大阪にはJR環状線という電車があり、各駅には発車メロディとシンボルフラワーを定めています。
このページは大阪環状線各駅のシンボルフラワー【大阪駅から外回りで森ノ宮駅まで】と、大阪環状線各駅のシンボルフラワー【玉造駅から外回りで今宮駅まで】からの続きです。
JR大阪環状線、19個の駅名
前のページにも載せていますが、JR大阪環状線の駅名を書いた図です。環状線なので一部を除きグルグル回っている電車で外回りと内回りがあります。外回りは時計回りで、内回りは反時計回りです。
最初のページでは外回りの電車に乗って大阪駅から森ノ宮駅まで、そして次のページでは玉造駅から今宮駅まで行きましたので、このページでは芦原橋駅からスタートです。
芦原橋駅
芦原橋は古くから太鼓の産地として栄えてきました。今でも全国のお祭りなどで使われる太鼓は芦原橋で作られているものも多いようです。太鼓の街ということで、バス停やベンチまでも太鼓のデザインになっています。
駅名は付近にあった鼬川(いたちがわ)に架けられていた橋の名前(芦原橋)に由来します。昔、この辺りは芦の生い茂る湿地帯だったそうです。鼬川は7世紀頃にイタチが開削したと伝えられている川で、四天王寺を建立する際に材木運搬のために利用されたとのことです。
橋は1950年代に埋め立てられたので残念ながら今は存在していませんが、名前を刻んだ石が芦原橋から南西500mほどのところにある浪速神社の境内に今も残されています。
芦原橋駅は旧国鉄で全国初の障害者用エレベーターが設置された駅として歴史に名を残しています。
芦原橋のシンボルフラワーは「ナデシコ」花言葉は「快活」です。
ナデシコはナデシコ科の植物の総称で、秋の七草のひとつで別名をダイアンサスといいます。
母の日にプレゼントするカーネーションもナデシコ科でダイアンサスに属しますが、一般的にはカーネーションを除いたものをダイアンサスと呼ぶことが多いようです。
花が小さくて可愛いことから、小さな子供を撫でて慈しむ花という意味の「撫でし子=撫子」という名前がついたといわれています。
住所:大阪市浪速区浪速東1丁目
芦原橋駅の発車メロディ:祭/芦原橋太鼓集団「怒」(老舗の太鼓メーカーが多くあり、地元で活動する「怒」のオリジナル曲です。)
大正駅
大正駅は大正区内の唯一の駅で、JR環状線のほか大阪メトロ長堀鶴見緑地線が走っています。区内唯一の駅という事から区の名前が付いた駅名ですが、大正区というのはお隣の浪速区との境になっている木津川に架かる大正橋から付けられたものです。
大正区は沖縄県からの移住者が多く、2世や3世を含めると1/4くらいが沖縄県出身だといわれています。リトル沖縄と呼ばれる場所があり、ここでは大阪にいながら沖縄の本格料理を楽しむことができます。リトル沖縄は大正駅からバスで15分程度離れている平尾というところです。
大正駅もホームへの階段下にある行先案内板にはハイビスカスの絵、駅名標にはシーサーの絵が描かれていて沖縄っぽさが満載です。
大正駅のシンボルフラワーは「ヤマツツジ」花言葉は「燃える思い」です。
ヤマツツジはツツジ科の半落葉低木で、日本で多く見られる代表的なツツジです。
一般的に春に濃いオレンジ色の花を咲かせますが、交配しやすい性質のため色が混ざることもあり、色のバリエーションが多いのが特徴です。花の中心の色が濃くなっていますが、これは虫に蜜を教えるために濃くなっており誘導路といいます。
住所:大阪市大正区三軒家西1丁目
大正駅の発車メロディ:てぃんさぐぬ花/沖縄民謡(大正駅周辺は沖縄から移住してこられた方がたくさんお住まいです。)
弁天町駅
弁天町駅は大阪築港の入り口になる駅です。
駅ができたとき周りの地名は市岡でしたが、既に岡山県新見市に市岡駅があったことから駅に近い付近の町名の「弁天町」と付けられました。
この弁天ですが、江戸時代に大阪湾の新田開発が盛んになり、新田の管理や運営を行なっていた市岡新田会所に弁才天が祀られていたことから付けられたものです。市岡新田会所だった場所は、現在は跡地であったという石碑が残っているだけです。
また交通科学博物館が環状線の高架下にあり、私自身が小さい頃だけでなく大人になってからは子供たちを連れて行ったこともありますが、2014年に閉館してしまいました。
弁天町駅のシンボルフラワーは「ひまわり」花言葉は「愛慕」です。
ひまわりは夏を代表する花のひとつです。
キク科の一年草で、種は食用になりヒマワリ油として使用したり、煎って食べることもできます。ハムスターの餌としてもよく知られています。真夏の青空に力強く咲いているひまわりを見ると元気を貰えそうですね。
住所:大阪市港区波除3丁目
弁天町駅の発車メロディ:線路は続くよどこまでも/アメリカ民謡(2014年に閉館した交通科学博物館があったことから)
西九条駅
西九条駅はユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの乗り換え駅としてよく知られています。
西九条という地名の由来ですが、貞亨(じょうきょう)元年(1684年)に河村瑞賢(かわむらずいけん)が治水事業の一環として新堀(安治川)を開削し、河流および航行の妨げになっていた九条島を二分した際に、片側を西九条村にしたということからのようです。因みに対岸は九条村と呼ばれていました。
現在、西九条はJR環状線と阪神なんば線(西九条駅)が走り、九条は大阪メトロ中央線と阪神なんば線(九条駅)が走っています。西九条駅は此花区、九条駅は西区にあります。
西九条駅のシンボルフラワーは「チューリップ」花言葉は「思いやり」です。
