そんなに上手くいく筈もなく、どうやってもできないのです。
確かにフローラルテープはものすごく早く巻けるようになりました。アレンジメントもそれなりに作れるようになりました。ブーケも細かいことを言わなければ、ブーケのような雰囲気に作ることが出来るようになりました。
でもなにかが違うのです。形がバシッと決まらない。まず、形や角度のダメだしが半端なかったです。「だめ!やり直し!」「あかん!全然できてない!」というようなことをずっと言われ放題でした。自分ではその通りに作っているつもりでも、先生から見ると形になっていないのです。
たぶん、今の私が当時の私の作品を見てもド下手認定をするようなアレンジメントやブーケだろうと思います。
でも初期から中期あたりまでは、そこまで切羽詰った感もなく、どことなくのんびりしていたような気がします。しかし、試験が近づいてくるとのんびりした気持ちはどこへやら。形相が変わっていったのでした。