チューリップは春を代表する花のひとつで、ユリ科の球根植物です。和名で鬱金香(うっこんこう)といいますが、この花の香りがスパイスのひとつであるウコンに似ていることから付けられたものです。
チューリップには品種がたくさんあり、花弁が丸いもの、尖ったもの、反り返るもの、フリルのようなものや、一重咲きのもの、八重咲きのものと多種に渡ります。
住所:大阪市此花区西九条1丁目
西九条駅の発車メロディ:アメリカン・パトロール/アメリカ民謡(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの乗換駅。この西九条駅からアメリカンな気分で行ってくださいね。)
野田駅
野田は藤が美しいことで今から600年前から知られていました。室町幕府二代将軍、足利義詮(よしあきら)が詠んだ「いにしへの ゆかりを今も紫の ふじなみかかる野田の玉川」という歌により野田という地名が全国的なものになったといわれています。その後、豊臣秀吉も見物に訪れるなど野田の藤は吉野の桜、高尾の紅葉とともに三大名所といわれていました。
しかし明治以降、戦争や都市開発により野田藤ははほぼ消滅してしまいました。現在の福島区玉川にある春日神社境内には「野田の藤跡」と刻まれた石碑が建っています。
2006年以降「のだふじの会」というボランティア団体が結成され、剪定をはじめ手入れをしてくださっているおかげで、区内では花を咲かせる木が増えていっているということです。
野田駅のシンボルフラワーは足利氏・豊臣氏の武将が愛でた「野田藤」花言葉は「歓迎」です。
藤の花はマメ科フジ属のつる性落葉木です。
つるは木に巻きついて登っていきますが、右巻き(上から見ると時計回り)と左巻き(上から見ると反時計回り)の2種類があり、野田藤は右巻きになっています。左巻きの藤の代表はヤマフジです。花は垂れ下がり、短いもので20cm程度、長くなると80cm以上になるような花もあります。
一般に藤棚から枝垂れている藤を見ることが多いですが、鉢植えでも育てることができますのでベランダでの栽培も可能です。
住所:大阪市福島区吉野3丁目
野田駅の発車メロディ:一週間/ロシア民謡(大阪市中央卸売市場が近いため。歌詞は日曜日に市場へでかけ…ですが日曜日は中央卸売市場はやっていません。)
福島駅
いよいよ最後の駅、福島駅です。福島駅は大阪駅から西へすぐということもあってオフィスや商業施設も多くみられます。
昔、大阪市は河川土砂の堆積した三角州で、福島区のあたりは「餓鬼島」と呼ばれていたのだそうです。901年に菅原道真が大宰府へ配転させられる際にこの地に立ち寄り、餓鬼島では縁起が悪いので「福島」という名前に変えたということです。
今現在、大阪大学付属病院は吹田市にありますが、以前は福島駅から近い場所でした。跡地は大阪中之島合同庁舎やほたるまちになっています。また玉江橋からすぐのところにあった中津藩蔵屋敷は福沢諭吉の生まれた家だということで現在は石碑が建っています。
福島駅のシンボルフラワーは「カキツバタ」花言葉は「幸福は必ず来る」です。
カキツバタはアヤメ科の植物でアヤメやショウブとよく似た花を咲かせます。
カキツバタとアヤメとショウブの区別の付け方は、花弁の根元の部分が黄色と紫色の網目状の模様になっているのがアヤメ、花弁の中心に黄色い線が入っているのがショウブ、白い線が入っているのがカキツバタです。
またカキツバタとショウブは湿地帯に自生しますが、アヤメは山野の草原に生えています。
住所:大阪市福島区福島7丁目
福島駅の発車メロディ:夢想花/円浩志(回っている環状線にはピッタリな曲です。)
福島駅の次は大阪駅で、ようやくJR大阪環状線1周の旅も終わりです。
JR大阪環状線は回らない電車もある
一番最初にも書きましたが環状線というからにはずっと回っている電車のイメージをお持ちだと思います。環状線は基本的には回っていますが、時々回らずに別のところに行ってしまう電車があります。
これは環状線がどこかに行ってしまうのではなく、環状線の線路を別のところに行く電車が使っていると思っていただく方がいいかもしれません。
ではどこに向かう電車が走っているかといいますと
関空快速
環状線を走っている関空快速は外回り(時計回り)にも、内回り(反時計回り)にもあります。外回りの関空快速は京橋駅止まりか天王寺駅止まりです。内回りの関空快速は天王寺駅から環状線を1周して、天王寺駅で阪和線に入り関西国際空港に向かいます。
紀州路快速
環状線の天王寺駅から内回りで1周したのち、天王寺駅の阪和線のホームに入ってあとは阪和線で和歌山まで走ります。
関空快速と紀州路快速は、環状線内では連結して走っていて日根野駅で切り離されます。利用される場合は乗る車両を間違わないようにしてくださいね。
大和路快速
環状線の天王寺駅から1周して、天王寺駅で関西本線(大和路線)に入り奈良駅、加茂駅、五条駅に向かいます。
ゆめ咲線ユニバーサルシティ方面直通
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行くには環状線の西九条駅でゆめ咲線に乗り換えないといけませんが、大阪駅から内回りの直通電車が出ています。
大阪に住んでいる人にとっては慣れ親しんだ大阪環状線ですが、他から来られた方々には少々難易度が高いかもしれません。環状線に乗ったつもりが、環状線でなかった場合はスイングバイして思ってもいない場所に着いてしまうこともありますので、行先はしっかりとお確かめの上ご乗車くださいね。
3回に分けて大阪環状線各駅のシンボルフラワーを紹介してきました。
大阪にお住まいの人も、大阪に遊びに来られた人も環状線に乗られましたらシンボルになっている花のことを思い出していただければ嬉しいです。